当ブログでは、先月は馬場喜信の道了堂に触れた著述の確認にその大半を費やし、特に、主題の一部として扱っているかたくら書店新書45『浜街道 「絹の道」のはなし』とその論文版「「浜街道《絹の道》―歴史的景観の発掘と史跡化」について一通り眺めて、前者の大塚山公園(道了堂跡)に現存する石造物についての記述を残したところで一旦、中休みに入っている。――同じ本について続けるのはどうにも草臥れるし、他に借りている本でメモして置きたいところもあるので、それを済ませているうちに、思わぬ間が空いてしまったのである。
そう云えば、2月27日付「八王子事典の会 編『八王子事典』(12)」の最後に触れた、『八王子事典』の執筆分担についての見当を述べたかどうか、――改めて書くまでもないだろうが、相原悦夫は建築や祭礼、馬場喜信は地誌であったろうと思われる。
すなわち、2月18日付(12)に注意した、道了堂の解体時期について誤った情報を拡散する根源になっている『八王子事典』の「道了堂」関係項目を執筆したのも馬場氏だろうと思って、2月28日付「八王子事典の会 編『八王子事典』(13)」に引用した相原悦夫『春秋一会・私の人ごよみ』にある通り、当時馬場氏はかたくら書店から立て続けに「地形・地誌系の分野」の著書を出しているので、それらの著書では道了堂についてもどのように述べているのか、一通り確認して置こうと思ったのである。
その最初、馬場氏及びかたくら書店の処女出版(と云う言い回しはもう使ってはいけなくなるのだろうか)が、次の本である。
・馬場喜信『八王子片倉台の地誌』一九七九年 九月 一〇日 発行・一九八〇年十二月二十五日 再版・¥ 四六〇円・かたくら書店・73頁
・かたくら書店新書1『八王子片倉台の地誌』1979年9月10日 発行・1985年5月 3日 追補版・7 0 0円・85頁
カバーはなく白地の表紙から背表紙を経て裏表紙に掛けて、造成中(一部分譲中)の片倉台の航空写真がある。余白は上を広く取って横組み中央揃え、再版はやや上寄りにやや横長の明朝体太字で標題、1行分空けて明朝体で「馬 場 喜 信」とある。追補版は同じ余白の上部にゴシック体で小さく「馬 場 喜 信 著」下部に明朝体太字で標題、その下に「〔追補版〕」と添える。写真の下の余白は狭く、やや小さく横組み中央揃えで、再版は明朝体「か た く ら 書 店」、追補版はゴシック体で2行「かたくら書店新書/1」とある。4月19日付(38)や4月22日付(41)に見た通り、刊行当初は「かたくら書店新書」と云うレーベルにしていなかったので、追補版刊行時に「かたくら書店新書1」にしたのである。
背表紙、再版は写真の上の余白にゴシック体で小さく標題、追補版はやや縦長のゴシック体で標題「地」の字の下辺以下が写真に掛かっており、そこは周囲を白く抜いている。再版は写真の上部に明朝体で「馬 場 喜 信」文字の周囲を白く抜くが文字が細いので気を付けていないと見過ごしてしまいそうだ。追補版は中央やや下にゴシック体でごく小さく「馬場 喜信 著」とある。再版は写真の最下部に著者名と同じように版元名、追補版はゴシック体で「か た く ら 書 店」書までが写真に掛かる。
裏表紙は一部写真、殆どが余白。
見返し(遊紙)、再版は淡い赤紫色の大理石風のエンボスの、文集の表紙に使われてもおかしくない厚紙、追補版はやや厚い淡い黄色、
扉、再版は淡い灰色の、本書で最も薄い紙を使用して、上部中央に表紙と同じ標題があるのみ。追補版は本文共紙で標題は追補版に同じで「地」の右下がややひしゃげる。
1~2頁(頁付なし)「目 次」、1頁の内容は同じだが追補版は拡大されており、さらに「目次」の字間が追補版は1字分詰まり、2行めに寄る。2頁は10行めまでは同じ。残りが再版は、
22. 参考文献、そのほか―地域を知る手がかり…………………………57
〔参考文献〕―武蔵・多摩・八王子……………………………………59
23. 附 表……………………………………………………………………69
あとがき ………………………………………………………………………73
となっていたのが、追補版は次のようになっている。
追補⒈ 完成した片倉台のことなど……………………………………56
追補⒉ なおもつづく開発の時代………………………………………63
参考文献、そのほか―地域を知る手がかり……………………………68
あとがき………………………………………………………………………85
すなわち、再版は(恐らく初版も)23節にしていたのが、参考文献と附表(附図)は附録扱いにして21節とし、追補の2節を増補しているのである。(以下続稿)