瑣事加減

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『「超」怖い話』(6)

竹書房文庫 HO-17 樋口明雄『「超」怖い話∞(エンドレス)』2004年12月29日 初版第1刷発行・定価552円・286頁

 まづ内容の確認のため、カバー裏表紙の中央やや上、2本の線(3.2cm)に挟まれた間(7.8cm)にある明朝体横組みの紹介文を見て置こう。

著者自身の体験から取材で聞き集めた話まで、その数なんと68/話。信じがたい恐怖と驚異がそこにある。その奇想天外さは作/り話ではむろん不可能とも言える境地にある。事実は我々の想/像力をはるかに超えた所で起こっているからだ。『実話怪談』——/その凄みとスリルをじっくり味わってほしい。1話読むたった3分/であなたは異界を知るだろう……。「超」怖い話・勁文社時代の/幻の作品群からシリーズ屈指の名作を集めた傑作選、第2弾!


 6~11頁「目 次」の最後、11頁10~12行めに、

※本書の実話怪談は、勁文社より刊行された『「超」怖い話』『続「超」怖い話』『新「超」怖い話1~7巻』/ (一九九一~一九九六年刊)の樋口明雄氏担当執筆稿からセレクトしたものに、新たに新作を加えて編集/ したものです。

との断り書きがあるが、これは昨日見た『「超」怖い話0(ゼロ)』の11頁にもあった。すなわち本書は『「超」怖い話0(ゼロ)』の「第2弾」である。そのことは2~5頁「序文」の冒頭、2頁3~8行め、

 お待たせしました。
 前作「0(ゼロ)」に続いて、無事続編の刊行となりました。
 こうしてあらためて読み返してみると、懐かしい気持ちと恥ずかしい気持ちが半々、ず/いぶんとたくさんの人に取材してきたんだなあと、我ながら感心しました。どんな人たち/だったかすべて憶えているかと言えば、さにあらず、基本的にすべて仮名で書いてあるわ/けだし、本名も顔も思い当たらない人もいます。しかしながら、お会いしたのが昨日のよ/うに、はっきりと記憶している人もいる。

と著者本人も述べている。但し本書は『「超」怖い話0(ゼロ)』と同じ2004年12月のうちに刊行されているので、第1弾の好評を受けて第2弾を企画したのではなく、当初から2冊出すつもりで準備していたとしか思えない。――もっと時間を置いて「お待たせし」てから出すつもりが、『「超」怖い話0(ゼロ)』の好評を受けてその第2刷発行に合せて急遽、本書も年内に出すことにしたのだろうか。
 ところで本書の「序文」は小説仕立ての『「超」怖い話0(ゼロ)』の「序文」と違って勁文社版当時の回想、今回の復刊について、実話怪談に復帰する気持ちのないことを、端的に述べている。もう少し抜いて置こう。3頁7~14行め、

 竹書房さんから旧作復刊の話が来た時、最初に思ったのは、今ある「超」怖い話のシリ/ーズに泥を塗るような事にならないかという心配でした。旧作はあくまでも過去のもの。/物語は常に進化してゆかねばなりません。
 しかし、そんな中、ぽつりと懐古的なものが混じってもいいのではと、ふと思いまし/た。
 若さゆえというか、稚拙な文章ゆえに顔が赤らむものもありますが、当時の記録とし/て、あえてこのまま残しました。明らかな描写の間違いや、死語、時代遅れになった固有/名詞などは、今回の収録で削除、あるいは修正してあります。

とある。「当時の記録」と云うのであればむしろ「死語」等こそ残して欲しかったし、初出も分かるようにして欲しかった。1991年の『「超」怖い話』と1996年『新「超」怖い話7』では、やはり書き振りが違うと思うのである。
 従って、どの話が勁文社版のどの巻に載っているのかは、自分で調べて確認しないといけないのだが、公立図書館頼りの私の調査では、樋口氏が関わった8冊(うち編著者として7冊)のうち半分の4冊しか手許に集められなかった。しかし幸い(?)なことに、勁文社版『新「超」怖い話8』までの9冊についてはその細目が「「超」怖い話 公式ホームページ」の「「超」怖い話 資料集」に示されている。図書館で借りられなかったものについてはこの資料集を活用させてもらうこととしよう。
 本文は12~286頁、次いで奥付、その裏は白紙。(以下続稿)