瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

睡眠不足(6)

 例年、この時期は庭の梅を朝晩拾って、洗って陰干しして、寝る前に数百粒、蔕を取り甚だしい傷がないか1粒1粒確かめながら硝子瓶に放り込んで、と云った作業で睡眠不足になる。今年は実の成る時期が少し早かったので、初めの頃の分は無駄にしてしまった。それでも合計で20リットル漬け、さらに小瓶に200粒くらい、最後の方に取った無傷のものを選って塩漬けにした。それから、高枝伐り鋏を買って軒や壁に掛かりそうな枝を払った。また伐る必要がありそうだが、差し当たり風雨に遭っても触れなくなった。そして根元から芋蔓が伸びてきて、纏わり付きつつある。揚羽蝶が飛んでくるようになったから、そのうち芋の葉を芋虫がもりもり食べる姿を目にすることになろう。
 しかし、これらの作業はもう10日ほど前に済んで、今年はさほど睡眠不足にもならずに済んだ。いや、少しは睡眠不足になったとは思う。
 しかしながら、一昨晩と昨晩の遅くに、日付が変わった頃だから昨日今日、居室のエアコンの裏手で何物が何かを囓るような音がして、起きてタオルケットでエアコンを何度か叩いたら静かになった。昨日はそのまま静まったが、今日は続いて軽い足音がした。鼠である。
 このせいで、今、どっと疲れている。梅の実の作業の疲れを余り意識していなかっただけに、急激な落ち込みになっている。
 とにかく、何とかしないといけないので、昨日の日中、天井裏で、少し古くなったバルサンを焚いてみたのだが、効果はなかったようである。
 今の家に越してきて十数年になるが、6年前、鼠に侵入されて、野菜を囓られたりした。階段の下の物置や洗面台の照明の上などに隙間があって、そこから侵入して来たのだが、そもそもは、床下の通気窓の格子がいつの間にか全て取れてしまって、そこから自由に床下、さらには天井裏まで出入りし、そして上記の隙間から室内にまで入ってきたらしい。以前住んでいた戦前のお屋敷で鼠に入られたとき、役所に行けば殺鼠剤と粘着板をもらえることを知っていたので、市役所に行って粘着板をもらってきた。そして階段下の物置の、通路と思しきところに仕掛けて置いたところ、掛かったのである。深夜、風呂から出て洗い物をして、さて寝ようとして電気を消して居室に引き揚げようとしたところが、ヒーヒーと云うかチーチーと云うかキーキーと云うべきか、とにかくか細い物音がするのである。そこではっと気が付いて電気を付けて、仕掛けた粘着板を見るに小さい鼠が掛かっていた。黒い液状の糞を垂れ流していて甚だ汚い。どうしたものかと思ったが、どうしようもないので、粘着板を閉じて、翌日が燃えるゴミの収集日だったのでそのままゴミの中に紛れ込ませてゴミ袋の口をしっかり括った。家人に見せることなく始末出来て幸いであった。
 そこで、ホームセンターでベニヤ板を買って来て、ボンドと釘で固定して隙間を塞ぎ、他の隙間も塞いで以後、室内への侵入はない。しかし天井裏にはときどき入って来る。通気窓には物を詰めて塞いでいるのだが、詰めて置いたものが外れたりすると、しばらくして入って来る。今回も、数日前に隣家の大家さんが草取りをしていたので、その折に突っ込んで置いた、もともと隣家との間に転がっていた発泡スチロールの箱だかが取り除かれてしまったようだ。取り敢えず烏避けに吊していた烏型の風船が落下して、そのまま草と土に埋もれていたのを拾って塞いで置いたが、もっと根本的な塞ぎ方を考えないといけない。
 今日はこれから天井裏のバルサンを回収して、代わりに以前買って置いた殺鼠剤の残りを上げて置くつもりである。
 ただでさえ暑くなってきて、眠りが浅くなっているのに、困ったことである。まぁ私なぞは普段から弱っているのに、その弱っているところに色々なことが出来する。世の中には周囲が弱っているはずだのに、それを少しも感じない人たちもいる。それも、甚だ困ったことである。
