瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『人間失格』の文庫本(12)

太宰治映画化原作コレクション(文春文庫)(3)
 一昨日以来の文春文庫「太宰治映画化原作コレクション」。①は昨日済ませたので、今度は②を取り上げる*1
ヴィヨンの妻人間失格ほか 太宰治映画化原作コレクション22009年5月10日第1刷・定価390円・325頁

 カバーのレイアウト、表紙折返し、裏表紙折返しなどは①に同じ。本体の最初の方も①に同じ。7頁(頁付なし)が「ヴィヨンの妻」の中扉で、8〜43頁が本文。以下、45〜69頁「二十世紀旗手」71〜80頁「桜桃」81〜106頁「姥捨」107〜116頁「燈籠」117〜136頁「きりぎりす」137〜184頁「思い出」185〜316頁「人間失格」。
 映画「人間失格」は、6月25日付(06)Amazonの関連商品を貼って置いた。見ていないので感想はありません。
ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD]

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「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」オリジナル・サウンドトラック

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 「ヴィヨンの妻」も見ていないので、他の作品から取った場面もあるらしいが、どれのどこなのか、分からない。
 と思っていたら、複数のブログに、上に貼ったパンフレットなどに使用した作品名が挙がっていた、との記事があった。要するに、本書収録作品のうち「人間失格」以外はこの映画に取られているのだ(そうだ)。してみると、本書は映画「ヴィヨンの妻」を当て込んで編集されたものということになる。
 317〜325頁、池内紀「解説」は、末尾に(ドイツ文学者/「本の話」二〇〇七年五月号より再録)とあるように、もともと「解説」として執筆された文章ではない。もちろん映画とも関係ない。「本の話」は文藝春秋のPR誌で池内氏は2006年5月号から2007年7月号まで「ワキ役の花道」という連載(15回)を執筆している(未見)が、その第13回が「蝙蝠安―太宰治ヴィヨンの妻」」なのである。「蝙蝠安」なんか「ヴィヨンの妻」には出て来ないが、これは池内氏が「『ヴィヨンの妻』はモデル小説である」として、詩人矢野目源一(1896.11.30〜1970.10.12)をモデルとして指摘する、その矢野目氏について吉行淳之介(1924.4.13〜1994.7.26)が目撃した行状が、蝙蝠安みたいだった、と言うのである。
 とにかく「解説」も含めて映画「ヴィヨンの妻」の副読本というべき作りなのである。そして、この同時刊行の「太宰治映画化原作コレクション」の2冊で、没後100年の節目に公開された映画化作品は網羅されていることになる訳だ。
 奥付の前の頁に底本(ちくま文庫太宰治全集』)と差別的表現についての文春文庫編集部の断り書。目録「文春文庫/小説」8頁、①とは別内容、最後の「文春文庫 最新刊」は①に同じ。

*1:投稿当初、ここに「一昨日の時点では『人間失格』で取り上げるつもりだったが『人間失格』は添え物のような作りなので、記事名も『ヴィヨンの妻』にする。」との一文を残していたが削除した。