瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

勝海舟の談話(1)

・角川文庫2885『氷川清話』(1)
①昭和四十七年四月三十日初版発行
・昭和四十七年八月三十日五版発行(380頁)¥240

・平成五年十月三十日四十一版発行(406頁)定価621円

 勝部真長編。
 私が見た五版と四十一版は頁数が違うが、どこで改版されたのかは例によって示されていない。恐らく昭和末年であろうとの見当は、付けられるのだけれども。
 カバー表紙は同じ*1。五版の方が背景の青みが濃い。Amazon詳細ページには現行のカバー表紙の他に、2種の書影が示されるが、初版のものらしき、表紙側に海音寺潮五郎「『氷川清話』を推す」、裏表紙側に「「日本教徒」の代表人物」と題する、末尾に(イザヤ・ベンダサン 『日本人とユダヤ人』より)とある同書の抜粋の帯が付された方はカバー表紙の地色が濃く、「題字/桜井和寿」の「角川文庫の名作100」の帯が付された方は四十一版と同じくらいカバー表紙の地色が淡い。
 カバー表紙折返し、右下の明朝体縦組み「カバー 勝海舟自筆の「咸臨丸」」は一致。五版は横組みで上部に

あなたは日本人とユダヤ人をもうお読みになりましたか? いまだに天下の話題を独占中ですどこにその秘密があるのでしょう? とにかくお読みくださいすばらしいの一語につきる快著です

とあり、その下、1行強空けて、中央やや上に角切の単郭(5.1×4.4cm、角の曲線部に切れ目あり)に

   超一級のエッセイ
日本人とユダヤ人』は,まず,/とてつもなく面白い。魅力に溢れ/ていて,ぴちぴちと生きがいい。
 近ごろこんな愉快な著作に出逢/った覚えがない。日本人を,その/対極としてのユダヤ人の鏡を借り/て映し出そうという,そもそもの/着想からして,すでに充分効果と/成功の約束されたものと思われた。
         (臼井吉見


 すぐ下に、

日本人とユダヤ人(イザヤ・ベンダサン著)
         角川文庫 ¥200

とある。この臼井氏のコメントは、著者の正体が分かっていて片棒を担いでいるように読める。
 そもそもが帯の裏表紙側に示された『日本人とユダヤ人』による賞揚に促されて角川文庫収録が決まったらしいのである。

 四十一版にはこのような『日本人とユダヤ人』の関連図書としての宣伝はなくなり、上部に次のような紹介文が収まる。「氷川清話」と題して、半行分空けて、

 現代政治の混迷は、西欧の政治理論/の無定見な導入と信奉にあるのではな/いか。
 海舟の大陸的ともいえる先見の洞察/力と、生粋の江戸ッ子気質は、徳川の/社稷を担い、時代の混乱を最少限にく/いとめた。その政治的な立場は薩長閥/政府の中にあって一服の清涼剤であり、/いまなおその魅力を失なわない。
 海舟が晩年、問われるままに遺した/小話は、今日、我々が改めて考え、そ/して帰るべき途がどこにあるかを示し/ている。*2


 カバー背表紙、五版は白地で上部に「氷川清話 付 勝海舟伝」*3中央やや下に「勝海舟」、下部に「角川文庫 白 二〇九/―1 ―/¥240」とある。四十一版は最上部に小さく「か|20-1」とあり、その下に標題は秀英初号明朝、その下にゴシック体で小さく「氷川清話勝海舟*4」中央やや下に秀英初号明朝で「勝 海舟」、最下部にゴシック体で小さく「角川文庫●640」●に白抜き「P」。
 カバー裏表紙折返し、左下に明朝体横組みで小さく「カバー 暁印刷」とあるのは一致。四十一版には右下にKBマークがあるが五版にはないようだ*5
 カバー裏表紙は白地で、五版は左下にゴシック体で「[¥240]  0123-320901-0946(0)」、四十一版は左上にバーコード2つ、バーコード1つめの数字は「9784043209019」2つめ「1910123006409」右上1行め「ISBN4-04-320901-0」2行め「C0123 P640E 定価640円」定価の下に「(本体621円)」。(以下続稿)

*1:2022年7月30日追記】投稿当初、貼付していたASINは次のような書影になってしまったので、昔のカバー表紙を表示するASINと取り替えて置いた。

*2:ルビ「のこ・みち」。

*3:ルビ「ひかわせいわ」

*4:ルビ「ひかわせいわ」。

*5:切除があるので断言は出来ないが。