瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

横浜開港記念会館(1)

 先月、横浜開港記念会館の前を通り掛かったら「一般公開日」という看板が出ていた。私は横浜開港資料館の企画展を毎回見ていて、その度に開港記念会館の前を通るのだけれども、中に入ったことがなかった。
 講堂の1階に入ると、舞台のグランドピアノで、綺麗な感じの若い女性が私の聞いたことのない綺麗な曲を、少々とちりながら弾いていた。途中からだったが最後まで聞いて、他の3人ばかりの聴衆とともに拍手をして講堂を出る。
 順路とは逆に回って、2階の特別室を覗き、それから便所に入ると、2013年2月21日付「七人坊主(38)」に紹介した私のお気に入りだった大学の便所に似ていたので嬉しくなって用を足してしまった。尾籠な話で済みません。それから、さっき下から見上げた講堂の2階席に入ってみると、舞台では別の女性が Gabriel Fauré(1845.5.12〜1924.11.4)の Nocturne No.4 in E Flat Major, Op.36 を弾いていた。座席は立入禁止で座れないので、2階席の入口附近に立ったままこれも最後まで聞く。1階席に誰もいないのか、今度は拍手をする人もいない。2階から拍手するのも変だと思っていると、そのまま舞台から下りてしまったので、私も黙って講堂を出る。
 それから、広間の油絵や、ステンドグラス、資料コーナーを眺めて、1階に下りるとさっき、フォーレを弾いていた女性に出会した。さっきは上から見下ろしていて、髪の毛に顔は隠れていて全く分からなかったが、可愛い感じの若い女性であった。それから1号会議室を眺め、また講堂1階席に入って、誰もピアノを弾いていないので舞台に上がって見回してみる。グランドピアノは職員に声を掛ければ20分を限度に自由に弾いて良いそうだ。
 入口で手にしたパンフレットを見るに、一般公開日は月1回で、この日は講堂や1号会議室を貸し出しておらず、10時から18時まで見学出来る。それ以外の日の「見学」は10時から16時まで、廊下や階段・資料コーナーが見られるだけで、講堂や会議室には入れない。ということは、あのグランドピアノを短い時間でも弾くことが出来るのは月に1度なのだ。私の聞いた2人とも、とちってはいたが十分上手かった。レトロな雰囲気の大きな講堂で、グランドピアノを弾ける機会ということで、わざわざ弾きに来ていたのかも知れない。
 自分がかつて小説らしきものを書いていたことを、旧作を2月16日付「恠異百物語(1)」以下に引っ張り出したことで思い出した、と云うか、改めて意識した私は、ふと、毎月、このピアノを弾きに来る美女の話を発想して、……あまりの陳腐さに我ながら苦笑いする。まぁ小説家なんかにはなれない訳だ。
7月3日追記】昨日の夕方、開港記念会館の前を通りかかったら、開港記念会館100周年記念月間イベントの「記念コンサート」が終わって、後片付けをしているところであった。――それはともかく、しばらく前に気付いていたのだが「開港記念会館」を「開港記念館」と誤記したままになっていたのを訂正した。