瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

高木彬光『裂けた視覚』(1)

・角川文庫3906(1)
 高木彬光の作品は、再放送で2時間ドラマを見たことがあるくらいで、読んだのは『わが一高時代の犯罪』くらいである。近藤正臣は、再放送で見たような、見なかったような。最近はテレビ東京の新作を、日曜昼の再放送で見ている。それはともかく、図書館で古い文庫本を漁っていると、高木氏の作品は昭和48年(1973)から角川文庫に収録され、昭和50年(1975)から昭和54年(1979)にかけて、年間10点前後が刊行されるほどであったが、現在はwebKADOKAWAで「著者名」検索してもヒットするのは『大東京四谷怪談』のみ、それも「品切れ/重版未定」なのである。すなわち今でも昭和末年の角川文庫が図書館にそのまま保存されており、新刊・増刷も多かったので当時の角川文庫の細かい変化を観察するには悪くないサンプルだと気が付いた。ただ収拾がつかなくなるだけの危険性もあるが。そこで、初版と十二版を並べてみた『裂けた視覚』についてメモして、当時の流行の一端を覗くとともに、角川文庫観察の足がかりにしようと思った次第である。

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・昭和五十二年五月三十日初版発行・¥340
・昭和五十二年五月三十日初版発行・昭和五十三年七月二十日四版発行・¥340*1
・昭和五十二年五月三十日初版発行・昭和五十八年六月三十日十二版発行・定価380円
 カバー表紙は同じ。上部朱色地に横組みゴシック体白抜きで標題*2、その下にゴシック体クリーム色で著者名、下部は緑青色地で、右から石積みの塀、短髪にコートの丹波哲郎に似た男の上半身、平安時代後期の作風の如来像の上体、やはり短髪の男の顔のアップが並ぶ。バーコード貼付のため印相などは見えない。右下にゴシック体白抜きで「角川文庫」。画像検索しても単独のものはヒットしなかった。
 カバー表紙折返し、横組みで上部に「裂けた視覚」と題して、明朝体16行(1行17字)の紹介文、15行と1行の2段落で段落の頭は1字下げ。下部の広告は初版は5月24日付「角川文庫の角川映画の広告(1)」で触れた「人間の証明」、十二版は3月5日付「角川文庫の「野性時代」の広告(1)」の②。最下部右寄せで「カバー 日暮修一」とある。
 カバー背表紙の地色、初版は鶯茶、十二版は褪色か、緑が抜けている。明朝体白抜きで上部に標題*3、中央やや下に著者名、下部にゴシック体白抜きで「角川文庫 緑 三三八」それから左右を―に挟まれて斜体の算用数字があるはずだが、分類票貼付のため見えない。最下部に白抜きで初版「¥340」十二版「380」。
 カバー裏表紙、白地で最下部左寄せで初版「[¥340]  0193-133831-0946(0)」とあったのが十二版は同じ位置に「定価380円  0193-133831-0946(1)」とある。
 カバー裏表紙折返し、初版は横組みで「角川文庫高木彬光作品集」と題し、明朝体で「人蟻 成吉思汗の秘密/刺青殺人事件 誘拐/破戒裁判 検事 霧島三郎/人形はなぜ殺される 死神の座/ゼロの蜜月 密告者/黒白の虹 大予言の秘密*4/肌色の仮面 失踪/死を開く扉 都会の狼/追跡 わが一高時代の犯罪/捜査検事 炎の女/連合艦隊ついに勝つ 二幕半の殺人/灰の女 脅迫/白昼の死角 死美人劇場/黒白の囮 花の賭/霧の罠 追われる刑事/裂けた視覚」の31点を列挙。
 十二版は1行に「高木彬光作品集角川文庫」と題して、以下明朝体で書名を列挙するが縮小されているが31点めまでは同じ。以下、「断層/ハスキル人 影なき女/帝国の死角(上)(下) 黄金の鍵/法廷の魔女 邪教の神/羽衣の女 波止場の捜査検事/神曲地獄篇 偽装工作/最後の自白 悪魔の火祭/ミイラ志願 一、二、三――死/幻の悪魔 女か虎か/能面殺人事件 邪馬台国の秘密*5/蛇神様 大東京四谷怪談/殺意 呪縛の家/狐の密室 大予言者の秘密/神秘の扉 妖婦の宿/巨城の破片 刺青物語」の29点30冊が追加され、合計60点61冊が列挙されている。下部、左に小さく「カバー 旭印刷」とあって右下がKBマークであるのは一致。(以下続稿)

*1:2014年9月9日追加。

*2:ルビ「さ・しかく」。

*3:ルビ「さ・しかく」。

*4:「大予言」にルビ「ノストラダムス」。

*5:「邪馬台」の上にゴシック体で「改稿新版」と添える。