瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

水村美苗『続明暗』の文庫本(5)

 新潮文庫の一刷を見た。二刷と比較しつつメモして置く。
・平成五年十月二十五日発行(381頁)定価505円
 カバー、表紙は同じ。
 カバー表紙折返し、見たことのないような形式で、新潮文庫がこの位置に著者紹介を入れるようになった嚆矢なのではないか、と思ったりする。白地で、右上に写真、大きさは3.0×2.2cmで第二刷2.5×2.0cmより大きい。やはり黒服で、首を傾げて右を見、左手を後頭部の髪に当てている。その下に明朝体で「水村美苗(みずむら みなえ)」とあって、名前の漢字表記が一回り大きい他、以下の横組み7行(1行17字)の紹介文の活字は本文と同じ大きさ。異同を挙げると「生まれ」→「生れ」、「12歳の時父親の仕事/の都合で家族と共に渡米」→「12歳で渡米」、「ボスト/ン美術学校、イェール大学を経て、/同大学大学院仏文科博士課程修了。/一時帰国ののち再び渡米し、」→「イェール大/学仏文科卒業。同大学院修了後、帰/国。のち、」、「プリ/ンストン大学、ミシガン大学で日/本文学を」→「プリンストン、ミシガン、/スタンフォード大学で日本近代文学/を」、一刷には、以下二刷に列挙される華々しい活躍は未だ記されず、「現在東京在住。」で終わっている。右下にある「カバー装画 安野光雅」は一致。
 ところで、7月10日付(1)に示して置いた、二刷の「本/書『私小説 from left to right』で」であるが、やはり新潮文庫6169『私小説 from left to right』(平成十年十月一日発行・定価629円・461頁)の紹介文をそのまま流用したための誤りで、全く同文、同版だが『続明暗』は文字・写真がやや薄くなっている。
 カバー裏表紙折返し、一刷も二刷と同じく新潮文庫『明暗』の広告で、恐らく同版。私の見た二刷は右半分が切除されていたのだが、一刷で完全なものを見ることが出来た。津田青楓装幀『色鳥』によるカバーである。下部に「カバー印刷 錦明印刷  デザイン 新潮社装幀室」とある。
 裏表紙、左上のバーコードの2つめの下4桁「5203」→「5523」、その下、中央の横線の上に「定価520円(本体505円)」、右上の横組み11行(1行16字)の紹介文は組み直されているが1行め冒頭の「見合い結婚した」→「半歳前結婚した*1」以外は同文、横線の下、左寄りにISBNコード/Cコードは一致、そして「P520E」→「\552E」。
 背表紙、一刷は小豆色、二刷は茶色がかっている。文字は7月11日付(2)に示した二刷に同じで、最下部が黒字で「520」に下線。
 奥付を見るに、二刷発行日が追加されている他、発行者、郵便番号3桁→7桁、電話〈営業部/編集部〉→〈編集部/読者係〉、「振替 東京四―八〇八番」→「振替」漢数字9桁。他は一致。
 本体は一致しているようだ。

*1:ルビ「はんとし」。