瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(93)

・TBSラジオ東京RADIO CLUB 編『東京ミステリーとっておきの怖い話』(3)
 昨日からの、以下3点の比較の続き。
〔2〕事件
【A】「民話と文学の会かいほう」No.50(1987.7)大島広志「父の背中」
     →『ピアスの白い糸』(1994.11)167頁2~3行め

・・‥。父親もノイローゼ気味になったとき、/母親を殺して台所の床の下に埋めてしまいました。‥‥

【B】講談社KK文庫『学校の怪談2』(1991.8)常光徹「おとうさんの肩」169頁12行め~171頁1行め

・・‥、とうとう父親までノイローゼぎみになりました。*1
 ひどいつかれと不安がかさなった父親は、ある晩、母親を殺して、台所の床の下【169】にうめてしまいました。*2


 170頁は挿絵で、結末を描いたものなので次回紹介する。
【C】「東京ミステリー」(1992夏)O・Sさん「お父さんの背中」218頁1~11行め

 その夜は、男の子は幼稚園のキャンプで家にいませんでした。
 子供がいないせいもあって、この日の夫婦喧嘩はいつもよりエスカレートしていきまし/た。ふたりは口汚なくののしりあいました。見ると妻は鬼のような形相になって夫に詰め/寄っています。夫はそんな妻を見て、ついカッとして、手にもっていた花瓶を振り下ろし/てしまいました。
「ガツン」
 鈍い音とともに、妻はその場に崩れるように倒れてしまいました。口からは泡のように/血が溢れています。
 夫は慌てて駆け寄りましたが、もう息をしていませんでした。
 しばらく考えこんでいた夫ですが、決心したように死体を運ぶと、その家の床下に埋め/てしまったのです。


 母親を殺したときの状況が細かくなっている。子供の外泊中に喧嘩がエスカレートした、と云う設定は2018年8月22日付(39)の最後に書き添えたテレビ朝日金曜ナイトドラマ「dele」第4話(2018年8月17日放映)が同じで、或いはこの手の話の影響を受けているのではないか、と想像を逞しくしてしまった。(以下続稿)

*1:ルビ「ちちおや」。

*2:ルビ「ふあん・ちちおや・ばん・ははおや・ころ・だいどころ・ゆか・した/」。