・田辺聖子『私の大阪八景』(14) タヌキ先生⑥
昨日書影を示した河合隼雄対談集『あなたが子どもだったころ』の四六判並製本(光村図書出版)と四六判上製本(楡出版)の関係だが、頁数が一致するところから察せられるように、装幀が違うだけで本体はほぼ同版である。しかし上製本には、これが3年前に刊行した並製本の改装版であることを断っていない。
260~261頁「あとがき」の冒頭、
本書は『飛ぶ教室』第13号より第22号までに、「あなたが子どもだったころ」という題で連載/したインタビューをまとめたものである。
とあって、都立図書館のOPACで検索するに、雑誌「飛ぶ教室 児童文学の冒険」は創刊0号(1981年10月25日発行)から、ほぼ年4回刊行の季刊で53号(1995年4月20日発行)まで、別冊2冊を含め合計56冊が刊行されて休刊し、10年後の復刊特別号(2005年4月25日発行)から1月(冬)4月(春)7月(夏)秋(10月)の25日発行の季刊で、今月には第58号が刊行されることになっている。
- 作者: 瀧羽麻子,東山彰良,香桃もこ,行成薫,深緑野分,池辺,晋一郎,伊藤亜紗,橋本幸士,聞かせ屋。けいたろう,三辺律子,真鍋真,小山田浩子,町屋良平,加藤休ミ,あべ弘士,内田麟太郎,衿沢世衣子,川端裕人,木下龍也,斉藤倫,小路幸也,陣崎草子,新沢としひこ,鈴木るりか,せきしろ,tupera tupera,那須田淳,二宮由紀子,文月悠光,小手鞠るい,ヨシタケシンスケ,長崎訓子,及川賢治,安藤由希,金原瑞人,幅允孝,飛ぶ教室編集部,カシワイ,千海博美,akira muracco,朝野ペコ,市村譲,平澤朋子,長谷川義史,高畠那生
- 出版社/メーカー: 光村図書出版
- 発売日: 2019/07/25
- メディア: 雑誌
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そんな訳で、いろいろと問題のある本なのだけれども、並製本と上製本のどこが違うのかは、講談社+α文庫版も見た上で述べることにして、今回は差当り田辺氏の対談について見て行くこととする。
河合氏との対談が10人収録されているが、田辺氏は2人めである。雑誌掲載順に収録されているとすれば第14号(1985年5月1日発行)に掲載されたことになる。これも近いうちに確認する機会を持ちたいと思う。
37頁(頁付なし)は扉で上部中央に明朝体太字の縦組みで「田辺聖子/ 人生のけじめを体得している人」と題して、裏(頁付なし)は右下に長新太(1927.9.24~2005.6.25)の毛筆らしい装画。39頁から2段組(1段17行、1行20字)の対談で59頁14行めまで、1字下げ2行取りのやや大きいゴシック体の見出しがあり、39頁上段1行め「人生のいちばん初めのレッスン」、44頁下段15行め「万引き衝動が消えてから物語を……」、48頁下段6行め「小学四年生という時代」、51頁上段13行め「大きな意味をもって存在する男の子」、55頁上段7行め「ロマンチストだった父」の5つの節に分けられている。41頁上段に田辺氏の写真。60~62頁(2行め)は段組みなしの河合氏の感想で1頁17行、1行43字、題はない。
さて、タヌキ先生のことは1節めと3節めに見えている。次回、引用しつつ『楽天少女 通ります 私の履歴書』と『田辺写真館が見た ”昭和” 』、そして『私の大阪八景』との関連を見て行くこととしよう。(以下続稿)