瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Hans Carossa“Rumänisches Tagebuch”(2)

岩波文庫ルーマニア日記』高橋健二訳(2)
 昨日の続きで、第九刷・第一〇刷・第12刷の本体を比較して見る。
 1頁(頁付なし)扉、匡郭の大きさが第九刷・第一〇刷(10.4×6.5cm)と第12刷(10.6×6.6cm)で異なり、中の文字も組み直されているが、異同は2行め「4869―4870」に下線だったのが「32-436-2」に下線になっているところだけである。
 2頁(頁付なし)は第九刷・第一〇刷は白紙だが、第12刷は上部中央に横組み中央揃えで「Hans Carossa/RUMÄNISCHES TAGEBUCH/1924」と原題がある。
 3頁(頁付なし)中扉、明朝体縦組みで「ルーマニア日記/    (從軍日記)」とあって、一致。
 4頁、上部中央に縦組みで「へビの口から光を奪え」とあるのは同じだが、第一〇刷は第九刷・第12刷に比して3字分上がっている。第一〇刷の「へ」が平仮名なのか、「ビ」に比して細く、やや大きく、若干右に寄っているように見える。第12刷では太くなって「ビ」の上に収まり、書出し箇所が小さく湾曲するようなこともなくなっている。第九刷はさらに太く「ビ」の上に収まり、書出し箇所が小さく湾曲している。
 本文は164頁まで一致(しているようだ)。
 奥付の文字は全て明朝体で、第九刷・第一〇刷は縦組み、中央やや下に四隅の切れた匡郭(7.1×5.0cm)があって、右側に小さく、第九刷は、

昭和二八年三月 五 日 第一刷発行      ルーマニア日記
昭和四七年三月一〇日 第九刷発行        定 価 ★ ★

とあり、第一〇刷は、

昭和二八年三月 五 日 第 一 刷発行     ルーマニア日記
昭和四九年一月三〇日 第一〇刷発行       定 価 ★ ★

とある。以下は第九刷・第一〇刷で一致。
 定価はやや大きく半行分左。2行分空けて「訳   者     高  橋  健  二*1」とあって、以下の縦組みの文字は4月7日付「チェーホフ『桜の園』の文庫本(5)」に紹介した岩波文庫4117『桜の園』第二九刷に同じ。なお、発行所の右の縦線の寸法は4.7cm。匡郭下辺の下中央に横組みで小さく「大日本法令 印刷・製本」とある。
 第12刷の奥付は横組みになっている。これについては第11刷を見た上で記述することとしたい。
 奥付の裏は岩波茂雄「読書子に寄す/――岩波文庫発刊に際して――」、匡郭の大きさが第九刷・第一〇刷(11.8×7.1cm)と第12刷(11.9×7.2cm)で異なる。
 最後に3段組の目録、第九刷は2頁(TB1、TB2)で、上辺の上に明朝体横組みで小さく「考える人――岩波文庫より」とあり、下辺の下、中央に小さく頁付。縦組みで1段に7点収まるがTB1の上段はまず2点分を取って「 人間の解放/   〔選者〕宇野弘蔵中野重治松田道雄」選者名は下寄せ、続いて「シエイエス 大岩誠訳/第三階級とは何か/★★」著者・訳者は上寄せ、★は下寄せ、標題は大きく均等割付。「マルクス エンゲルス 大内兵衛向坂逸郎共産党宣言」「マルクス 長谷部文雄訳/賃労働と資本/」「エンゲルス 大内兵衛/空想より科学へ/★★」「イプセン 竹山道雄/人形の家/★★」の5点。中段は7点、「クロポトキン 幸徳秋水/麺麭の略取/★★★」「幸徳秋水帝国主義」「与謝野晶子自選与謝野晶子歌集/★★★」「島崎藤村/破戒/★★★」「長塚 節/土*2★★★★」「河上 肇 大内兵衛解題/貧乏物語/★★」「有島武郎小さき者へ・生まれいずる悩み/」。下段は「ジョン・リード 原光雄訳/世界をゆるがした十日間〈全二/冊 〉/(上)★★★ (下)★★」「魯迅 竹内好/阿Q正伝・狂人日記★★」「細井和喜蔵女工哀史★★★」「葉山嘉樹/海に生くる人々/★★★」「太宰 治富嶽百景走れメロス★★」6点めの位置に「 生きるよろこび/   〔選者〕桑原武夫/久 野 収」とあって最後に「オマル・ハイヤーム 小川亮作訳ルバイヤート★★」。
 TB2の上段「ニーチェ 秋山英夫訳悲劇の誕生★★★」「トルストイ 藤沼貴訳/少年時代/★★」「石川啄木/啄木歌集/★★★」「三好達治萩原朔太郎詩集/★★★」「堀内敬三・井上武士編/日本唱歌集/★★★」「シェイクスピア 本多顕彰/ロミオとジュリエトの悲劇/★★」「井原西鶴 東明雅校注好色五人女★★」計7点。中段は「スタンダール 桑原武夫カストロの尼/★★」「永井荷風/腕くらべ/★★」「三遊亭圓朝怪談 牡丹燈籠/★★」「コナン・ドイル 菊地武一訳/シャーロック・ホームズの回想/★★」「沈復 佐藤春夫・松枝茂夫訳/浮生六記/★★」「フィリップ 淀野隆三訳/小さき町にて/★★★」「中村俊定校注芭蕉七部集/★★★★」。下段は「井伏鱒二山椒魚・遙拝隊長/★★」「松本慎一・西川正身/フランクリン自伝/★★★」1つ分空けて中段4〜6つめの下に1字下げで小さくこの選の説明。

 これは、岩波文庫創刊四十周年を/記念して、現代に生きるわれわれが/当面している問題、探求しなければ/ならない問題を、「学問の精神」「国/家とは何か」「人生」「人間の解放」/「生きるよろこび」の五つのテーマ/にしぼって選んだ読書のすすめの一/つです。これらのテーマについて解/説した小冊子『考える人』を用意し/ました。ご希望の場合は、岩波書店/宣伝課宛にお申しこみ下さい。
        (一九六七年六月)


 第一〇刷は2頁(D1、D2)で頁付は下辺の下、右寄りに小さく入っている。1段16〜17点、D1の上段1行めは「《ロシア文学》」で残りに16点19冊、中段16点43冊、下段17点25冊、D2の上段5点16冊まで。次に「《ドイツ文学》」で残りに10点22冊、中段17点34冊、下段16点22点、最後の1つ分空白。ともに最後は「一五〇円」の『ロシア文学案内』と『ドイツ文学案内』。
 第12刷は10頁で、1頁めの頁付「X」は下辺の下、右寄りに小さく入っている。右に3段抜き(但し文字は上段を少しはみ出る程度)で「《文庫リクエスト復刊'94年春》」とあり、以下横線で3段に仕切って1段に10点、合計30点40冊、昨日言及した「骨     董 〈ラフカディオ・ヘルン/平 井 呈 一 訳〉」は中段5点め、本書は中段8点めに「ルーマニア日記 〈カ ロ ッ サ/高 橋 健 二 訳〉」と見えている。2頁め以下は「'94,1.現在在庫」で「C-1(〜3、D-1〜3、F-1〜3)」。CとFのノド側、D-1・2の小口側下寄せに「☆印の書目には、文庫版のほかに活字の大きいワイド版〔B6判、並製・カバー〕もあります」とある(括弧は半角)。D-3にはない。(以下続稿)

*1:ルビ「たか はし けん じ」。

*2:1字の標題は上寄せ。