瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(182)

田辺聖子『私の大阪八景』(1)
 昨日の続き。
 田辺氏が赤マントを持ち出した小説は、30代で書いた自伝風の連作『私の大阪八景』であった。
 しかるに、人気作家の作品でありながら「赤マント 田辺聖子」で普通に検索してもヒットしない。すなわちネット上では田辺氏が赤マントを小説に取り上げていることが全く話題になっていないのである。
田辺聖子全集』第一巻(二〇〇四年九月十日第一刷発行・集英社・口絵+553頁・A5判上製本

 549~553頁、浦西和彦「解題」の、549頁4行め~552頁8行め「私の大阪八景」の項、549頁5~11行め〔初出〕と549頁12~16行め〔収録〕を見て置こう。書影を示せるものは〔収録〕に挿入して置いた。

〔初出〕
 「のおと」昭和三十六年十二月一日発行 第八号(表題「民のカマド 私の大阪八景 その一 福島界隈」)
 「大阪文学」昭和三十七年九月二十日発行 №9(「のおと」を誌名改題。表題「陛下と豆の木 私の大阪八/  その二 淀川」)
 「大阪文学」昭和三十八年七月一日発行 №10(表題「神々のしっぽ 私の大阪八景 その三 番場町・教育塔」)
 「文學界」昭和四十年九月一日発行 第十九巻九号(表題「われら御楯」)
  *最終章「その五 文明開化〈梅田新道〉」は、昭和四十年の初単行本化の際、書き下ろされた。
〔収録〕
 『私の大阪八景』昭和四十年十一月一日発行 文藝春秋新社

私の大阪八景 (1965年)

私の大阪八景 (1965年)

 『私の大阪八景』〈角川文庫〉昭和四十九年十一月二十日発行 角川書店 『私の大阪八景』昭和五十年四月五日発行 文藝春秋
私の大阪八景 (1975年)

私の大阪八景 (1975年)

 『田辺聖子長篇全集 1』昭和五十六年十月一日発行 文藝春秋
 『私の大阪八景』〈岩波現代文庫〉平成十二年十二月十五日発行 岩波書店
私の大阪八景 (岩波現代文庫)

私の大阪八景 (岩波現代文庫)


 その後、角川文庫は改版されている。
・角川文庫20485

私の大阪八景 (角川文庫)

私の大阪八景 (角川文庫)

・昭和49年11月20日初版発行・平成29年8月25日改版初版発行(278頁)定価760円
 今回は、前置きに大阪育ちの母のこと、しかし息子の私は大阪にあまり馴染みがあるとは言い難いことを述べ、さらに何故、本書の赤マントが従来注目されて来なかったのか、その見当まで述べるつもりであったが、作成途中でフリーズしてしまい、その分を破棄せざるを得なくなったので、次回以降に回す。――Windows 7 のサポートも終了し、バッテリはもう消耗して殆ど充電出来なくなっているから、もうそろそろ買い替えないといけない。(以下続稿)
8月17日追記田辺聖子長篇全集1『花狩 感傷旅行 私の大阪八景』*1(一九八一年十月一日第一刷・定価一八〇〇円・文藝春秋・330頁・四六判上製本)を見た。続稿にも適宜追記する。

*1:ルビ「センチメンタル・ジャーニィ」。