瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『「超」怖い話』(15)

 9月24日付(11)に取り上げたシリーズ1作めに続いて、2作めの勁文社文庫21版を見て置こう。
勁文社文庫21 Q-016『続「超」怖い話』1993年7月1日 第1刷・定価544円・220頁
 カバー表紙とカバー背表紙については9月24日付(11)にシリーズの他の3冊と比較しつつ記述した。以下、9月24日付(11)及び9月25日付(12)に記述済みの箇所も、同様に割愛することとする。
 カバー裏表紙、1作めとの異同はバーコードの1つめが「9784766918236」になっていることとISBNコードが「ISBN4-7669-1823-1」となっていることである。樋口明雄「編著者のことば」は以下の通り。

文学の極意は怪談である――佐藤春夫が言ったように、昨今、/巷に流布する怪談話は様々な機知に富み、それでいてしっかり/落ちもあって、さながら名士の書いた掌編のようでもある。ま/た、様々な奇譚に耳を傾けていると、若者たちの心に隠された/都会の中の密やかな闇に対する憧憬が如実に現れていて、実に/興味深い。ぜひ、ご一読あれ。


 1作めの安藤君平「編著者のことば」は敬体で「まえがき」を要約したような内容だったが、こちらは3~5頁、樋口明雄「まえがき」とは違った趣の推薦文になっている。
 カバー表紙折返し、白地の右側やや上寄りにゴシック体縦組みで、章ごとに題を4つずつ(最後の章のみ3つ)挙げている。「/」が使われているので改行位置は「|」で示した。

霊の章/家につく霊、旧家に佇む白い影、栗山氏の母親|の話、白装束の男…
妙の章/そこにいる、踏切横の家、盛り塩、ドサッ……
奇の章/助けてくれ!、桜の樹の下で……、電話が切れ|る、文化祭のお化け屋敷…
妖の章/窓、落ちていく女、湖を泳ぐもの、非常階段…
変の章/あなたの足元にある墓場、魔鏡、扉が四階で…

 カバー裏表紙折返しの「編著者紹介」、著者名の下に「ひ ぐちあき お」と読みを添える。

1960年山口県岩国市に生まれる。/明治学院大学法学部卒業後、雑誌記者を経て、/フリーライターに。ライトアドベンチャーを/中心とした小説を多数手がける。/現在、PSYWELLプロデュースの多目的/企画〈白狼伝〉に参加している。
………………………主な著書………………………
『サイレント・ファイア』『ハイスクール重機動/作戦』『翔べ! フライングマシーン』最新作は/『赤い夕陽の快男児


 著書を添えるのが1作めと異なっている(二重鉤括弧は半角)。この紹介文は1ヶ月後に刊行された『新「超」怖い話』も同文。下部の奥付は標題「続「超」怖い話」と発行日「1993年7月1日 第1刷」そして「編著者………樋口明雄」。
 1頁(頁付なし)扉、「樋口明雄/編著」少し下に明朝体太字で「続「超」怖い話」。
 2頁(頁付なし)左下にやや小さく断り書きがある。

本書は一九九二年六月五日に小社より刊行されたものです。
 
本書に登場する人物名は様々な事情を考慮して執筆者以外/すべて仮名です。


 3~5頁、樋口明雄「まえがき」はなかなかの名文である。ケイブンシャブックス版『「超」怖い話2』を見ていないので比較は出来ないが、1行分空けて5頁4行め以下が新たに書き足された(或いは、書き換えた)もののようだ。

 本書がかつて新書版として出版された際、大手パソコン通信ネット〈NIFT/Y〉のミスティ・ランド・フォーラムから、いくつかの貴重なエピソードを拝借し/た。本文庫においても、これらの体験談をそのまま再掲載する。これにあわせて、/取材させていただいた方々に感謝の意を表したい。
 
