瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

コックリさん(1)

 私はオカルトは苦手で、苦手というより信じる気がないからどう対処していいのか分からないので、ホラー映画もテレビでやっていたり、動画サイトなぞで見つけたりして見ることもあるが、大抵は「そう来たか」と笑いながら見ていて、怖がっていない。ただ、別に、そういうことを信じている人や、疑っていない人も、嫌いではないので、こちらに押し付けてこない限り、構わない。そんなものに引っ掛かってしまう人は、仮に今引っ掛かっている1つを信じるなと言って、説得出来たとして、世の中には似たようなものがたくさんあるので、より変なものに引っ掛かってしまうくらいなら、まだ害の(少)ない占いとか性格判断とかに強固に引っ掛かってくれていた方が良いのである。
 けれども、私もまだ知恵の足りなかった頃には流行に流されていて、小学6年生や中学の頃に、周囲に巻き込まれてコックリさんやら守護霊やらキューピットさんなんかもやったことがある。流石に高校以降はそんなことをやった記憶はなくて、もちろん周囲もやっていなかったと思うが、だからもう30年近く前のことで、今となってはどんな風にしていたかも、よく覚えていない。中学の頃にやったのは、確か、1本の鉛筆を向かい合った2人で握って、50音図やYes/Noや神社のマーク(鳥居)を書いた紙の上に立てて、それが自然に動くというので、私も握ったことがあったと思うのだが、それこそ近藤雅樹『霊感少女論』の類で、相手がそういうことを好む奴だったんだくらいに思っている。2人のうち1人は、大抵、お調子者で誰にでもへーこらするので嫌われている男子だった(ように思う)から。
 それから、10円玉を同じような紙の上を滑らせて行くというのもあった。こっちが中学のときにやった方かも知れない。とにかく、どれがどれだったのか、名前もしかと覚えていないのだが、ただ小学6年のとき、クラスでこの種の遊びが流行ったとき、私はあまりやらなかったが、特に熱心にやっていた男子について、最近おかしい、取り憑かれてる、とか本人のいないところで同級生たちが噂していたのを覚えている。私はその男子と大して親しくなかったので、というか転校生だったから誰ともあんまり仲良くなかったのだけれども、いや別に転校生じゃなくても駄目だったのかも知れないが、――どんなふうにおかしくなったのか、知らない。

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 こんなことを思い出したのは、今日図書館でちくま学芸文庫青山二郎全文集』を何の気なしに手に取って見たら、いきなり「コックリさま」が出てきたからである。

青山二郎全文集〈上〉 (ちくま学芸文庫)

青山二郎全文集〈上〉 (ちくま学芸文庫)

青山二郎全文集〈下〉 (ちくま学芸文庫)

青山二郎全文集〈下〉 (ちくま学芸文庫)

青山二郎全文集 ちくま学芸文庫)』二〇〇三年一月八日第一刷発行・二〇〇四年四月十五日第二刷発行・定価1400円・筑摩書房・441頁
青山二郎全文集 ちくま学芸文庫)』二〇〇三年一月八日第一刷発行・定価1400円・筑摩書房・477頁
 巻頭の「梅原龍三郎」の冒頭が、「おコツクリさま……」なのである。この「梅原龍三郎」の初出は「創元」第一輯(昭和二十一年十二月二十日)でこの青山氏装幀の「創元」の書影は「◆青山二郎の装幀」に掲出されている。その後『眼の引越』に収録された(ようだ。未見)。
眼の引越 (中公文庫 R 28)

眼の引越 (中公文庫 R 28)

 さて、青山氏の記述を確認してみよう。(以下続稿)