瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山岸凉子「ひいなの埋葬」(11)

 昨日の続き。
山岸凉子スペシャルセレクションIX『鬼子母神』(11)
 しかしながら、この祖母の計略は不首尾に終わります。――3月2日の夜、弥生の寝ていた部屋にいつの間にか入り込んでいたシズオは、初めは吃驚していたもののシズオと気付くや親しげにお喋りしようとする弥生に対して、366頁1コマめ〜367頁3コマめ、

シズオ:「ぼく…男だよ」
弥生:口を閉じ目を見開く
シズオ:「男なんだよ ぼく……ぼくがどうしてここへ来たか 知ってるかいおしえてやろうか /きみをおそいにきたんだよ
弥生:右手の甲を口に当てて「 /シズオ」
シズオ:「でも…だめなんだ できない/ぼくにはできないぼくはきみとねることができないんだ 」【366】
弥生:泣きながら「やめて シズオ そんな言葉つかわないで」
シズオ:「そうだろ これ以上ぼくのような悪魔をつくれっていうのかい/これ以上もう もうたくさんだよ」ガタン 部屋から出て行く
弥生:「シズオ!!

と、この段階ではまだ血友病のことは明かされていませんでしたから、かなり謎めいた、衝撃的な発言をします。
 結末まで読んでしまってから遡ると、――前回引用した、静音(シズオ)の祖母である老婆が梨本家に到着した弥生と会って、ニタッと笑いながら発した謎の言葉「それはもう立派な大人ですねえ」「これで梨本家は安泰です」の意味するところが明白になります。
 しかしながら、当のシズオ(静音)が乗り気でなく、結局この後、静音と影尾医師の婚約が発表された3月3日の晩に、梨本家が滅亡することで、この企ては不首尾に終わるのです。(以下続稿)