瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『野盗伝奇』(2)

・角川文庫7259
【初版】昭和六十三年十二月十日初版発行・定価380円・288頁
 本書については、3月7日付「松本清張『内海の輪』(1)」にて、角川文庫3251『内海の輪』二十三版の「定価380円」のカバーの考証で言及したことがある。カバー裏表紙折返しはこの『内海の輪』二十三版の「定価380円」のカバーにあった「角川文庫松本清張作品集」の目録37点45冊の最後に本書が追加されて38点46冊になっている他は一致。カバー背表紙も同じ形式で、赤地に明朝体白抜きで上部に標題、中央やや下に著者名、下部に黒のゴシック体で「角川文庫 緑 二二七」この下に「―」に挟まれた斜体の数字があるはずだが分類票貼付のため読めない。最下部に「380」。カバー裏表紙は白地で最上部に「ISBN4-04-122748-8 C0193 \380E 定価380円」とあるのみ。
 カバー表紙、左上にゴシック体横組みで大きく著者名、そのすぐ下に青紫色で「matsumoto seichō」とあり、左下にゴシック体で「角川文庫」とある。中央やや上に大きく、上部左と下部右が雲がかかったように一部欠けた赤い日輪、縦に2行で「野盗/伝奇」と白抜きで赤い蜘蛛の糸のような汚れのある標題、背景は淡灰色で薄の原、雲がかかったようなとしたところも薄。
 カバー表紙折返し、最下部右寄りにゴシック体横組みで「カバー 菊池信義」。上部に「野盗伝奇」と題し、明朝体15行(1行16字)の紹介文で、10行と5行の2段落(1字下げ)。ここでは中公文庫カバー裏表紙にあったやはり2段落から成る紹介文と比較しつつ、確認して置く。
 中公文庫では1段落め、1行め「驕慢なまでに奔放な野望に生きる若侍秋月伊助は、」と主人公の紹介で始まるが、角川文庫の方にはこのような主人公個人の形容はない。角川文庫は1〜6行め「 関ヶ原戦の一年後。信州高島藩の/若侍、伊助と家老、兵部はある約束/をかわす。伊助が主君の敵、丹後を/討てば、その報酬として、兵部の美/しい娘、美世を嫁にもらうというの/である。」と時期と発端が記されているが、中公文庫は1〜2行め「家老の/息女を所望し、」と簡単に済ませている。ついで2〜3行め「単身豪族を討って見事に功をたてるが、そ/の約束が裏切られ、野盗の頭目となって復讐を誓う。」と簡潔である。角川文庫の方は6〜10行め「が、命懸けで*1豪傑丹後を暗/殺したというのに、兵部は約束を無/視しようとする。伊助は、復讐の念/に燃え、無法の野武士集団に身を投/じる――。」と、やや詳しい。
 2段落め、中公文庫は4〜5行め「戦国末期の信州の山野を風の如く疾駆する若者の野心と怨/恨。だが、天下の趨勢は大きく新時代へと傾いてゆく――。/」とここで時代と地域を示し、6行め「ロマンの香気高い戦国長篇小説。」とまとめる。角川文庫の11〜15行めは「 強靭なパワーと意志力とそして寡/黙なやさしさをたくわえて*2、愛と誇/りを守るため果敢に戦う男たちの、/友情とロマンにみちた、長編冒険小/説!」となっている。
 本体、1頁(頁付なし)扉、3〜4頁「目 次」やはり2頁に収めている中公文庫と配列など同じ、中公文庫は頁が算用数字であったが半角漢数字になっている。5〜282頁本文、頁付は各頁の上隅、奇数頁には算用数字の頁付に加えて標題「野盗伝奇」が示されるが、そうでないのは「解 説」だけなのだからこれは殆ど意味がない。権田萬治「解説」283〜288頁。1頁17行、1行42字。
 頁付があるのはここまでで、次の頁に下部中央に小さく「本書は、昭和49年4月、中公文庫として刊行されました。」とある。裏は白紙。ついで奥付。裏は「角川文庫発刊に際して」。目録は「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)」の(4)(5)頁の2頁、3段組で1段に21点、標題と著者名、上段11番めから下段1番めの合計33点が松本清張*3。カバー裏表紙折返し「角川文庫松本清張作品集」と比較するに9番めにあった「佐渡流人行」と15番め「神と野獣の日」がない。さらに最後の「乱灯江戸影絵(上)(中)(下)」と「失踪の果て」と本書の3点がない。また「(上)(下)」の分冊を「全二冊」とする。最後に「角川文庫 最新刊」(49)(50)頁の2頁、1頁10点、著者名・標題に2行(1行14字)の紹介文と定価。(以下続稿)

*1:ルビ「が」。

*2:ルビ「きょうじん・か/もく」。

*3:松本氏の前は源氏鶏太、次は石原慎太郎湯川秀樹開高健……。