瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

朝里樹『日本現代怪異事典』(3)

浅川駅(2)
 昨日の続き。
 話の内容については典拠である、「ニュース速報VIP+@2ch新機能実験場」の過去ログ倉庫に格納されているスレッド「駅から異世界に行ってきた話」の「3」→「20」→「27」→「49」番を参照してもらえば良いと思っていたのですが、やはりいろいろ面倒なので「浅川駅」項の前半、31頁下段8〜19行め、朝里氏に拠る概要も引用して置きましょう。

 JR東日本立川駅に現れた「大月」行/きのオレンジ色の電車に乗ったところ、通/過したという存在しないはずの駅の怪異。/気持ちが悪いほどに青く染まった雲一つな/い空の下、周りに何もなく人の気配もなく/小鳥のさえずりだけが聞こえてくる屋根付/きのホームという様相をしている。この駅/では京王線に乗り換えが可能という旨のア/ナウンスが流れる他、ここを通過すると/相模湖駅に到着するという。また携帯の電/波が届かなかったり地図に表示されなかっ/たりといった怪奇現象も生じるようだ。


 後述するように、この要約は典拠の工夫を生かし切れていません。
 さて、この手の話を「異界駅」と朝里氏は命名しているようです。8月22日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(39)」に触れた444〜449頁「類似怪異索引」を参照するに19項目中最後の19項めに、449頁上段21行め「異界駅の怪」として、22〜24行め*1

▼きさらぎ駅に代表される、近年インター/ネット上で語られる存在しないはずの駅の/類。相承としては異界駅を使う。

と説明し、中段1行め〜下段4行めまで、27項が列挙されており、それなりに流行っていることが察せられます。
 しかしながら、私は全く興味を覚えません。……そもそもこんなことは有り得ないのだから、見たと云うのなら夢を見たか、寝惚けて勘違いをしたか、さもなければ投稿者の創作です。――流行に乗じて自分も作って見ようと思い付いて、創作して投稿する人がいて、掲示板にコメントする人たちも分かっていて乗っているようにも思われるのです。
 そしてこの「駅から異世界に行ってきた話」も、本人の書き込み「49」番に拠ると「趣味でコンピューターいじりなどをしているただの学生」だと云う投稿者は、いろいろと細かい工夫を凝らしているのですが、残念ながら朝里氏はそこのところを十分に汲み取れていないのです。(以下続稿)

*1:▼は下向き。