瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

菊池規子『わが輩はノラ公』(6)

笠間しろうのアシスタント(4)
 7月18日付(3)及び7月19日付(4)に、高校3年生の菊池氏が笠間氏のアシスタント募集に応募して、との推測を述べたが、メディア芸術データベース(開発版)に挙がっている、菊池氏がアシスタントを務めた笠間氏の諸作は、高校を卒業したばかりの少女には相応しくないものばかりのように見える。しかしながら、このデータベースは「別冊少年ジャンプ」「月刊少年ジャンプ」の細目がまだ入力されていないように、全ての漫画雑誌の細目を網羅している訳ではないのである。
 例えば、こるねブックス店主の日々雑録「こるね日記」に、メディア芸術データベース(開発版)に出ていない、菊池氏がアシストを務めた作品を取り上げている。
 すなわち、笠間氏の初期作品を渉猟した一連の記事、
2014-11-07「K初期作研究①
2014-11-24「K初期漫画渉猟②
2014-12-20「K初期作③
2015-02-18「初期笠間しろう研究(第2回:別冊漫天における笠間しろう)
2015-11-03「初期笠間しろう研究(第何回か忘れた・・・)
のうち「K初期作③」が、この頃の少年誌に於ける笠間氏の活躍に触れている(アシストに注目した記事ではない)。
 まづ「「爆弾美人アコちゃん」(『少年マガジン』昭和45年12月)」を、画像入りで紹介する。見開きで、上部に「フィーリングコメディー 第3弾」とあり(ノドの部分が見えづらい)、右頁の頁付は(138)と読めそうで、ゴシック体横組みで「笠間しろう/アシスト・鈴木正年」とある。この作品についてはメディア芸術データベース(開発版)に採録されているのだが、
【1】「週刊少年マガジン」1970年12月13日号(51号・80円・266頁・B5判平綴)149頁から14枚(4色カラー)
【2】「週刊少年マガジン」1970年12月20日号(52号・80円・266頁・B5判平綴)138頁から12枚
とあって、こるね氏が挙げているのは【2】の方であることが分かるが、このデータには「アシスト・鈴木正年」が入力されていない。――同じデータベースであっても入力担当者によって(或いは入力時の方針の違いによって)データにムラが出来る。そうなると結局一々見て行くしかない訳だが、そんな手間を掛ける余裕は、なかなかないのである。
 それはともかく、こるね氏はもう1点、「「影の目」(『少年キング』昭和45年12月)」を大きな1コマから成る1頁めの画像入りで紹介するのだが、上部に「血も凍る恐怖シリーズ第2弾」とあり(最後の3文字は見えづらい)、コマの右下にゴシック体白抜きで「笠間しろう・笠間プロ作品」その下、欄外に「案協力・ジュン・I スタッフ〈鈴木‥‥/菊池‥‥〉」とある(スタッフ名は見えづらい)。――菊池氏が昭和45年(1970)12月に既に笠間プロのスタッフであったとしたら、上記の私の見当は脆くも崩れ去ったことになる。
 しかしながら、「週刊少年キング」もメディア芸術データベース(開発版)に細目が入力されていないのだけれども、なおもネット検索して見るに、「日本の古本屋」に出品されている「週刊少年キング」昭和46年50号 昭和46年12月5日号に「表紙画・荘司としお「おとこなら」、(読切)山本まさはる「わるのり三九郎 スポーツ狂乱編」50頁読切、笠間しろう「恐怖シリーズ第2弾 影の目」、(連載)もりお竜、梅本さちお、まんが仮面、望月三起也古谷三敏藤子不二雄松森正、中城けんたろう、荘司としお」とある*1。――やはり昭和45年ではなく「鞠子の冒険」と同時期で同じ案協力・スタッフ、私の推測した時期に収まるもののようである。
 「爆弾美人アコちゃん」もお色気路線(?)みたいだが、菊池氏が読んでアシスタント募集に応じたと思しき「切りさかれた青春」はそういう路線でなく、かつ、傑作だったらしい。単行本に収録されていないので情報が少ないのだけれども、ここには秀和のブログ「冒険少年秀和王国」の2016/5/2「切りさかれた青春o(^-^)o笠間しろう(原作・笹沢佐保)」を挙げて置く。――菊池氏がアシスタントになった頃は「官能劇画の大家」に納まっていなかったのである。この「切りさかれた青春」、他の少年誌掲載作とともに単行本に纏められないものだろうか。
 さて、こるね氏の「初期笠間しろう研究」、笠間氏の著作目録が公開されておらず、漫画関連のデータベースもまだ十分整備されているとは言えない現在、瑣事はともかく(どの口が言うのだと突っ込まないで下さい)として大まかな流れだけも纏めて示して置いて欲しいと思う。7月19日付(4)及び7月20日付(5)に列挙した「週刊漫画アクション」と同時期の笠間氏の作品のアシストを菊池氏は務めているはずで、前後、幅を取って昭和45年(1970)から昭和48年(1973)の笠間氏の作品を一通り眺めて置く必要があると思うのだが、門外漢にはこの頃の漫画雑誌を渉猟するのはかなりの難問である。追々「メディア芸術データベース」も整備されるだろうけれども*2。(以下続稿)
2020年1月24日追記ヤフオク!に昨年5月上旬に出品されていた笠間しろう「好奇の目」のカラー原稿の扉に「アシスト〈鈴木正年/菊池規子〉」とある。掲載誌は「漫画■■」保護のために掛かっている硫酸紙に汚れがあるため誌名の後半が読めない。上辺の上左寄せに「■巻末エロチカ」とある。扉含め8枚、1・4・5・8枚めがカラー。

*1:まんだらけ信販売」サイトにて表紙や「もくじ」の画像を確認。90円・少年画報社・292頁。「影の目」は238頁から。

*2:2020年1月24日追記】現在「メディア芸術データベース(開発版)」に代わって公開されている「メディア芸術データベース(ベータ版)」は少々見づらく、削除された情報もあるようだ。