以下、シリーズの細目を眺めて行こう。要領は『ほんとうにあったおばけの話』シリーズと同じく、話の末尾の( )内にある注記を引用し、また話の中に見える事件の起こった時期を抜き出して置いた。人名は男女が判明する程度までボカして伏字にした。また『ほんとうにあったおばけの話』に再録されている話にはその旨注記した。
『消えてしまった少女(現代の民話・おばけシリーズ 1)』(1975年3月発行)当時の児童書は奥付にカード記入用のデータが「N.D.C.913 偕成社 208p. 22cm 1975年」と整理されている。
田代美津子「消えてしまった少女」(10〜20頁)
……(元、岩手県花巻市在住の佐々木■三氏の話による)昭和二十八年六月
植木雅子「おばけがくれた青い紙」(21〜30頁)→『ほんとうにあったおばけの話③』
……(高知市塩屋崎町・潮江小学校につたわる話による)
本木洋子「ネコかぼちゃ」(31〜44頁)
……(茨城県北茨城市平潟生まれの石井■■郎氏の話による)今から百年もまえ
小沢長治「髪の毛のながいむすめ」(45〜55頁)
……(東京都立川市砂川町につたわる話による)日本がアメリカと戦争していたころ
松谷みよ子「怪談をつくる話」(56〜61頁)→『ほんとうにあったおばけの話①』
……(旧制姫路高校につたわる話による)
中尾美和「そば一本」(62〜72頁)……(祖母の寝物語より)明治なかばをすぎたころ
千川あゆ子「銭湯から出てきた人」(73〜77頁)
……(東京都北区田端在住の松岡■夫氏の話による)
鈴木逸郎「寄宿舎のおばけタロヒ」(78〜90頁)
……(岩手師範学校女子寄宿舎につたわる話による)
平野ますみ「茂平のくわ」(91〜101頁)→『ほんとうにあったおばけの話②』
……(静岡県磐田郡水窪町の山奥の過疎の村の老婆の話による)
和田寛「ちんちん電車とようかい」(102〜109頁)
……(事件当時の新聞の報道及び和歌山市高松寺住職の話による)明治四十二年/大正のすえ
比江島重孝「おれいにきたゆうれい」(110〜116頁)
……(宮崎県高千穂町三田井の興梠■■ノさんの話による)昭和のはじめごろ
中村ときを「しょうじのむこうの声」(117〜126頁)……(細田■夫氏の話による)
関二郎「薬師菩薩に恋をした話」(127〜137頁)……(法隆寺西円堂の古伝による)昭和二十六年
若林群司「おわかれにきた女の子」(138〜146頁)……(著者の体験による)戦争がおわった年
池速夫「キツネのくれたおりづめ」(147〜152頁)
……(福岡市吉塚一丁目吉原■ネ氏(下臼井出身・八四才)の話による)明治のはじめごろ
久井ひろこ「神社のなき声」(153〜159頁)
……(著者の母・石井■■の話による)戦争がおわって、しばらくたったころ
寺沢正美「骨しゃぶり」(160〜175頁)→『ほんとうにあったおばけの話④』
……(愛知県岡崎師範学校《現愛知教育大学》の寄宿舎の語りつたえによる)明治のおわりごろ
市原麟一郎「あの世からかえってきた男」(176〜182頁)
……(高知県南国市・竹島■江さんの話による)いまから、五十年ぐらいまえ
尾辻紀子「ヒバヤマのおんりょう」(183〜191頁)→『ほんとうにあったおばけの話②』
……(埼玉県川口市郊外の農村地帯につたわる話による)昭和四十九年の正月
石川光男「ゆうれいの出る軍艦」(192〜203頁)
……(元海軍大尉・神長■■氏の話による)昭和十九年九月
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表紙は表題作、雨の中桃色の傘を差して立つ少女。裏表紙は夜の雨中を走るタクシー。背表紙のカットはおかっぱの少女の顔。
カラー口絵の右下には横組みで以下のキャプションがある。
いろりばたのばさまのところへ/ふしぎな女の子がやってきた/『そば一本』*1
「はじめに」と204〜207頁「●ご両親や先生がたへ(解説)」を担当している編集委員は鳥越信。8頁右下に以下のように担当者氏名(総ルビ)が見える。ルビを右側の余白に( )に入れて示して置いた。
●編集委員
加太こうじ 北川幸比古 (かた・きたがわさちひこ)
香 山美 子 鳥 越 信 (こうやまよしこ・とりごえしん)
横 笛太 郎 (よこぶえたろう)
●表紙・カバー絵/口絵/さし絵
中 山正 美 (なかやままさみ)
●さし絵
藤 沢友 一 保 田義 孝 (ふじさわともかず・やすだよしたか)
「●編集委員」は各巻共通。3〜9頁には中山氏によるカットがある。「もくじ」のカットは下部に見開き。
*1:「ばさま」に桃色の傍点「・」。