前回、『ぐうたら交友記』と改題されて後も本文中の「周作口談」を改めていないことに触れたが、同じ章の冒頭も次のようになっていた。『周作口談』184頁1行め『ぐうたら交友記』単行本217頁1行め・文庫版151頁2行め、
十五回にわたって連載してきたこの「周作口談」もいよいよ今回が最終回である。‥‥
こういった辺りに手を入れていないところから、連載をそのまま収録したらしく思われる。
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単行本『周作口談』はそれぞれの章の扉(頁付なし)の、右上にゴシック体で題、その左に半行分空けて同じ大きさの明朝体の2行で副題、左下部に秋野卓美(1922.8.18生)による、内容に因んだ人物のカット。扉の裏から本文。1頁15行、1行44字。節題は3字下げ2行取り。
単行本『ぐうたら交友録』は、章の扉(頁付なし)が和田氏によるイラストで、手書きの単郭の上部に、縦書きで章題とその左に1〜2行で副題、下部に内容に因んだ物のカット。裏は白紙でその次の頁から本文でこの頁のみ12行。1頁15行、1行42字。節題は4字下げ3行取り*1。
講談社文庫版『ぐうたら交友録』は、10頁から本文で各章に扉はない。1行めに章題が「 北杜夫氏の巻 世にも不思議な御曹子」と、1字下げでやや大きく題、1字空けて本文の明朝体と同じサイズのゴシック体で副題。節題は4.5字下げ3行取り。1頁19行、1行43字。
それでは細目を一覧にして示す。①『周作口談』・②『ぐうたら交友録』単行本・③『ぐうたら交友録』講談社文庫版*2。
章題 | 副題 | ① | ② | ③ |
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北杜夫氏の巻 | 世にも不思議な|御曹子 | 3〜14-11 | 7〜21-3 | 10〜19-6 |
出発のころ | 焼け野原の東京/をうごめく | 15〜26-10 | 23〜36-13 | 20〜29-9 |
梅崎春生氏の巻 | 懐しくもヘンテ/コな兄貴*3 | 27〜38-13 | 37〜50-11 | 30〜39-4 |
三浦朱門氏の巻 | この彼にホラは|あり得ない*4 | 39〜51-4 | 51〜65-5 | 40〜49-9 |
柴田錬三郎氏の巻 | 錬さんの教えを/守り芥川賞 | 53〜64-2 | 67〜80-7 | 50〜58-13 |
原民喜氏の巻 | あまりに無垢で/哀しい人 | 65〜76-10 | 81〜94-13 | 59〜68-7 |
安岡章太郎氏の巻 | せせら笑う“黄/金賞”の男 | 77〜89-6 | 95〜109-4 | 69〜78-11 |
吉行淳之介氏の巻 | “傘はり浪人”の/面影いずこ | 91〜104-2 | 111〜125-14 | 79〜89-3 |
村松剛氏の巻 | “会津の若様”に|コロリと参る | 105〜116-10 | 127〜140-12 | 90〜99-5 |
亀井勝一郎氏の巻 | 自分の弱さを叱/咤し続ける | 117〜128-13 | 141〜154-9 | 100〜109-5 |
阿川弘之氏の巻 | 狂の字がつくア/ンパン坊や | 129〜141-8 | 155〜169-5 | 110〜119-13 |
近藤啓太郎氏の巻 | 泣く子とこの男/には勝てぬ | 143〜155-9 | 171〜185-9 | 120〜130-2 |
女優さんたちの巻 | 誰も見てない素/顔が見たい | 157〜169-2 | 187〜200-13 | 131〜140-8 |
瀬戸内晴美氏の巻 | アネゴ肌のさえ/ずり姉さん | 171〜182-10 | 201〜214-8 | 141〜150-3 |
狐狸庵山人の巻 | 好奇心旺盛な意/地悪爺さん | 183〜194-6 | 215〜228-3 | 151〜159-13 |
副題は『周作口談』の改行位置を「/」で示し、講談社版『ぐうたら交友録』単行本の改行位置と合致しているところは「|」で示した。講談社文庫版は改行なし。
目次には副題は示されていない。(以下続稿)