 暑くなって困ったと云えば、所謂インド株は感染力が強いと云う科学的データが提示されているのに、日本では相変わらずの対応で、北国新聞社は昨日「新型コロナウイルス陽性者を対象にした金沢市の調査で、濃厚接触者に感染させたとみられるケースでは、96・4%がマスクをせずに会話していたことが11​日、分かった。」などと云うニュースを流したが、大体がマスクをしていれば濃厚接触者に見做さないことになっているのだから、こんなことは当り前である。そもそも調査対象になっていない。マスクをしていてもどのくらい感染させてしまうのかが知りたいのだ。しかし、この濃厚接触者の定義が変わっていないので、PCR検査の対象者が連日減り続けている。割合にすると感染確認者の数よりも減り続けている。オリンピックをやりたいがためにわざとそうしているのではないかと疑われるレベルである。
 一部には二重マスクと云う提案もあるが、一重でも暑いのに二重には耐えられそうにないと思って、KF94マスクと云うのを買ってみた。立体型で口に付かないので、口紅をしていても平気だと云うのである。もちろん私は口紅など塗ったこともないが、口の周りに空間が出来る分、息苦しくないかも知れない。3層ではなく4層だと云うから二重マスクほどではないにしても、少しは防禦の度合いが上がるかも知れない。そして先週、出勤時にして行ったのだが、まづ、暑い、しかしそれは口と鼻周りがきちんと塞がれるからで、一般のサージカルマスクが如何に隙間だらけであるのかがよく分かった。そして国の濃厚接触者の定義はやはりおかしいと思ったのである。正直、電車で観察していても、鼻出しは論外として、鼻を覆っている人でも、ノーズワイヤーを曲げずに引っ掛けているだけ、すなわち鼻梁と頰の間に隙間が出来ている人が少なくないのである。
 それはともかく、慣れてくるとそれほど暑くもなくなり、風に吹かれると涼しいくらいであったが、しかしたまにクラクラした。しばらく出勤時に使って見るとして、問題なのは自転車で遠出するときにどっちにするか、である。乗っている間は従来のサージカルマスクで良いと思うが、‥‥まぁ、何処に行っても余り長居せず、さっさと帰って来れば良いのだろう。
 しかし市中は緩み切っている。あれほど換気の重要性が云われているのに最近電車の窓が開いていない。これから気温が上がって、雨でも降ろうものなら、いよいよ窓が開かなくなるだろう。電車のクラスターは起きていないと云うことになっているが、そもそも上記のような濃厚接触者の定義では、そんなものは絶対に確認出来ない。
 毎晩深夜に、家の前を大学生らしき若者男女数人が大声で話しながら歩いて行く。一応理系の学生のはずなのだが、どうなっているのだろう。
 私は文系だけれども、根拠に基づいて判断するように訓練されてきたから、実態が分からないのが落ち着かない。実態を知るには検査を拡大するしかない。しかし日本では一向に拡大させない。オリンピックの予算は順調に消化し続けているのに。日本の専門家はこんな程度で良いと思っているのだろうか。いや、『トンデモ本の世界』でも、医学博士ほど妙な説を信じているみたいだったから、良いと思っているのだろう。そしてそれは、専門は一応しっかりやっていたのに専門外に手を出したために妙な按配になった、と云うことではなくて、そもそもの専門からして変だったのだろう。
 感染者がいなければ、マスクなんかしなくても良いのである。感染者がいるかも知れないからマスクをせざるを得ない。そして、いないだろうと思って騒いで、感染した例はポツポツ出ていて、しかし感染しないで済むことが多いから、正常性バイアスで幾らでも緩んでしまう。しかし、私のように感染しても補償もなく多くの物を失い後遺症まで抱えたりしたら目も当てられない人間は、全く緩める訳には行かないのである。