瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

宮澤賢治の文庫本(1)

・角川文庫1631『セロ弾きのゴーシュ』(1)
 3種のカバーを並べることが出来たので、取り上げてみる。
丸木俊のカバー
【改版二十六版】昭和四十四年二月十日改版初版発行・昭和五十七年八月二十日改版二十六版発行・定価300円・276頁
 上部の暗い桃色地にゴシック体横組みで標題、その下に左寄せでやや小さく著者名、右寄せで小さく「角川文庫」。
・『セロ弾きのゴーシュグスコーブドリの伝記
【改版五十一版】昭和三十二年十一月十五日初版発行・昭和四十二年四月五日十版発行・平成五年六月二十日改版五十一版発行・定価417円・281頁*1
【改版五十三版】昭和三十二年十一月十五日初版発行・昭和四十二年四月五日十版発行・平成六年四月二十日改版五十三版発行・定価417円・281頁*2
【改版五十四版】昭和三十二年十一月十五日初版発行・昭和四十二年四月五日十版発行・平成六年六月十五日改版五十四版発行・定価417円・281頁
 本体の標題は「セロ弾きのゴーシュ」だがカバーのみ標題が異なっている。
 丸木氏のカバーはネットで画像検索すると幾つかヒットするのに、この表紙はなかなかヒットしない。以前から繰り返し述べているところだが、ネット上には昭和末年から平成1桁の情報が少ないのである。
 このカバーの標題・イラストは、平成6年(1994)7月16日公開のアニメ映画「グスコーブドリの伝記」に合わせてのものである*3

グスコーブドリの伝記」に映画公開年「1994」を添えて検索すると、VHSのパッケージ・ちらし・ポスター等がヒットする。しかしながら、角川文庫の書影は表示されない。ここではAmazonで唯一表示可能な金の星社の「アニメ版」絵本の書影*4を示して置く*5
 そこで「セロ弾きのゴーシュ 角川文庫」で検索して見ると、文庫専門ネット古書店「文庫シェルフ」がヒットした。この表紙はポスターと同じデザインで、左から主人公、ネリ、クーボー博士、ペンネン技師、背景に火山の夜景。ポスターの右下にあったブドリとネリの幼少期を示した楕円の窓がカバーにはない。文字は全て横組みで、右下隅にゴシック体白抜きで「角川文庫」、上部に黄緑色のゴシック体で「セロ弾きのゴーシュ・ /グスコーブドリの伝記」とあって、その下に明朝体白抜きで「 宮沢賢治」。映画の題字は使用していない。
 なお、文庫シェルフの「商品の詳細」説明には少々疑問がある。

初版年月日1996年5月
解説者:小倉豊文、庄野英二
定価:540円

とあるのだが、平成8年(1996)5月初版は次の改訂新版である。「定価540円」というのも改訂新版の定価であろう。しかし解説が「小倉豊文、庄野英二」であるのは、改訂新版は庄野英二宮沢賢治の童話について」を別役実「解 説/いのちを感じる」に差し替えているので、改訂新版よりも前の、改版での組み合せになっている。
飯野和好のカバー

セロ弾きのゴーシュ (角川文庫)

セロ弾きのゴーシュ (角川文庫)

【改訂新版】平成八年五月二十五日改訂新版・定価505円・323頁*6
【再版】平成八年五月二十五日改訂新版・平成八年六月二十日再版発行・定価500円・323頁
【改訂八版】昭和三十二年十一月十五日初版発行・平成八年五月二十五日改訂新版発行・平成十八年十月二十日改訂八版発行・定価500円・323頁*7
【改訂十六版】昭和三十二年十一月十五日初版発行・平成八年五月二十五日改訂新版発行・平成二十四年五月十五日改訂十八版発行・定価514円・323頁*8
【改訂十八版】昭和三十二年十一月十五日初版発行・平成八年五月二十五日改訂新版発行・平成二十三年四月五日改訂十六版発行・定価514円・323頁*9
 Kindle版は原則として貼らないつもりだけれども、帯の掛かっていない状態が見られるので参考までに貼って置く*10 現在はまたカバーが違っているようだ*11が、未見。今のところAmazonの書影・なか見!検索は飯野氏のカバーである。帯は未見だが、ネット上に挙がっているもので文字を確認して置くに、濃い桃色地に横組みでまず大きく白抜き斜体で「宮沢賢治全童話」とあり、ついで「刊行開始!<全9冊>/表題作のほかに、生前発表された代表作の数々を収める。/宮沢賢治生誕100年― |角川文庫/最新刊|定価520(本体505円)」とある。(以下続稿)

*1:2016年8月6日追加。

*2:11月26日追加。

*3:11月26日追記】並べて比較していないが、改版五十三版のカバーは改版五十四版のカバーに一致する(ようだ)。【2016年8月6日追記】昨年見たのとは別の改版五十四版と改版五十一版を並べて見たが、カバーは一致する。但し、改版五十一版は映画公開の1年以上前の増刷だから、当初は別のカバーを掛けていたはずである。それは恐らく、2016年8月4日付(19)に紹介した、1箇月前に発行された改版五十版と同じものであったろうと思う。

*4:2018年8月14日追記】VHSが表示出来るようになっていたので追加して置く。

*5:7月19日追記Amazon詳細ページのレビュー3件のうち2件は、平成24年(2012)7月7日公開の杉井ギサブロー監督のアニメ映画『グスコーブドリの伝記』に基づく大型絵本(理論社)のものである。

グスコーブドリの伝記

グスコーブドリの伝記

前々から述べて来たことだが、版元や内容の異なるもののレビューを標題が同じだというだけで混ぜて示さないで欲しい。類似商品として別に示してすぐに移動出来るようにして置けば良いではないか。

*6:11月26日追加。

*7:2016年7月26日追加。

*8:2016年7月26日追加。

*9:2016年10月26日追加。

*10:7月17日追記】昨日投稿したときは飯野氏のカバーが表示されていたのだが、今見ると違っている。

*11:7月17日追記KADOKAWAのHP『セロ弾きのゴーシュ』を指す。実物を見てから詳述するつもりであったが、今日からKindle版で表示されるようになったものとは違っているので、ここに注意して置く。