瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

塩嘗地蔵(044)

・歩く旅シリーズ[街道・古道]山と溪谷社)A5判、カバー、縦組み。

亀井千歩子 文/榊原透雄 写真『関東周辺 街道古道を歩く(歩く旅シリーズ[街道・古道])』(2002年6月初版第1刷・定価1400円・167頁)。
 表紙や扉に副題みたいに「歩いてみたい懐かしい道、/日帰り25コース」とあって、7〜49頁「東京周辺の道」が7コース、51〜97頁「鎌倉・箱根周辺の道」が8コース、99〜134頁「秩父・上州周辺の道」が6コース、135〜160頁「日光・成田・水戸への道」が4コースの合計25コースが紹介されている。50頁と98頁はコラム。160頁までカラー。小さい字で文章も短くはないが、半分以上が写真である。
 「鎌倉・箱根周辺の道」とあるが、鎌倉が2コース、箱根が2コースで、他に白山順礼峠道・大山道(2コース)・足柄古道で、要するに神奈川県の古道が集められている。まず52〜57頁「金沢街道[塩の道]/鎌倉に塩を運んだ中世の道。朝比奈切通しの岸壁が圧巻」で、杉本観音バス停から朝比奈バス停までのコースである。まず53頁、

 鎌倉の中心、鶴岡八幡宮から/東に行くと、鎌倉と横浜の六浦/を結ぶ金沢街道が続いている。/古くは「六浦路」とも「塩の道」/とも呼ばれていた。三浦半島の/東側にある六浦は塩の産地で、/この道は、六浦商人が塩や海産/物を鎌倉に運ぶ道であった。*1

と書き出され、コースの見所を列挙した部分の最後にも「六浦の塩売りの伝説を伝える光触寺など」と見えている(54頁)。
 55頁下は塩嘗地蔵の堂内を撮した大きな写真(10.2×14.8cm)で、奉納された絵馬や「薩菩音世観聖」と墨書した賽銭箱がある。以下に光触寺に関する記述を引いてみよう。

 ハイランド方面への道を見送/り、十二所バス停から光触寺橋/を渡った道の突き当たりに光触【55頁】寺がある。時宗の寺で開基は一/遍上人。墓石が並び、有名な塩/嘗地蔵は本堂の脇に祀られてい/る。もとは金沢街道の傍らにあ/り、六浦の塩売りが毎朝この地/蔵に初穂の塩(お賽銭代わりの/つくり立ての塩)を供えると、/帰りにはないので塩嘗の名がつ/いたという。寺には身代わりに/頬を焼かせたという「頬焼阿弥/陀」が祀られている。*2


 本尊の方が添え物のような扱いになっている。

*1:ルビ「つるがおかはちまんぐう・むつうら」。

*2:ルビ「じゅうにそ・しおなめ・はつほ・ほおやけ」。