瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『「超」怖い話』(14)

10月2日追記】当初、9月26日の22時59分1秒に投稿したのであるが、「『「超」怖い話』(13)」を同じ日の22時29分26秒に予約投稿していたのを忘れていたので、同じ日に2つ投稿することになってしまった。そこで遅ればせながら、9月27日23時12分59秒に投稿した穴埋め(?)記事「声はすれども姿は見えぬ君は深野の蟋蟀(2)」を削除して代わりにこの「『「超」怖い話』(14)」を移した次第である。

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 それでは、次の2冊に収録されている話について、確認して行くこととしよう。
ケイブンシャブックス K-53『「超」怖い話』安藤薫平 編著
勁文社文庫21 Q-013『「超」怖い話』安藤君平 編著
 新書判のケイブンシャブックス版が1991年6月1日刊行、勁文社文庫21版は丁度2年後の1993年6月1日刊行である。
 竹書房文庫から出た復刻選集については、安藤尚彦(安藤薫平→安藤君平)と蜂巣敦執筆分を収録した『「超」怖い話†(クロス)』について9月16日付(04)に、樋口明雄執筆分の復刻選集2冊については9月19日付(07)に『「超」怖い話0(ゼロ)』、9月20日付(08)に『「超」怖い話∞(エンドレス)』について細目と体験者・時期・場所そして初出について一覧に纏めている。
 これらの記事では、竹書房文庫版の収録順に仮に【番号】を附して示したのは共通するが、勁文社版の方はシリーズ1冊めの本書にのみ参加した安藤氏・蜂巣氏執筆分はケイブンシャブックス版により、本書に続く7冊に編著者として関わった樋口氏の分は勁文社文庫21版を基準にして、仮に収録順の《番号》と頁を示すと云う不整合を起こしている。
 今回は、ケイブンシャブックス版を基準とした。すなわち「《番号》「題」そして題下に示されている執筆者の姓(~頁)」の如く整理し、さらに挿絵のあるものは※に頁(頁付なし)と簡単な絵柄を示した。挿絵があるのはケイブンシャブックス版のみ。続いて勁文社文庫21版の収録順の仮番号と頁を「→〈 〉~頁」の如く示した。*に体験者・時期・場所を註記、そして最後に竹書房文庫版の再録箇所について「→クロス【1】9~10頁」の如くに示し、題に異同のある場合のみ註記した。
 目次の最後、ケイブンシャブックス版12頁12~13行めに、ゴシック体でやや小さく、

