瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(180)女流歴史小説家

 日本の女流作家の歴史小説で、永井路子杉本苑子のように冊数の多くない人の分をここに纏めて置く。
來水明子
 題名からして最初歌集かと思っていた。寝間の本棚にあって、若い古本屋が採ってくれた。
・『殘花集』昭和三十八年五月 二 十 日 印刷・昭和三十八年五月二十五日 発行・定価四二〇円・桃源社・257頁・四六判上製本角背函入

 この書影は函の表紙側。但し祖母の蔵書は金がくすんで、標題と著者名も黄土色になっている。背表紙側は同じ標題・著者名が殆ど茶色になって縮小されて上半分に入っており、最下部にごく小さく「桃源社」と横並びに入っている。裏表紙側は殆ど黒地で右下に「¥ 420.」と白抜き。本体は国立国会図書館デジタルコレクションの送信サービスで閲覧可能。閲覧出来ない背表紙についてメモして置こう。上部に「殘花集 來水明子」とあり、最下部にごく小さく「桃 源 社」と横並びに無色で窪ませてある。
 私は来水明子(1932.1.26~1999.10.29?)について全く知らず、川口則弘サイト「直木賞のすべて」の「候補作家の群像/来水明子」によって色々と教えられた*1。第37回・第46回・第47回・第49回と4度直木賞候補になっており、朝井リョウに抜かれるまで、最年少の直木賞候補作家だった。30歳前後で続けざまに『背教者』『涼月記』『短夜物語』の長篇3冊と最後に本書の合計4冊を刊行しているが、以後は、歴史雑誌の書き手として活動していたようだ。
 川口氏はブログ「直木賞のすべて 余聞と余分」でも2008年6月1日「読みづらい、って決して欠点じゃありません。一人の女流作家の生きざまです。 第46回候補 来水明子『背教者』」なる記事に來水氏を紹介している*2
 川口氏の関連する tweet も挙げて置こう。ブログのコメントと Tweet の時差が少々気になる。
 著書は全て国立国会図書館デジタルコレクションの送信サービスで閲覧可能となっている。殆ど忘れられた、再刊の見込みのない本は著作権切れを待たずにこのような形で閲覧可能にするべきだと思う。そうでないといよいよ忘れられてしまうだろう。そして、著作権保護期間は、改めて50年に戻すべきだろう。ほんの一握りが儲けるだけの仕組みである。どうして70年後の子孫の面倒まで見てやらにゃならんのか。
樋口茂子
・PHP文庫 ひ 10 1『小説 壬申の乱――星空の帝王1996年5月15日   第1版第1刷・定価738円・PHP研究所・445頁※ 帯あり「PHP文庫|今月の新刊」
 この本は寝間の本棚にあったと思う。(以下続稿)

*1:川口則弘直木賞物語』にも記述があるだろうから見たら追記する。当時の來水氏の様子、期待と評価については林房雄『文藝時評』尾崎秀樹『大衆文学五十年』木村久邇典『素顔の山本周五郎大村彦次郎『時代小説盛衰記』、また『野上彌生子日記』に記述あり。

*2:コメント欄にアメリカ在住の妹のコメントがある。

祖母の蔵書(179)源氏物語②

 祖母は『源氏物語』に関する本を少なからず持っていた。そこで、①校訂本、②現代語訳・評釈・概要、③主題別解説・評論・エッセイに分けて整理して見る。
 『源氏物語』は、高等女学校で教育を受けた世代の女流作家が好んで取り上げている。彼女たち女流作家については、既に個別に記事にしている人もいるが、源氏については別に一纏めにして置こう。
 次の2冊は日本古典文學大系(あるか確認)と同じ仏間の本棚に収まっていた。


 これは2022年9月16日に「祖母の蔵書()源氏物語③」と題して書き掛けていた草稿の前置きで、続いて田辺聖子『『源氏物語』男の世界』と、近藤富枝『服装で楽しむ源氏物語』を取り上げていた。うち田辺氏の1冊は、他の田辺氏の源氏物語関係の著書とともに2023年6月21日付(081)に取り上げた。
 なお、日本古典文學大系『源氏物語』全5冊は2023年6月11日付(073)に取り上げている。
 次の本は2023年8月1日にメモしていた。
・文春文庫449―1 尾崎左永子『源氏の恋文』1987年7月10日 第1刷・定価400円・文藝春秋・273頁

※ 帯あり「今月の新刊」書影に同じ
 これは寝間の書棚にあった。
 近藤氏の『服装で楽しむ源氏物語』は、確か仏間の硝子棚にあったかと思うのだが、実は元版(単行本)も祖母は買っていたのである。
近藤富枝『服装から見た源氏物語昭和五七年四月二五日 第一刷発行・定価 一五〇〇円・文化出版局・193頁・四六判上製本 これは寝間の本棚にあった。
・PHP文庫 こ 35 1 近藤富枝『服装で楽しむ源氏物語2002年5月15日 第1版第1刷・定価619円・PHP研究所・249頁※ 帯あり「PHP文庫 最新刊」
 比べて見たいところだが文庫版の方は既に処分してしまった。単行本は若い古本屋が採ってくれたので遅ればせながら持ち込むつもり。
 『源氏物語』の、ある面を取り上げて解説したような本は、メモを取って祖母宅に残して来た中に、或いは整理が追い付かなくて持ち帰ったものの中にまだあったと思うので、順次ここに追加、纏めて置こうと思う。(以下続稿)