瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(1)

 小学校のトイレに「赤いマント」が出る、という話は、高校のときに同級生から聞いたことがある。
 この「赤いマント」は、昭和11年(1936)頃に発生したことになっているようだ。
朝倉喬司『ヤクザ・風俗・都市――日本近代の暗流二〇〇三年六月二十日第一版第一刷発行・定価2400円・現代書館・278頁・四六判上製本

ヤクザ・風俗・都市―日本近代の暗流

ヤクザ・風俗・都市―日本近代の暗流

 昭和62年(1987)7月に発表されたものが最も早く、次いで平成1桁が9本、平成2桁が3本、そして書き下ろし1本の合計14本の論考を収める。1〜4頁(頁付なし)「目次」、5〜8頁「まえがき」、9〜74頁「Ⅰ」3本、75〜159頁「II」5本、161〜228頁「III」5本、229〜276頁「IV」1本に分かれているが「赤いマント」に触れるのは「II」の1本め、76〜97頁「「学校の怪談」はなぜ血の色が好きなのか?」である。277〜278頁「初出一覧」を見るに、277頁8〜9行め(2行め1字下げ)、

学校の怪談」はなぜ血の色が好きなのか?(『別冊宝島・怖い話の本』'96年7月 宝島社 原題「『学校の怪/談』はなぜ血の色が好むのか」)

とあって、8月8日付「別冊宝島268「怖い話の本」(1)」にて見たように、初出誌はその後、ほぼそのまま宝島社文庫に収録され、さらに別冊宝島スペシャル「伝染る都市伝説」に一部が再録されている。この朝倉氏の文章については、9月12日付「別冊宝島268「怖い話の本」(3)」にて、別冊宝島スペシャル「伝染る都市伝説」で改題されていることを確認している。
 今、別冊宝島268「怖い話の本」は手許にないので、『ヤクザ・風俗・都市』と別冊宝島スペシャル「伝染る都市伝説」を比較して置く。
 『ヤクザ・風俗・都市』には副題等はない。節分けもしていない。また、図版の挿入もない。以下、異同を挙げて見る。
・76頁12行め この段落の前に別冊宝島スペシャル233頁2行め「「赤い紙、青い紙」と紙不足」。
・77頁1行め「子供たちの間に」 別冊宝島スペシャル233頁4行め「ガキどもの間に」。
・77頁3行め「『学校の怪談』を」 別冊宝島スペシャル233頁6行め「「学校の怪談」を」。
・77頁6行め「少国民」 別冊宝島スペシャル233頁9行め「小国民」ともに傍点「ヽ」あり。
・77頁10行め「流行った」 別冊宝島スペシャル233頁14行め「流行った/」ルビ「はや」。
・77頁13行め〜78頁1行め、常光徹学校の怪談』の第一巻からの引用、2字下げ(1行めは3字下げ)で前後1行分空白にしているが、別冊宝島スペシャル234頁1〜6行めの引用はそのような処置をせず、鍵括弧(「 」)で括る。従って引用箇所内の台詞は二重鍵括弧(『 』)になっている。
・78頁10〜11行め「松谷みよ子『現代民/話考』(「第二期」Ⅱ「学校」篇 立風書房、一九八七年)」 別冊宝島スペシャル234頁17行め「松谷みよ子『現代民話考』(「第二期」Ⅱ「学校」篇)」。
・78頁12〜15行めの引用箇所、別冊宝島スペシャル235頁1〜4行めの処置は先の『学校の怪談』に同じ。
・79頁9行め この段落の前に別冊宝島スペシャル233頁14行め「口裂け女」を上回るもの」。
・79頁11行め「 中村希明『怪談の心理学』(講談社現代新書、一九九四年)に、‥‥」 別冊宝島スペシャル236頁2行め「 中村希明『怪談の心理学』に、‥‥」。
・79頁12行め「京城(現在の韓国、ソウル特別市)」 別冊宝島スペシャル236頁3行め「京城(現在の韓国、ソウル市)」
・79頁14行め〜80頁1行めの引用箇所、別冊宝島スペシャル236頁4〜8行め。
・80頁6〜7行め「/になっている。/ もとは時間差を‥‥」と段落を改めているが、別冊宝島スペシャル236頁13行め「‥‥になっている。もとは時間差を‥‥」と段落を改めていない。
・80頁11〜14行めの引用箇所、別冊宝島スペシャル237頁1〜4行め。
・81頁4〜10行めの引用箇所、末尾に「(加太こうじ『紙芝居昭和史』立風書房、一九七一年)」とある。別冊宝島スペシャルでは引用は237頁10〜16行めで末尾に「(加太こうじ『紙芝居昭和史』)」、引用の前の237頁9行めに「赤マント伝説の原風景」。
・81頁15〜16行め「‥‥遅ればせすぎる。/ しかし、警察が‥‥」と段落を改めているが、別冊宝島スペシャル238頁5行め「‥‥遅ればせすぎる。しかし、警察が‥‥」と段落を改めていない。
・82頁3行め「『楡家の人びと』(新潮社、一九六四年)に、」 別冊宝島スペシャル238頁8行め「『楡家の人びと』に、」
・82頁5〜8行めの引用箇所、別冊宝島スペシャル238頁10〜13行め。
・83頁10行め この段落の前に別冊宝島スペシャル239頁15行め「流言蜚語が飛びかった二・二六事件」。

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 なかなか本題に移れないが、一応最後まで対照して置くことにして、続きは次回に回す。折角なら初出の別冊宝島268「怖い話の本」とも対照すべきだったが、恐らく別冊宝島スペシャル「伝染る都市伝説」が、この初出の形を引き継いでいるのだと思う。「ガキども」だとか。(以下続稿)