瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松山ひろし『真夜中の都市伝説』(4)

 2016年12月28日付(2)及び2016年12月29日付(3)に細目を示した。松山氏はこれらの話を、2016年12月18日付(1)でも触れたように、自らの主宰するサイト「現代奇談」の掲示板や、Eメールからも得ていたようだが、一々典拠について説明していない。珍しい話や特異なヴァージョンを紹介するのが目的ではなく、世間である程度認知されている、標準的な筋を紹介して、それに対して常識的な考えに基づく、あまり細部に突っ込み過ぎない解説を添えるというスタイルの型録なのである。
 細かく比較してはいないが、2016年12月19日付「『夢で田中にふりむくな』(1)」に挙げた、少し前に刊行されている『日本の現代伝説』シリーズ(白水社)全4冊と、題材が同じだから当然と云えば当然なのだが、重なるところが多い。書物からも多く取材しているらしい。
 しかし1つ1つの話の解説に、研究者や書名を出すことは殆どなく、それぞれの巻末に「参考文献一覧」として、纏めて示している。そして『3本足のリカちゃん人形』218〜220頁と『壁女』213〜214頁とで、重なるものと一方にしか使われていないものとがある。ここでは両者を纏め、これまで貼付したことのなかったもので、可能なものについては書影を示しながら、挙げて行くことにする。
 それぞれ1行めは明朝体太字で「参考文献一覧」、2行めは前後1行分ずつ空けて【書籍】とあって、3〜9行めに同じ7点、

ジャン・ハロルド・ブルンヴァン『消えるヒッチハイカー』新宿書房

消えるヒッチハイカー―都市の想像力のアメリカ

消えるヒッチハイカー―都市の想像力のアメリカ

ジャン・ハロルド・ブルンヴァン『ドーベルマンに何があったの?』新宿書房
チョーキング・ドーベルマン―アメリカの「新しい」都市伝説

チョーキング・ドーベルマン―アメリカの「新しい」都市伝説

ドーベルマンに何があったの?―アメリカの「新しい」都市伝説 (ブルヴァンの「都市伝説」コレクション)

ドーベルマンに何があったの?―アメリカの「新しい」都市伝説 (ブルヴァンの「都市伝説」コレクション)

ジャン・ハロルド・ブルンヴァン『メキシコからきたペット』新宿書房
メキシコから来たペット―アメリカの「都市伝説」コレクション

メキシコから来たペット―アメリカの「都市伝説」コレクション

ジャン・ハロルド・ブルンヴァン『くそっ!なんてこった』新宿書房
くそっ!なんてこった―「エイズの世界へようこそ」はアメリカから来た都市伝説

くそっ!なんてこった―「エイズの世界へようこそ」はアメリカから来た都市伝説

ジャン・ハロルド・ブルンヴァン『赤ちゃん列車が行く』新宿書房
赤ちゃん列車が行く

赤ちゃん列車が行く

 
ロルフ・ヴィルヘルム・ブレードニヒ『悪魔のほくろ』白水社
ヨーロッパの現代伝説 悪魔のほくろ (白水Uブックス)

ヨーロッパの現代伝説 悪魔のほくろ (白水Uブックス)

ロルフ・ヴィルヘルム・ブレードニヒ『ジャンボジェットのネズミ』白水社
ジャンボジェットのネズミ―ヨーロッパの現代伝説

ジャンボジェットのネズミ―ヨーロッパの現代伝説

 


 『悪魔のほくろ』は単行本(上製本)の書影が表示されないので仮に新書版を貼付した。
 1行分空けて、続く何点かは異なっている。『3本足のリカちゃん人形』218頁10行め〜219頁2行めは、

エドガール・モランオルレアンの噂みすず書房

オルレアンのうわさ―女性誘拐のうわさとその神話作用

オルレアンのうわさ―女性誘拐のうわさとその神話作用

 
セシル・アダムス『こんなこと、だれに聞いたらいいの?[疑心暗鬼の巻]』早川書房218セシル・アダムス『こんなこと、だれに聞いたらいいの?[快刀乱麻の巻]』早川書房セシル・アダムス『恥ずかしいけど、やっぱり聞きたい』早川書房 


