・MANGA BUNGOシリーズ(ホーム社)
斜陽 (ホーム社 MANGA BUNGOシリーズ) (ホーム社漫画文庫)
- 作者: 柏屋コッコ,太宰治
- 出版社/メーカー: ホーム社
- 発売日: 2010/09/10
- メディア: 文庫
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平成22年(2010)7月から10月まで、毎月10点ずつ刊行された「MANGA BUNGOシリーズ」の第3弾のうちの1冊。その後、平成23年(2011)10月・12月・平成24年(2012)2月に2点ずつ刊行されて現在46点となっているが、昨年から今年にかけて刊行された6点と、一昨年の40点とはカバーデザインが違う。
1頁(頁付なし)扉、2〜3頁(頁付なし)は「斜陽 人物紹介」で、2頁に「かず子」、3頁に「お母さま」「直治」「上原二郎」そして小さく「和田の叔父さま」と「上原の妻」。
4頁(頁付なし)「目次」、原作と同じく「八」章に分かれているが、番号だけではなく新たに題を附している。5〜39頁「一、終戦」40〜66頁「二、ひめごと」67〜94頁「三、弟の帰還」95〜110頁「四、かず子の手紙」111〜139頁「五、母の最期」140〜168頁「六、革命のはじまり」169〜178頁「七、弟の遺書」179〜191頁「八、かず子の手紙、再び」。
Amazon詳細ページを見るに、2009/1/22「★★ やはり漫画では限界がある」2010/3/16「★★ 漫画だと理解しやすいだろうと思うけど、全然そんなことないです。」2010/6/24「★ 残念な擬音「ひらり」が「コクン」では台無し」それから★★★の1つと、低評価のレビューが並んでいる。しかしこれは、実は本書に対するレビューではないのである。すなわち、「4件のカスタマーレビュー」もしくは「› すべてのカスタマーレビューを見る(4)」をクリックしてみるに、「レビュー対象商品:」は全て「斜陽―まんがで読破 (文庫)」なのである*1。未見だが書影を貼って置く。
- 作者: 太宰治,バラエティアートワークス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2008/01/01
- メディア: 文庫
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さて、内容について気が付いた点を少々挙げて置く。
原作の冒頭シーンは20〜21頁で、擬音は「ひらり」になっているのだが、その前、5〜19頁に、終戦からこの山荘に移るまでの経緯が説明されている。順番が大きく前後しているのはこのくらいで、後は原作に忠実である。ぼや騒ぎの一件、外に積んであった薪が燃えただけのはずだが、40頁(1コマ)、41頁1コマめでは、建物の中のような外のような、軒先から煙が描かれていて、41頁4コマめでは屋内に煙が立ち込めている。なお、40頁1コマめの山荘の外見は、大雄山荘の写真を使用して描かれている。67頁(1コマ)の門も同じく。
79頁6コマめ「カヤノアパート」と173頁2コマめの洋画家のアパートの門構えは一致。145頁7コマめと147頁1コマめに描かれる上原の妻(前者が3頁に使用されている)と、173頁3コマめ・174頁4コマめ・176頁4コマめに描かれる「スガちゃん」の口許、それから174頁2コマめの目許が一致する。
最後、190〜191頁の4コマは蛇足、のように思うが、しかし手紙で終わらせる訳にも行かないから、これで良いのだろう。
もちろん、文章の全てを漫画化している訳ではないので、違いはこれだけではないが、それは気が向いたらやってみることにする。
ところで、かず子はかなり美人である。太田静子(1913.8.18〜1982.11.24)には似ていない。岡野宏文・豊崎由美『百年の誤読』第五章「1941〜1950年」、単行本で読んだのだが今手許に文庫本しかないのでその頁を示すと179〜217頁、「『斜陽』にある戦後のリアリティ」の節(202頁〜206頁11行め)の最後(206頁5〜9行め)に示される、かず子巨乳説が気になるところだが、確かに大きく描いているようだ。
- 作者: 岡野宏文,豊崎由美
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/11/10
- メディア: 文庫
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*1:クリックしないとそれぞれのレビューに「形式:文庫 | Amazon.co.jpで購入済み」との表示があるのみなので、うっかり本書に対するレビューなのかと思ってしまう。尤も、本書に対するレビューが1つもないのも、どうかと思ってしまうけれども。【2015年9月27日追記】久し振りに確認して見たら、本書『MANGA BUNGOシリーズ』のAmazon詳細ページでは『まんがで読破』のレビューが表示されなくなっていた。やはり本書に対するレビューはまだ1つもない。なお『まんがで読破』のレビューはその後2件増えて現在6件になっている。
*2:『斜陽』のように、複数の版元から多くの版が出ているものについては、これを強く希望する。従って「形式:文庫」などという表示も要らない。