私は怪談を聞いても読んでもあまり怖いと思わない。動画サイトに挙がっていた実話風の短篇怪奇ドラマを一通り見たことがあったが、登場人物の行動や思考に突っ込みを入れつつ、基本的に「そう来たか」と思いながら見ていて、あまり聞かないがたまに必要があって(?)稲川淳二のCDを聞いても、同じような感じで怖いと思わない。
一つには、やはり演出があると本当らしく聞こえなくて、わざとらしさが鼻に付いてしまって、却って、――本当のところはどうだったのか、気になってしまうのである。だから、中途半端なままになっているが、遠藤周作が繰り返し書いている体験について並べて見ているのも、本によってかなり食い違っているのが気になってしまうからである。――結論としては、嘘にまみれて……いや、書く度毎に面白可笑しくサービスしようという意識が溢れちゃっている、ということなのだけれども、そうなると何処が「色を付けた」部分で、変わらない要素は何なのか、選別しないではいられないのである。
それで、別に遠藤氏を嘘吐きだと批判しようというのではない。遠藤氏がそのように書かないではいられなかったのと同様に、私も確かめないではいられないだけである。
・角川文庫2851

- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1971/12
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
・昭和四十八年七月十日二十二版発行*1・¥140
・平成七年四月十日六十八版発行・定価379円
・平成十年九月十日七十二版発行・定価420円*2
・新書版上製本*3

- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1994/09
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
・1994年12月15日再版発行・定価971円
・ハルキ文庫『ぐうたら人生入門』角川春樹事務所

- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2011/12/15
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
まず、ハルキ文庫『ぐうたら人生入門』を見た。遠藤氏は繰り返しあちこちに書いているので、とにかく見たことのない本があれば手に取って確かめないではいられない。記述のあることを確認して、さて本の素性を確かめようと奥付の辺りを見るに、奥付の前の頁に、
本作品は、一九七一年に角川文庫より刊行された『ぐうたら生活入門』/を一部割愛のうえ改題したものです。
日本音楽著作権協会(出)許諾第1115608ー101号
とある。著者の没後の改題だから、本人の許可もしくは遺志に拠ったとも思えない。何故そんなことをしたのだろう。それから「一部割愛」したのは何故か、気になる。
とにかくそれで、『ぐうたら生活入門』に遡って、比較して見ようと思ったのである。(以下続稿)