瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

遠野市立博物館『「柳田國男と遠野物語」』(1)

・B5判並製本(79頁)
 表紙や扉には標題以外特に何も示されていないが、4頁「「柳田國男遠野物語」目次」の下にある「凡例」に、2〜4行め、

一、本書は、平成四年七月二五日から八月/ 三十日まで開催する第二五回特別展「柳/ 田國男と遠野物語」の解説図録である。

とあるように、3頁「ごあいさつ」を執筆しているのが「平成四年七月」当時の「遠野市立博物館館長」であった白金久四郎で、奥付に「発行 遠野市立博物館」とある、遠野市立博物館の特別展の解説図録である。しかしながら、79頁の裏の奥付には私の見た本は発行日が3行、
・平成 四 年七月二十五日 初版
・平成 六 年三月三十一日 二版
・平成十二年五月 二十 日 三版
とあって、展示に関係なく増刷されている。用紙は全てアート紙でカラー頁が多い。定価表示はないが遠野市立博物館のサイトに拠ると、現在1800円で販売されている。
 特別展の名称がそのまま標題になっていて、表紙・1頁(頁付なし)扉、及び4頁「目次」そして74頁「第25回特別展「柳田國男遠野物語」出品目録」まで「「柳田國男遠野物語」」であるが、奥付の標題は「「柳田國男と『遠野物語』」」と書名を二重鍵括弧で括っている*1
 56〜59頁、柳田氏の長男・柳田為正「「写音機壱個」再発見始末」に誤植がある。すなわち、56頁7〜8行め「‥‥、どこかへれこんだ/ことかと思われます処、‥‥」は、もちろん「紛れこんだ」である。
 開催時期にはまだ存命であった、直接柳田氏を知る人物や、その子息からの出品もあり(もちろん柳田氏が長命であったから、壮年期の知友の子息と、晩年に親炙していた人とは歳が変わらない訳だけれども)いろいろと興味深い図録である。――『遠野物語』については、近年新潮文庫に再度の改版が行われたので、平成4年(1992)の改版での改悪、すなわち「遠野物語拾遺」の削除と2011年4月7日付「柳田國男『遠野物語』の文庫本(03)」から2011年5月14日付「柳田國男『遠野物語』の文庫本(13)」に掛けて批判した、吉本隆明の「『遠野物語』の意味」と云う意味不明の文章の追加、この2点がどうなっているか気になって手にして見たのだが、これがともにそのままだったので何だか拍子抜け(?)してしまって、何度か3つの版を手許に揃えたこともある*2のだが、その度毎に記事にしないまま返却してしまった。それから京極夏彦遠野物語remix』も原文が付いた角川文庫と、京極氏の訳のみの単行本と角川文庫と計3冊、同じく『遠野物語拾遺retold』も同様に3冊、これも何度も揃えて借りながら記事にしないまま返却している。どうも、気力も萎えて来て柳田國男関係の記事をしばらく上げるつもりになれないのだけれども、今後何か書こうと思った折の参考にするべく、ここにこの図録についてのメモを上げて置く次第である。(以下続稿)

*1:私は鍵括弧で引用する場合、原文の鍵括弧を二重鍵括弧に改めると云う規則には従わないことにしている。

*2:6月17日追記2015年4月24日付「柳田國男『遠野物語』の文庫本(28)」に諸版・諸刷のリストだけ上げて置いた。