・中公文庫『日本妖怪変化史』(3)
改版と改版2刷の本体を比較して見る。
181頁までは(恐らく)一致。詳細は初版と比較しつつメモするつもり。
181頁の裏、奥付の前の頁に明朝体縦組みの「編集付記」がある。
改版は中央下寄りに、まづ1字下げで「編集付記」とあって1行分空けて、
改版にあたり、表題論文および「文芸上に表われたる鬼」は『江/馬務著作集 第六巻 生活の陰翳』を、「火の玉」は『同 第十一/巻 風俗史事典』(ともに二〇〇二年、中央公論新社刊)を底本と/し、異同を正しました。
また、一九二三(大正十二)年に中外出版より刊行された同名書/から「自序」を新たに収録しました。
とある。改版2刷も下寄せだが字数が増えて、3字下げで「編集付記」とあって1行分空けて、
一、本書は『日本妖怪変化史』(中外出版、一九二三年十月刊)の再版(同年十二月刊)/ を底本とし、「文芸上に表われたる鬼」「火の玉」(『風俗研究』八七号、一九二七年)/ を併せて文庫化したものである(一九七六年七月)。
一、改版(中公文庫ビブリオ版、二〇〇四年六月)にあたり、表題論文および「文芸上に/ 表われたる鬼」は『江馬務著作集』第六巻を、「火の玉」は同第十一巻(ともに中央/ 公論新社、二〇〇二年刊)を底本として、異同を正した。また、単行本初版の「自/ 序」を新たに収録しました。
と、改版にはなかった中公文庫初版の編集についての説明がある。(以下続稿)
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5月10日付「連続テレビ小説「なつぞら」(1)」の補足と云うか、追加。――「なつぞら」の主人公(広瀬すず)の、妙に絵が得意アピールが急に始まった気がする。これまでも授業中にぱらぱら漫画で遊んだりしていたが、そんな熱中している風でもなかった。
それに、藤子不二雄Ⓐ『まんが道』や、2014年11月28日付「『トキワ荘物語』(1)」及び2015年8月4日付「『トキワ荘物語』(2)」に取り上げた『トキワ荘物語』を読んだ身としては、どうも、トキワ荘関係者の上京までの投稿家生活や手塚治虫などの漫画家に対する強い憧憬の念に比して、主人公からそんな熱い気持ちが、育ててくれた柴田家が酪農業に就くことを見越して進学させ、そして本人もその希望で進学したはずの農業高校畜産科での勉強を振り捨てて、――と云うほどのものが伝わって来ないのである。
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主人公の周囲には『まんが道』の主人公たちを鼓舞した雑誌も本も、熱い想いを共有するライバルもいない。そこまで主人公を衝き動かすものがあるように見えない。
今のままでは、柴田家にこのままいることに漠然とした不安を感じて、そこから逃避したくなって我が儘を言っているように見えてしまう。ここしばらく、祖父のような存在の柴田泰樹(草刈正雄)が孫で酪農業の後継者となるはずの照男(清原翔)とくっ付けようとしたことで、照男を実の兄のようにしか考えていなかった主人公が、その生々しい感じに嫌悪してどうしても家を出たくなった、みたいな展開になりかかっていた。――しかし、高校卒業とともに結婚等の身の振り方が当然周囲の関心事になってくるはずで、そのことを何故か泰樹しか考えていないらしいことを奇妙に思う私は、この、いきなり兄と夫婦になれと言われて受け止められない、みたいな展開になるのがまづ変だと思ってしまうのだが、それも、今日の放送で彫刻家(中原丈雄)*1の娘(北乃きい)に照男が惚れたっぽく描かれており、いよいよ照男が自分に生々しい想いを抱いていないことが明瞭になったのだから、そんな嫌悪感は雲散霧消してしまうはずなのである。
そこに合せ技として、別れて以来主人公の手紙に返事を全く寄越さなかった実の兄(岡田将生)の消息を知って、会いに行くと云うか、探しに行くとか云うような、そういう東京に戻りたい事情みたいなのをくっ付けているのだが、いくら実の兄でも、主人公を責任を持って養育してきた柴田家としては、こんな兄の近くに主人公を出しちゃいかんだろう。浅草や新宿で藝人なんぞをやって、逃げ隠れしているような兄なんか、私が主人公の保護者であったら絶対遠ざけようと思う。北海道で酪農を続けさせたら良い。それに十分堪え得るように育てたのだから。それでも連続テレビ小説として成り立つと思う。30代以降は広瀬アリスにバトンタッチしないときついが。それよりも木に竹を接いだように東京へ、アニメーターへと展開させないと行けない理由が解せないのである。
ちょっと長くなってしまった。
*1:【5月18日追記】入れ忘れていた役者名を補った。