瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

祖母の蔵書(177)随筆

吉田健一
 寝間の本棚より。
幾野宏 訳『まろやかな日本』昭和五十三年七月五日印刷・昭和五十三年七月十日発行・定 価 一四〇〇円・新潮社・221頁・四六判上製本

※ 帯あり、書影に同じ。
 昨年の7月31日にここまで書いて、そのままになっていた。――女性のエッセイは2023年7月1日付(091)に「女流随筆」として、現在までに6人の7冊を纏めているが、男性の方は司馬遼太郎陳舜臣等、作家別に纏めている中に随筆も入ってしまうので、一向に増えなかったのである。
池部良
新潮文庫6037/い-45-3続続 そよ風ときにはつむじ風』平成 十 年 一 月 一 日 発  行・定価514円・新潮社・355頁※ 帯あり「新潮文庫の新刊」表紙側右上「YONDACLUB発足!」にとある。その左、「の新」の上「庫」と「刊」の上にも少し掛かって「詳しくは本の中のチラシをご覧下さい。」とある。これは2022年8月6日付(019)に見た新潮文庫6079『剣客商売 包丁ごよみ』に掛かっていた「Yonda?/CLUB/発足!」とある帯に3ヶ月先行する。『剣客商売 包丁ごよみ』には「中のチラシ」が挟まっていなかったが、本書には保存されていた。
※ 巻四つ折チラシ「新潮文庫/今月の新刊」'98.1、表面はパンダの写真。
※ 観音折チラシ、文字は全て茶色の横組みで、表とみられる面にはパンダの顔のイラストと「本の好きなかたに、いいお知らせがあります。」とあって、1つ開くと「「Yonda? CLUB」はじめました。」として発足の趣旨が戯文調で綴られ、さらに開くと内側4面分に「これが「Yonda? CLUB」の素敵な商品です。本を読むたのしみがまた一つ増えそうですね。」として希望商品7種がカラー写真で紹介されている。裏面には1項め「◎応募方法」2項め「◎対象商品」3項め「◎応募の宛先」4項め「◎応募期間・当選発表」5項め「◎ご注意」6項め「◎お問い合せ先」と、細かく説明されている。
 この「Yonda? CLUB 発足」時のチラシは画像検索してもヒットしない。そこでもう少々詳しくメモして置こうかとも思ったのだが、流石に発足時のチラシだから保管している人も多いであろう。そこでここでは4項めのみ細かく見て置こう。ここのみ茶色の横線6本で仕切って5行、2~5行めは左端に「第1期」から「第4期」とあって、1字分空けて1~5行め「 1998年度の応募期間|1998年1月1日~3月31日|1998年4月1日~6月30日|1998年7月1日~9月30日|1998年10月1日~12月28日|」5行めで2字分空けて「   締切り日| 3月31日到着分| 6月30日到着分| 9月30日到着分|12月28日到着分|」右側を揃える。更に5行めで4字分空けて右端に「  賞品発送予定日|   4月下旬 予定 |   7月下旬 予定 |  10月下旬 予定 |99年1月下旬 予定 |」とあって更に罫線なしで2行「1~4期の応募締切り後、厳正な抽選を行います。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。」もちろんインターネットの応募などないから全て1項め2行め「専用応募ハガキまたは官製ハガキ」に拠る応募である。
 他に何人か追加する予定である。(以下続稿)
薄田泣菫2024年3月22日追加
 寝間の本棚より。これは若い古本屋に採ってもらった。
岩波文庫31-031-2『茶話』1998年7月16日 第1刷発行・1998年9月25日 第3刷発行・定価560円・岩波書店・284頁※ 栞あり「岩波哲学・思想事典」反対面「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典
 カバー表紙折返し「岩波文庫解説総目録1927〜1996」の広告、カバー裏表紙折返し「図書」の広告。