 「[快刀乱麻の巻]」は「[快答乱麻の巻]」が正しい。
 『壁女』213頁10行め〜214頁1行めは、

ベン・C・クロウ『巨人ポ−ル・バニヤンちくま文庫

巨人ポール・バニヤン―アメリカの奇妙な話〈1〉 (ちくま文庫)

巨人ポール・バニヤン―アメリカの奇妙な話〈1〉 (ちくま文庫)

ベン・C・クロウ『ジャージーの悪魔』ちくま文庫
アメリカの奇妙な話〈2〉ジャージーの悪魔 (ちくま文庫)

アメリカの奇妙な話〈2〉ジャージーの悪魔 (ちくま文庫)

 【213】
ウィリアム・パウンドストーン『大秘密』早川書房
大秘密―噂・都市伝説・憶測の真相あばきます (ハヤカワ文庫NF)

大秘密―噂・都市伝説・憶測の真相あばきます (ハヤカワ文庫NF)

 


 1行分空けて、続く5点は同じ。

池田香代子、大島広志、高津美保子、常光徹、渡辺節子(編)『ピアスの白い糸』白水社
近藤雅樹池田香代子、高津美保子、常光徹、三原幸久、渡辺節子(編)『魔女の伝言板』/白水社
池田香代子、大島広志、高津美保子、常光徹、渡辺節子(編)『走るおばあさん』白水社
岩倉千春、大島広志、高津美保子、常光徹、渡辺節子(編)『幸福のEメール』白水社
 
渡辺節子、岩倉千春『夢で田中にふりむくな』ジャパンタイムズ
 


 『日本の現代伝説』シリーズ(白水社)は、既述のように「編・著者」は5人ずつ、50音順に並べているから『魔女の伝言板』に、近藤の次に池田が来るのはおかしいのだが、実際『魔女の伝言板』に池田氏は参加していない。また『走るおばあさん』は『走るお婆さん』が正しい。
 以下は異なっている。『3本足のリカちゃん人形』219頁9行め〜220頁4行め、

佐藤健二『流言蜚語』有信堂高文社

流言蜚語―うわさ話を読みとく作法

流言蜚語―うわさ話を読みとく作法

 
川上善郎『うわさが走る』サイエンス社
うわさが走る―情報伝播の社会心理 (セレクション社会心理学 (16))

うわさが走る―情報伝播の社会心理 (セレクション社会心理学 (16))

 
川上善郎、佐藤達哉、松田美佐『うわさの謎』日本実業出版社【219】
うわさの謎―流言、デマ、ゴシップ、都市伝説はなぜ広がるのか

うわさの謎―流言、デマ、ゴシップ、都市伝説はなぜ広がるのか

【雑誌、ムック】
 
別冊宝島 92 うわさの本』JICC出版局
うわさの本 (別冊宝島 92)

うわさの本 (別冊宝島 92)

 
『伝染る「怖い話」』宝島社
伝染る「怖い話」 (宝島社文庫)

伝染る「怖い話」 (宝島社文庫)

 
幻想文学 56号 特集◎くだん、ミノタウロス、牛妖伝説』アトリエOCTA


 「うわさの本」については2013年10月12日付「鬼島さん(2)」に触れたことがある。取り上げるつもりだったのがそのままになってしまった。
 『伝染る「怖い話」』は、2013年8月8日付「別冊宝島268「怖い話の本」(1)」、2013年8月28日付「別冊宝島268「怖い話の本」(2)」、2013年9月12日付「別冊宝島268「怖い話の本」(3)」に細目を挙げて検討した。書影が表示可能になっていたので貼付した。
 『壁女』は【雑誌、ムック】がなく214頁8〜9行め、最後に2点挙げている。

小池壮彦『怪奇探偵の実録事件ファイル2』扶桑社
 
広坂朋信『東京怪談ディテクション』希林館


 『怪奇探偵の実録事件ファイル2』の書影は2011年10月13日付「七人坊主(1)」に貼付した。
 『東京怪談ディテクション』の書影は2016年8月30日付「広坂朋信『東京怪談ディテクション』(1)」に貼付した。なかなか準備が整わず(他のことにかまけたりして)内容の検討に及ばずにいる。(以下続稿)