瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

谷崎潤一郎『犯罪小説集』(1)

 谷崎潤一郎(1886.7.24〜1965.7.30)本人が『犯罪小説集』と銘打った作品集を出したことはないのだが*1、この題の短篇集が集英社文庫と中公文庫から出ている。
集英社文庫集英社(1)
谷崎潤一郎 犯罪小説集』1991年8月25日第1刷・1993年4月21日第5刷・定価369円・206頁。*2

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

谷崎潤一郎犯罪小説集』2007年12月20日第1刷・定価457円・221頁。*3
谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫 た 28-2)

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫 た 28-2)

 この2つは、内容は全く変わりないが、分類番号も変わっており、別の版という扱いにしているようだ。書名も、微妙に変えてある。
 カバー背表紙を比較してみよう。前者は一番上に○の中に「た」、次いで「|28|1|谷崎潤一郎 犯罪小説集」ここまでが上半分、2文字分ほど空けて著者名、下部に「集英社文庫  ★\380」とある。後者は淡い赤紫の地で上部にゴシック体で「谷崎潤一郎」その次に白く○を抜いてその中に「」その下に白抜きで「28/2」、次に明朝体で「谷崎潤一郎犯罪小説集」、下部に下向きの将棋の駒に「S」を組み合わせたマークに「集英社文庫」とある。
 カバー裏表紙のレイアウトは大体同じで、左上にバーコード2つ、その下に定価、解説者名、右上にISBNコードでこれは10桁が13桁になっている。その下にCコード、その下に横組みの解説文で前者は10行、後者は13行でともに1行13字。殆どが「白昼鬼語」の紹介である。最後の3行をそれぞれ引いて見よう。

する「白昼鬼語」など、独自/の美意識で構築したミステリ/ー四編を収録。


 これが後者では次のようになっている。

した「白昼鬼語」など、日本に/おける犯罪小説の原点となる、/知る人ぞ知る秀作4編を収録。


 カバー表紙折返し、上部に作者の紹介があり笹沼宗一郎撮影の写真、前者は縦書きで1行めに「谷崎潤一郎(一八八六〜一九六五)」と示し、以下6行。後者は横組みで写真の左に「谷崎潤一郎たにざき・じゅんいちろう」その下に淡い赤紫の横線を引いて7行の紹介文、異同を挙げると、前者の「東京・日本橋生まれ。」の書き出しの前に後者は「1886年7月24日」を加え、「倫理」を「既成の倫理観」に、また最後が「代表作に「春琴抄」「細雪」「順一郎訳源氏物語」。昭和24年文化勲章受章。」となっていたのが後者では「代表作に「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」ほか多数。1965年7月30日、死去。」となっている。右下にともに横組みで前者「装画・林 浩一/AD・中村慎太郎」後者「カバー/四ッ谷憲二」とある。
 カバー裏表紙折返し、レイアウトが違うが上部にある文字は同じで「集英社文庫谷崎潤一郎作品/谷崎潤一郎犯罪小説集」でこれは前者も「谷崎潤一郎犯罪小説集」である*4。後者の右下に将棋の駒にSマークがあって「た-28-2」。(以下続稿)

*1:2013年5月24日追記】これは中公文庫の解説を参照するに、事実誤認であった。そのことを書いた(3)を直ちに上げるつもりだったのだが、そのままになってしまったので今、断って置く。画像検索するに『潤一郎犯罪小説集』の書影がヒットする。

*2:2013年5月24日追記】第3刷(1992年6月5日第3刷)を見た。

*3:7月18日追記】投稿時と書影が変わっているので驚いた。この間増刷があって、余りにも味気なかったカバーを掛け替えたらしい。出来ればAmazon詳細ページには、新しいものに差し替えたら以前に掲載していた書影を完全に削除するのではなく、後でも見られるように残して置いて欲しい。いづれこの改装についても取り上げたい。それから「作者: 谷崎潤一郎, くまおり純」と出るのは、いけないだろう。

*4:2013年5月24日追記】前者の第3刷は白地で何も印刷されていない。