【宮城道雄】2024年4月4日追加*1
・『水の変態』昭和31年8月1日 第1刷発行・定価 280円・宝文館・241頁・四六判上製本 書影は函。祖母の蔵書は本体のみで函はなかった。
 本書も国立国会図書館デジタルコレクションの送信サービスにて閲覧可能なので思い切って処分することにした。
 そこで、国会図書館蔵本では見えない箇所についてメモして置く。まづ表紙の右上、ラベルが貼ってある箇所だが、右端の行の1桝め「四」3桝め「五」5桝め「三」、次の行は1桝め「八」3桝め「九」5桝め「七」、2行とも桝の左側に3行め4行めと同じような縦線2本が入る。4桝ごとに縦罫に▼があるのも他の行に同じ。角背の背表紙は黒地で上部に標題、下部に著者名が窪ませて、元は金文字だったのだろうがすっかりくすんでいる。筆蹟は扉と(一致しないが)同じ。最下部に「宝文館」とゴシック体で小さく横並び。
 奥付、国会図書館蔵本では標題の下に破線の枠に「著作権者/ 承認 /検印省略」とあるが、祖母の蔵書はこの上に検印紙(2.2×2.1cm)を貼付している。印刷は黄緑色で、円(径1.7cm)の中に「宝」と書いた帆の宝船がこちらに向かって来る様、背後に太陽。そこに「宮城」の朱文円印(径0.8cm)。
 裏表紙見返し、遊紙の右上に「神田神保町日本読書普及会  (291)5982  」の書店票(2.2×3.5cm)貼付。これは2023年7月17日付(107)以来度々参照している「東京古書組合」HPの「特集」2020.06.16「書店票にみる東京の古書店」に載る「中山書店・日本読書普及会/(神保町)」の書店票3種のうち3つめに同じ。
内藤濯2024年4月30日追加
・『未知の人への返書』昭和46年4月5日 初版印刷・昭和46年4月15日 初版発行・定価 850円・中央公論社・268頁・上製本(19.7×14.7cm)
 これはクローゼット右側にあって、若い古本屋が採ってくれた。
 祖母の蔵書には模造紙で使った手製のカバーが掛けられている。これを外すと本体表紙にぴったりと透明のビニルカバーが掛かっている。丸背の背表紙には表紙と同じ標題と著者名が1行で白で「 未知の人への返書  内藤 濯 」とあって標題がやや太いのは表紙に同じ。最下部に細いゴシック体の横並びで極小さく版元名。
 本書は国立国会図書館デジタルコレクションに「送信サービスで閲覧可能」である。国立国会図書館蔵書はビニルカバーが掛かっていないだけだが、同じものが閲覧出来る。よって、祖母の蔵書のみの特徴だけをメモして置こう。268頁の次に頁付のない1頁「あとがき」があるが、その裏、奥付の向いの頁の最下部やや左寄りに青黒のインクで、横書きの署名がある。2字の姓と1字の名の間を1字分弱空けている。読めない。或いは著者のサインかと思ったが違うようだ。同じサインは裏表紙見返しの遊紙にも、最下部の中央に入っている。
・再版(昭和46年4月15日 初版発行・昭和46年6月30日 再版発行・定価 850円・中央公論社・268頁・上製本(19.7×14.7cm)) 隣の市の図書館で借りた再版には、書影と同じ、黒地で横縞の入ったカバーが掛かっている。図書館蔵書だから帯は保存されていない。カバー表紙の文字は初版の本体表紙と同じものが橙色で入っており、カバー背表紙も同様で標題と版元名が黄色、著者名は白である。カバー裏表紙はカバー表紙と同じ淡い縹色の飾枠枠があって、その内側の右上隅に明朝体白抜き縦組みで「中央公論社 価八五〇円」とある。本体裏表紙の中央やや上にある「CR」のマークの辺りには何もない。本体の異同は発行日の1行のみ。
・中公文庫A119(昭和五十三年八月二十五日印刷・昭和五十三年九月 十 日発行・¥340・中央公論社・277頁) 書影の中央の、顔面が7つ内側に出ている飾り枠(黄色)が上製本の再版ではカバー表紙とカバー裏表紙に大きく淡い縹色で入っている。他の細かいところは祖母の蔵書の記述からは逸れるので記すに及ばないだろう。

