瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

高木彬光『裂けた視覚』(2)

・角川文庫3906(2)
 昨日の続きで初版と十二版の本体の異同。
 初版の表紙は格子模様の透かしの入った古いもので、1頁(頁付なし)扉も双郭(10.1×6.9cm)の上部に標題と著者名、下部に脚を揃え翼を広げた右向きの鳳凰があって「角川文庫/3906」と全て明朝体。十二版は単郭(11.6×7.3cm)の上部に子持枠(4.5×4.8cm)があってその中に標題と著者名、脚と翼を広げ羽を銜えた左向きの鳳凰、「角川文庫 3906」とある。
 2頁は白紙、3頁から本文で頁付がある。1頁17行、1行43字。358頁まで。359〜363頁仁木悦子「解説」でここは一致。
 364頁は「高木彬光」の紹介。1行め大きく著者名、続いて4行の紹介、異同は2行め「大正九年(一九二〇)―。‥‥」が大正九年(一九二〇)――。‥‥」に、3行め「‥‥で故江戸川乱歩に激賞され/」が「‥‥で江戸川乱歩に激賞され、/」。続いて初版は6行、

〔主要著書〕「刺青殺人事件」「能面殺人事件」「人蟻」「白昼の死角」「成吉思汗の秘密」「破/戒裁判」「検事霧島三郎」「帝国の死角」「誘拐」「人形はなぜ殺される」「死神の座」「ゼロの/蜜月」「密告者」「ノストラダムス大予言の秘密」「黒白の虹」「肌色の仮面」「失踪」「死を開/く扉」「都会の狼」「追跡」「わが一高時代の犯罪」「捜査検事」「炎の女」「連合艦隊ついに勝/つ」「灰の女」「死美人劇場」「黒白の囮」「脅迫」「霧の罠」「花の賭」「追われる刑事」「裂け/た視覚」ほか。

と列挙され、1行分空けて下詰めの12行め「*印 角川文庫所収  」とある。*は標題の最後の1字の右に附されている。書目はカバー裏表紙折返しとは順序が異なる。「二幕半の殺人」がないのは誤脱らしい。
 十二版のカバー裏表紙折返しには、初版で*の附されていなかった「能面殺人事件」「帝国の死角」も載っているが、364頁の方は「帝国の死角」にのみ*が附され、「能面殺人事件」には*のないままである。また11〜14行めに追加、

/た視覚」「二幕半の殺人」「断層」「ハスキル」「影なき女」「黄金の鍵」「法廷の魔女」「邪/教の神」「羽衣の女*1神曲地獄篇」「ミイラ志願」「悪魔の火祭」「一、二、三――死」「女か虎/か」「改稿新版邪馬台国の秘密」「最後の自白」「幻の悪魔」「波止場の捜査検事」「偽装工作」/「大東京四谷怪談」「蛇神様」「殺意」ほか。

 15行めに下詰めで「*印 角川支庫所収  」とある。
 初版の奥付、7.1×5.0cmの角の繋がっていない単郭の右上に初版発行の年月日があり、その下に下詰めで「定価は、カバーに/明記してあります」とある。中央上部に横組みで「角 川 文 庫/避けた視覚*2」その下に「角川/書店」の方印。下部に「著作者  高 木 彬 光/発行者  角 川 春 樹/印刷者  村 沢 達 弘」が縦組みで並び、著作者にルビ「たかぎあきみつ」、印刷者の左脇に住所(郵便番号はなし)、その左に4.9cmの縦線があり、「発行所 〈東京都千代田区富士見二ノ十三/○一〇二○東京一九五二〇八〉 〈株式/会社〉角川書店*3」1つめの○の中に「郵」2つめの○の中に「振」。「株式会社」の割書の左から「電話東京(265)七一一一(大代表)」(265)は特注の活字で1字分、漢数字は半角。匡郭外に、左辺の下寄りに「落丁・乱丁本はお取替えいたします」、下辺の下に「Printed in Japan   旭印刷・多摩文庫/0193-133831-0946(0)」*4
 十二版の奥付は角の繋がっていない単郭(11.5×7.3cm)の上部に子持枠(4.5×4.7cm)横組みで上部に標題*5、その下に著者名*6、下部に翼と脚を広げ羽を銜えた鳳凰、その下に「角川文庫 3906」漢字は丸ゴシック体。子持枠の下の縦組みの文字は、初版発行日と十二版発行日、「発行者――角川春樹/発行所――株式会社角川書店」5字下げ「東京都千代田区富士見二―十三―三/電話東京二六五―七一一一(大代表)/〒一〇二 振替東京③一九五二〇八」。「印刷所――旭印刷 製本所――多摩文庫/装幀者――杉浦康平/落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」1行分空けて右が上で横転して「Printed in Japan 0193-133831-0946(1)」とあって、匡郭の周辺には文字はない。
 「角川文庫発刊に際して」は組み直しか。
 初版は目録2頁あって、1頁めは3段組(1段21点)「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1976年10月」の(13)頁、高木氏の作品は中段10点めから下段13点めまでの25点、「成吉思汗の秘密/人蟻/刺青殺人事件/誘拐/破戒裁判/検事霧島三郎/人形はなぜ殺される/死神の座/黒白の虹/密告者/ゼロの蜜月/ノストラダムス大予言の秘密*7」以上中段、「肌色の仮面/失踪/死を開く扉/都会の狼/追跡/わが一高時代の犯罪/捜査検事/炎の女/連合艦隊ついに勝つ/二幕半の殺人/灰の女/脅迫/白昼の死角」以上下段。カバー裏表紙折返しと比較するに最初の2点の順序が入れ替わっていること、そして「死美人劇場」から「裂けた視覚」の6点がその後の刊行であることが分かる。2頁めは「角川文庫 最新刊」が1頁(1頁9点)。十二版の目録は「角川文庫 最新刊」が2頁(1頁10点)。

*1:鍵括弧が閉じていない。

*2:ルビ「さ・しかく」。

*3:ルビ「かどかわしよてん」。

*4:5月27日付「鳥山喜一『黄河の水』(08)」に記述した角川文庫155『黄河の水』改版八版の奥付を元にメモ作成。並べて見た訳ではないが、標題・著者名・発行日など固有のデータ以外は一致。寸法は縦横0.4cm本書の方が広い。

*5:ルビ「さ・しかく」。

*6:ルビ「たかぎあきみつ」。

*7:ノストラダムス」上詰め「大予言の秘密」下詰め。