   一九九三年五月十四日                   樋口明雄 


 私はパソコン通信をやったことがない。修士論文執筆中にパソコン(Windows 95)を購入したが、ネットに繋がなかった。読書とデータ入力・執筆に忙しくて、ネットサーフィンなんかしている暇がなかったからである。おかげで(?)セキュリティソフトを入れないまま10年以上、主にワープロとして活用出来た。ネットは大学院の共用パソコンに個人IDでログインして、メールや資料検索、せいぜい掲示板に書き込んだりする程度だった。だから NIFTY の仕組みもよく分からない。精神世界フォーラム「ミスティ・ランド」が開設されたのはニフティサーブがサービス開始した昭和62年(1987)、開設者は西洋占星術研究家の松村潔(1953.3.13生)であった。しかし現在、これまで度々指摘して来たように、他の昭和末~平成初年の諸事象と同じく、ネット上には殆ど情報がない。
 6~10頁(頁付なし)「目 次」、11頁(頁付なし)第一章の扉、左上に宋朝体風の斜体で「霊 の 章」とある。中央やや下に黒地の帯状(6.7cm)にしたところに白く絵を描く。「の」の下から黒くしているので「章」は白抜きである。この後の章の扉も同じ。絵柄は細目を確認するときに註記することとしよう。12頁から本文。まづ3行分の枠があって上部に明朝体太字で題。1作めは下部に執筆者の姓が入っていたが本書にはない。よって本文中に明記されていないと誰の執筆か、分からない。
 1頁15行、1行37字。頁付があるのは220頁までで、1頁白紙があってその裏、横組みで小さく「執筆者」の、1人2行ずつの簡潔な紹介。

樋口 明雄*1
1960 年山口県生まれ。明治学院大学卒業後、雑誌/記者を経て作家となる。血液型A型。水瓶座
加藤 一*2
1967 年静岡県生まれ。フリーの雑誌編集・企画。/コンピュータから宗教まで守備範囲は多岐にわたる。
添田 寛明*3
1961 年大阪府生まれ。アニメーションからテクニ/カルマニュアルまで幅広くカバーするライター。


 1作めの編著者だった安藤氏が抜けた理由は説明されていない。樋口氏と加藤氏は1作めから継続で樋口氏が編著者を引き継いでいる。そして新たに添田氏が参加しているが、継続せず本書のみの執筆となっている。――この添田氏も、ネット上に非常に情報が少ない。本書の前後に、次の2冊の、シリーズ物の執筆がある。

 既に見たように本書は各話の執筆者名を表示していないので添田氏が何話担当したのか分からないのだが、1作めには見当たらなかった大阪周辺の話は、添田氏執筆らしく思われるのである。
 なお、第1集に2篇だけ寄稿していた蜂巣敦は、当ブログの極初期の記事、2011年1月2日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(01)」に、ちくま文庫『実話 怪奇譚』を取り上げていた。1990年代から2000年代に掛けて、10余冊の著書を出していたが2010年代以降は沈黙している、ように見えるが、青林工藝舎の雑誌「アックス」に創刊号以来連載している「新・日本の殺人者」は8月末に出た Vol.148 にも掲載されていて、執筆活動は継続しているようである。 次いで奥付がある。これも他の3冊と同じレイアウトである、差し当たり異同だけ挙げて置くと、上部左寄りの標題「続「超」怖い話」、レーベル名の下の整理番号「Q-016」、編著者名が「樋口明雄」であること、最下部、横線(8.8cm)の下に小さく、左端に「©A.Higuchi 1993」と中央右寄りのISBNコード(カバー裏表紙に同じ)が、異なる。
 最後に「勁文社文庫 21 好評発売中!!」の目録が1頁あって、1点めは小西良太郎『ヒューマン・ドキュメント美空ひばり』、2点めが1作めである。すなわち、上半分近くが標題に充てられており、1作めの場合は上寄せでゴシック体で大きく「「超」怖い話」とあって以下余白、下半分強はその上半分がやや大きく、ゴシック体で著者「安藤君平/編著」上寄せ。そして一番下に4行、

事実がいちばん怖い! 日/常のふとした瞬間に遭遇す/る怪奇と戦慄の世界 !!   
      定価五六〇円

とある。3点めと4点めは9月25日付(12)に述べて置いた。1・3・4点めは紹介文が4行めにまで及んでいる。(以下続稿)

*1:ルビ「 ひ ぐち あき お 」。

*2:ルビ「 か とう はじめ」。

*3:ルビ「そえ だ  ひろあき」。