*1:カテゴリ「遺稿集」を追加。

「新潮社の辞典!」の広告(10)

 2013年3月25日付(01)を投稿した頃には都内勤務で、昭和の新潮文庫が並んだ公立図書館を歩いて幾つも回れたから(都内までは電車だが)カバー折返しの広告に変遷のあることに気付いて辿って見ようなどと云う発想になったのだった。角川文庫のカバー折返しにある雑誌や映画の広告を拾い集めたのも同じ発想からである。
 しかし、その後都内勤務ではなくなって、しかし都下の図書館は文庫本の所蔵数が都内ほどではなく、隣の市の図書館でも相互利用の協定を結んでいなかったりネットでの予約や延長が出来なかったり制限も多く、場所も分散していて駅から遠く自転車でかなり時間を掛けて回らないといけない。それで、都下勤務になってからも都内の図書館に通い続けていたのだが、コロナを機にそれは殆ど止めにした。1990年春に上京して以来、何年か都民でなくなった時期もあったが、20年以上都内に通学・通勤して来て、居住地に続いて勤務地も都下になっても、都内の図書館通いが習慣化されていたのである。何か入り用な本があるとあそこの区立図書館に行けば良い、と云う発想が染み付いていた。
 しかし、2020年春までで幾つかの区の図書館には通うのを止めた。都下の図書館も相互利用協定の締結が進んでいる。それに祖母の遺品を始め、自分のものも色々と整理しないといけない。都内に出勤して、少し歩けば図書館に行き当たるような按配だったからこその道楽だったのだ。以前は、図書館通いのこともあり都内勤務の希望を出していたのだが、都下の生活ですっかり落ち着いてしまった。もう何十冊も本を抱えて歩けない。それでも以前通い慣れた場所だから、Googleストリートビューなぞで以前歩いた場所の現況を眺めて、違ってしまったところがあったとしても、やはり懐かしい気がするのだけれども。
 それはともかく、この2013年3月25日付(01)に紹介したものを①として、以下⑤’も含めて⑨まで、これまで10種を確認していたが、祖母の蔵書から更に早いものが見付かった。よって既に与えた番号は全て1つずつズラすことにする。
①『王朝文学論』四刷*1(昭和四十七年十月三十日)¥160
匡郭11.8×6.1cm、上部にゴシック体横組み「新潮社の三大辞典 」。3点で標題は明朝体の太字、割書はゴシック体、また編者と定価・送料もゴシック体、仕切の縦線は長さ10.4cm。まず「〈現代語/古 語〉新潮国語辞典」この標題の下に小さく「《監修》久松潜一/《編集》山田俊雄 築島 裕」最下部に横組みで「¥1400/〒200 」左に明朝体で説明が1行「総語彙十三万八千語。初めて現代語と古語を小型判一冊に集成した画期的国語辞典。 」、次に「〈新/潮〉世界文学小辞典」この下に小さく「伊藤 整 河盛好蔵 高津春繁 佐藤 朔/高橋義孝 手塚富雄 中野好夫中村光夫 西川正身 吉川幸次郎」最下部に「¥2500/〒200 」左に説明「古今東西の文学者三千五百人とその作品を初め世界文学のすべてを収める画期的辞典。」。最後に「〈新/潮〉日本文学小辞典」この下に小さく「伊藤 整 川端康成 瀬沼茂樹 中村光夫久松潜一 平野 謙 山本健吉 吉田精一」最下部に「¥2500/〒200 」左に「記紀万葉の古典から現代文学まで、川端康成氏ほか六百人の執筆者が達意の文章で解説。」
 まだこれ1点しか見ていない。2013年3月25日付(01)に紹介したものとの異同は、各冊の定価・郵送料の他は『新潮国語辞典』に角書〈改/訂〉がなく《編集》に小林芳規の名がないことである。『新潮国語辞典』は昭和40年(1965)11月30日第1刷発行、改訂は昭和49年(1974)刊。(以下続稿)

*1:この本は2023年8月20日付「祖母の蔵書(140)王朝文化」の【2024年3月16日追記】に紹介した。