瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

加藤秀俊・米山俊直『北上の文化』(1)

・現代教養文庫416『北上の文化――新・遠野物語――
①旧版
・昭和三十八年四月十五日初版第一刷発行(228頁)定価二〇〇円
②再版
・昭和48年4月15日初版第1刷発行(238頁)
・昭和50年9月30日初版第4刷発行・¥320
 ②再版の奥付には、それ以前の版について何も示していないのだが、226〜228頁「あとがき」の後に229〜236頁「補章 みちのくの谷間はいま」があることで、先にこれがない版が存したことが察せられる。これに続237〜238頁「補章あとがき」に事情が説明されている。初めの段落(237頁2〜8行め)を抜いて置こう。

 この遠野についての本を書いてから、ちょうど十年になる。編集部の田中矗人さんから、こん/ど再版するについてすこし書きくわえてはどうかという話があった。たしかに十年のあいだに、/遠野にも大きい変化があったし、筆者にも十年の人生経験があった。しかし、いま加藤はハワイ/大学にいるし、あらためて書きなおす余裕はない。そこで、数年前に米山が「銀花」という雑誌/のために書いた文章を、補章として付けくわえ、この十年の遠野におけるおよその変遷をたどっ/てもらえるようにした。この文章を書くために米山が遠野を訪れたのは、二人がはじめてこの土/地をみてから、ちょうど十年経過した一九六八年であった。

 なお、増補された229〜238頁以外の部分については、237頁15行め〜238頁2行め、

 旧版のなかのいくつかの事実のまちがいなど、若干の修正を加えただけで、あとはそのままに/した。ある時代の遠野の姿を伝える意味でも、またその当時の私たちの考えをとどめておく意味/でも、そのほうがいいと考えたからである。

とあるように、基本的に「旧版」そのままであるらしい。なお①昭和38年版を「旧版」、②昭和48年版を「再版」としたのはこの「補章あとがき」に拠る。
 「補章あとがき」の最後、238頁4行めに上寄せで「  一九七三年六月二一日」5行め下寄せで「著 者 」とある。

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 この本については3年程前に再版を通読してメモを取り、国会図書館に行って「銀花」も閲覧したのだが、記事にしないまま過ごしてしまった。今、当時のメモが手許にないので、あまり細かい比較は出来ない。(以下続稿)