昨年から④文庫版を某市立図書館で時々借りていた。この某市立図書館は3月末から完全休館してしまったのだが、急にそうなることになった、その前日にたまたま本を返しに行って借りて、今もそのまま手許にある。
それから、3月に何冊かブックオフに本を売った折に、2018年3月10日付「田中康弘『山怪』(1)」に取り上げた『山怪』と似た装幀の③山と溪谷社版を書棚で目にして、買取価格との差に少々げんなりしたのだが、その後、本の返却期限が来てしまった某区立図書館に出掛けることになった折、③山と溪谷社版を始めとする異版・関連書を検索して取り寄せて置いてもらったのである。
①初版
- 作者:正一, 伊藤
- 発売日: 1994/08/01
- メディア: 単行本
- 作者:伊藤正一
- 発売日: 2014/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
④ヤマケイ文庫版『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』二〇一九年三月一日 初版第一刷発行・定価880円・山と溪谷社・302頁
- 作者:伊藤 正一
- 発売日: 2019/02/14
- メディア: 文庫
関連書は『伊藤正一写真集 源流の記憶 「黒部の山賊」と開拓時代』(2015年10月15日 初版第1刷発行・定価2300円・山と溪谷社・24.0×20.0cm・並製本) 伊藤正一(1923~2016.6.17)の最晩年に、山と溪谷社と家族により纏められた写真集。(以下続稿)
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今夏は富士山に登れなくなったそうだ。昨日、本放送のときに見ていなかったブラタモリの富士山総集篇を見た。私が富士山に登った41年前と比べると、頂上の白い測候所のレーダーがなくなっているくらいで左程違いはなさそうだった。富士宮口から登って、もちろん宝永火口には出掛けていない。2014年9月28日付「浅間山の昭和22年噴火(01)」に述べたように下山は砂走りだったから御殿場口に下りたのだろうか。飛ぶように駆け下って、父を待ち、そして母や兄が遅れて下りて来たのを随分待ったように記憶する。
ところで、良い時季になったのだが各地で登山の自粛が呼び掛けられ、遭難して救助を要請した登山者がネット上で激しく批判されている。そして私も、閉じ籠もっている。山中の集落とか、山を切り開いた住宅地の外れの方に住んでいたら、周辺を歩き回ったりしたと思うのだけれども、街中に住んでいるので閉じ籠もっているのである。私は高校時代山岳部で、2017年3月30日付「山岳部の思ひ出(2)」に書いたように修士の院生の頃まで泊まりがけで登山したこともあったけれども、もう20年くらい山に出掛けていない。しかし、思い立ってすぐに出掛けられる距離に山があったら、出掛けていたと思う。山までの距離があるから、出掛けられないのである。いや、閉じ籠もっていること自体は苦ではない。酒も呑まないし人と外食することもないし、運動不足だけれども、――以前から鼻が悪くて、大抵片方の鼻が詰まっているのだが、それでも脚力に任せて早歩きで街中を図書館を梯子しつつ歩き回っているので普段から鼻息が荒くて、電車で座席には座らずに立っていると、鼻息が掛かるのか私の前に座っている人がこちらを見て来たりするのである。マスクをしていたら息は掛からないかも知れないが、そう云えば3月4月に電車に乗ったときも私の息が上がっているように感じたのか、近くに座っている客にちらちら見られたように思う。とにかく今後、こんなことをしてはいよいよ嫌われるだろうから、それにマスクを付けてこれから夏に息苦しくなる勢いで歩き回る訳にも行かぬので、少し脚力が落ちた方が良かったくらいに考えることにした。
平均年齢81歳の両親は駅に近い、高齢化の進んだ、道が狭くて入り組んだ古い住宅地に住んでいて、ほぼ毎日、殆ど人に会うこともなく近くの開発から取り残された尾根に散歩に出ているらしい。少々羨ましい。私の家は、駅からそんなに近くもないが、人通りがそこそこある通りに面していて(しかしコロナウィルス以前に比べれば何分の1かの数に減っている。夜中に騒いで通った大学生にもここのところ気付かない)スーパーマーケットや図書館、公立学校にも近いので、人に会わずに気儘に歩き回ることが出来ない。