瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

道了堂(42)

 僅かな記述であっても、どのような条件の下で書かれたものだか確認して置かないと安心出来ないので「東京新聞ショッパー」連載を元にした2冊にえらい手間を掛けてしまったが、次に在野の著述家馬場喜信の、浜街道探求の集大成とも呼ぶべき本を見て置こう。
・かたくら書店新書45『浜街道 「絹の道」のはなし2001年3月24日 初版第1刷発行・定価1,000円・252頁

 本書刊行の4年後に刊行された法政大学地域研究センター叢書5『歴史的環境の形成と地域づくり』掲載の「浜街道《絹の道》―歴史的景観の発掘と史跡化」は本書の論文版とでも呼ぶべきものである(研究会での発表は4月5日付(26)に見たように本書刊行の翌年である)。
 論文版と云うのは、本書は学術書でも一般書でもないからで、白地のカバー裏表紙右上にゴシック体縦組みで以下のような紹介文がある。

東京都の西のはずれ、多摩丘陵の奥深くにひっそりと眠る/「絹の道」。近代日本の発展を支えた生糸が、八王子から/横浜へと運ばれた「浜街道」の面影を今に伝え、《歴史の道/百選》にも選ばれました。この道の歴史を調べ、一日かけて/ゆっくり歩き楽しむためのガイドブック。ジュニアのために、/やさしく分かりやすく書かれた《道歩き》への案内書です。


 八王子を「西のはずれ」と云うのは西多摩郡に失礼な気がするが、それはともかくとして、――本文は1頁13行、1行37字でゆったり組まれ、平仮名が多く敬体で語り掛けるような文体は、確かに岩波ジュニア新書でも読んでいるかのようである。
 岩波ジュニア新書にも2012年1月6日付「鎌倉の案内書(12)」に見たような史跡見学を主題としたものが幾つも出ているが、本書には『流域紀行八王子』や『峠と路』に見られたような、実際に歩いて確かめる楽しさを訴え掛ける《道歩き》のガイドブックとしての特色が、より強く出ているように思われる。
 書籍としての体裁も普通の新書みたいになっていて、カバー裏表紙には更に1行分空けてやや大きく「第1部 調べてみよう「浜街道」/第2部 歩いてみよう「絹の道」」とあって左上にはバーコード2つ「9784906237456/1920220010001」と「ISBN4-906237-45-2/C0220 ¥1000E」、左下に鑓水永泉寺の六地蔵のカラー写真(2.1×3.4cm)がありその下、左下隅に明朝体で「定価 (本体1,000円+ 税)」とある。
 カバー背表紙も白地で文字は全てゴシック体で上部に大きく標題、少し空けてやや大きく副題、下部に濃く「馬場喜信著」最下部に「かたくら書店新書45」数字はオールドスタイル。
 カバー表紙は47~46頁に掲出している明治21年(1888)の20万分の1地形図から、上段(7.5cm)は八王子から南東、下段(7.5cm)は横浜から北西を示す。中央(2.0cm)にカラー写真を3つ、左は鑓水諏訪神社の石灯籠、中は絹の道、右は小泉家屋敷。文字はゴシック体横組み中央揃えで上段の最上部に「馬場喜信著」最下部に大きく標題、下段の最上部に副題、最下部に「かたくら書店新書45」数字はオールドスタイル。
 カバー表紙折返しは表紙の柄が少し(0.5cm)入り込んでいる他は白地、カバー裏表紙折返しは白地。
 見返し(遊紙)は純白でやや光沢のある紙を使用している。
 扉は中央にカバー背表紙と同じ文字を縮小して収める。
 ⅰ頁(頁付なし)上部中央に明朝体で「はじめに」とある扉、ⅱ~ⅳ頁本文。
 ⅴ頁(頁付なし)上部中央に明朝体で「目 次」とある扉、ⅵ~ⅷ頁本文。ⅷ頁の左、下寄せで、

〔表紙カバーに使用した地図は、一八八八年(明治二一年)に作成/ されたものです。本文四六~四七ページを参照してください。〕

とある。写真は本文中に同じ物を載せていないが、特に説明はない。(以下続稿)
附記】馬場氏は『流域紀行八王子』や『峠と路』に纏めた「東京新聞ショッパー」の写真入の連載に拠って察せられるように、数多くの写真を撮っているはずなのだが、その一端が3月22日付(16)からしばらく確認した『続八王子の今昔』に提供されている。或いは、これら馬場氏が自身の著述に載せたのと同じ写真が『続八王子の今昔』に提供・掲載されているのではないか、と思い付いたのだが、改めてその確認をする余裕がない。ここでは149頁下、第5帳㉔*1 大塚山北面で進む宅地造成とバイパス工事/ 【昭和53年(1978年)6月24日・片倉町・馬場喜信】」を、道了堂に関連する写真の1つとして挙げて置くに止める。

*1:黒丸にゴシック体白抜きの丸数字だが再現出来ないので普通の丸数字にした。