瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

道了堂(22)

・新八王子市史民俗調査報告書 第2集『八王子市東部地域 由木の民俗』(3)
 口絵写真の「多摩ニュータウン以前の由木 ―堀口進写真ファイルから―」は11の集落で76点だから、1頁め、7点の写真を収録する鑓水と同じような構成で、当時広く見渡せていた谷戸のパノラマ写真や、寺社などが取り上げられている。パノラマ写真については v頁上段の前置きから説明を抜いて置こう。12~13行め、

 パノラマ撮影が不可能であった当時、広角に個々に撮影し、/紙焼き写真を切り貼りして横に伸びる丘陵も記録されている。/‥‥


 3月26日付(20)に抜いたように「膨大な写真の中から」と云うからには、道了堂の写真も実はもっとあるのではないか。3月25日付(19)に触れた指田徳司撮影の写真のように、境内の様子をもう少し写していないか、と思うのだけれどもどうだろうか。


 この Tweet の後に出た川奈まり子『八王子怪談』は先月から借りているのだが、昨年の新刊なのでそれ以前の資料の検討を一通り済ませてから取り上げることとしたい。――それはともかく「八王子市郷土資料館や絹の道資料館、八王子市教育委員会」もこういった写真を「所蔵していない」のであれば、早急に堀口氏から購入するなりして、旧南多摩郡由木村の原風景を探るための貴重な資料として活用するべきであろう。堀口氏は今年で満87歳である。――最近、過去の写真や映像に写り込んでしまった人たちが皆、顔が暈かされてしまっていて見ていて甚だ気味が悪いのだが、堀口氏撮影の写真は、14~16行め、

‥‥。/人物写真がほとんどないのも堀口進さんの写真の特徴である。/そのことは、住民を簡単に被写体として対象化するには抵抗/感があった堀口さんの心情の表れであろう。

と云うことなので、そんな思いをせずに済む*1。予期した訳ではないだろうが昨今の情勢下でも活用しやすい、一級資料なのである。

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 既に廃寺になって久しい道了堂に関する記述は本文にはない(と思う)。巻末資料の前半(339~347頁)を為す、小泉トヨ『昔むかしの話』に若干の記述がある。しかしながらこれは、辺見じゅん『呪われたシルク・ロード』を取り上げる際に、ついでに取り上げることにしたい。(以下続稿)

*1:昔はこんな処理をするのは所謂「心霊写真」くらいだったからかも知れぬ。当時は目を太線で隠すくらいだったけれども。――いっそこのままマスク生活を継続すれば、こんな配慮をしなくても済むのではないか。