*本書に登場する人物名は様々な事情を考慮してすべて仮名にしてあります。また見出し/ の末に記されている名前は、その文章の直接の執筆者の名前です。

とある*1勁文社文庫21版10頁11~12行めは改行位置が「|」で示したところになっていて2行めはやはり1字下げ。竹書房文庫版の『「超」怖い話†(クロス)』と『「超」怖い話0(ゼロ)』にはこのような断り書きが全くなく『「超」怖い話∞(エンドレス)』の樋口明雄「序文」に「基本的にすべて仮名で書いてある」とするのみである。入れるべきだと思うのだけれども。
 なお、加藤一執筆分も「「超」怖い話公式ホームページ」の「「超」怖い話の略歴(図説)」に拠れば竹書房文庫の加藤一 編著『怖い』に再録されているようだ。但しこの『怖い』はやや特殊な作りの本で公立図書館には全くと云って良いくらい所蔵がない。但し、作家活動をしていない安藤氏、怪談作家としては活動していない樋口氏と違って、加藤氏は現役の怪談作家なので、或いは近著に再録もしくは改作が載っているかも知れない。そこは、加藤氏作品の愛好家にお任せして、今は実話怪談界に復帰しない(と思われる)安藤・樋口両氏の執筆分について、資料として活用するための基礎作業を済ませて置こうと思うのである。
第一章 霊界からのメッセージ
《1》「イボの花が咲く」安藤(14~15頁)
  →〈1〉12~13頁
  *安藤自身の体験・五歳のとき・うちの地方(名古屋北郊部)
  →クロス【1】9~10頁
《2》「夢枕に立つ」安藤(16~18頁)
  ※19頁挿絵(宝くじ売場の前に佇む中年女性を斜め後ろから) 
  →〈2〉14~17頁
  *私の母親・私が中学生だった頃/数年後
  →クロス【2】12~15頁
《3》「黒い人と白い人」安藤(20~22頁)
  →〈3〉18~20頁
  *ライターの池山さん(女性)実家は広島で病院を経営
  →クロス【29】151~153頁
《4》「三点セット」安藤(23~26頁)
  →〈4〉21~24頁
  *デザイン事務所に勤める河野氏
  →クロス【16】73~77頁
《5》「あなたの子供になって、生まれたい……」蜂巣(27~30頁)
  →〈5〉25~28頁
  *出版社で営業をしている合田・東京近郊にある国立大学の学生寮
  →クロス【6】33~36頁
《6》「水子供養で運をつかんだ男」安藤(31~34頁)
  →〈6〉29~32頁
  *イラストレーターの村上義夫・故郷新潟
  →クロス【15】69~72頁
《7》「自殺志願の女の子」加藤(35~40頁)
  ※39頁挿絵(星空の下に暗い水平線、防波堤に波消しブロック)
  →〈7〉33~37頁
  *江山くん・三年前の夏休み/翌年の夏・従兄弟の経営している海の家
《8》「右側の壁に消えた……」樋口(41~42頁)
  →〈8〉38~39頁
  *作家の北原恭子・数年前、私が小金井にある不動産屋に間借りしていた時分
  →ゼロ【4】21~22頁
第二章 自宅で起きた怪奇現象
《9》「古い家で見たこと」樋口(42~45頁)
  ※47頁挿絵(軒先近くを走る稲妻)
  →〈9〉42~45頁
  *幼い頃の私・山口のとある町の山間の古色蒼然とした家
  →ゼロ【1】12~15頁
《10》「朝五時の訪問者」樋口(48~49頁)
  *私が大学時代に住んでいた目黒区大岡山のアパート
  →〈10〉46~47頁
  →エンドレス【2】15~16頁
《11》「見なかったことにしよう……(その一)」樋口(50~51頁)
  →〈11〉48~49頁
  *同人誌作家の浦沢と川原・JR大久保駅近くにあった「山川荘」
  →ゼロ【22】112~113頁
《12》「見なかったことにしよう……(その二)」樋口(52~53頁)
  →〈12〉50~51頁
  *同人誌作家の浦沢と川原・JR大久保駅近くにある「山川荘」
  →ゼロ【23】114~115頁
《13》「見なかったことにしよう……(その三)」樋口(54~56頁)
  →〈13〉52~54頁
  *同人誌作家の浦沢と川原・別の知人の家
  →ゼロ【24】116~118頁
《14》「おたくの霊」樋口(57~59頁)
  →〈14〉55~57頁
  *フリー・ライターの園田のアパート
  →ゼロ【28】133~135頁
《15》「そーそーそーそー」加藤(60~62頁)
  →〈15〉58~61頁
  *本人(勁文社文庫21版「私自身」)の話・八九年の夏/九十年の十二月
   ・上京してから五年以上も住んでいる東京都中野区江古田にあるアパート
《16》「突き抜けた話」加藤(63~65頁)
  →〈16〉62~65頁
  *江山くん・数年前・自室
《17》「よっこらしょ」加藤(66~68頁)
  *速水くんの大学時代の話・大学の合宿所
《18》「爆発!!」加藤(69~71頁)
  *枝原くんと飯嶋くん・東京都田無市にある友人のアパート
《19》「触れる」加藤(72~75頁)
  →〈17〉66~70頁
  *浦賀氏・昔住んでいた新宿区大久保のアパート
  *枝原くん・自室
《20》「開かずの離れの人形奇談」安藤(76~80頁)
  ※81頁挿絵(左右の髪の長さの違う古ぼけた日本人形)
  →〈18〉71~76頁
  *広告会社の営業マン川辺氏の学生時代の話
  →クロス【5】27~32頁
《21》「鳴かなくなった猫の話」安藤(82~84頁)
  →〈19〉77~80頁
  *不動産会社に勤めるOL大村さん・彼女の家は品川にある
  →クロス【30】154~157頁
第三章 日常に潜む魔の空間
《22》「廃屋と竹やぶ」安藤(86~90頁)
  ※91頁挿絵(竹藪の中に建つ廃屋)
  →〈20〉82~87頁
  *私が子供の頃/小学四年生の秋
  →クロス【3】16~21頁
《23》「ラブホテルの怪異」安藤(92~96頁)
  →〈21〉88~93頁
  *広告会社に勤める吉野氏・神奈川県の逗子の隧道/横浜は伊勢佐木町のラブホテル
  →クロス【20】102~107頁
《24》「車のガラスを叩くもの」安藤(97~100頁)
  →〈22〉94~98頁
  *TV制作会社に勤める沢野さんが番組の収録のため、式根島に出かけたときの話
  →クロス【23】128~132頁
《25》「喫茶店の常連客」安藤(101~103頁)
  →〈23〉99~101頁
  *不動産会社に勤めるOL大村さん(「鳴かなくなった猫の話」にも登場)
   ・昔バイトをしていた喫茶店の話・五反田
  →クロス【14】65~68頁
《26》「俺だけに見えない!」安藤(104~106頁)
  →〈24〉102~105頁
  *編集プロダクションG―NETのオフィス
  →クロス【12】58~61頁
《27》「電柱から生えた老婆」樋口(107~108頁)
  →〈25〉106~107頁
  *私がかつて働いていた編集プロダクションの女性新入社員、山村、新藤
   ・神田神保町の白山通りに並行する裏道
《28》「不動前からの脱出」樋口(109~110頁)
  →〈26〉108~109頁
  *前述の目黒区大岡山のアパートに下宿していた大学生時分のこと・不動前
  →ゼロ【2】16~17頁
《29》「長崎の少年」樋口(111~112頁)
  →〈27〉110~111頁
  *私の友人である編集者の木内・長崎
  →ゼロ【5】23~24頁
《30》「顔だけは見たくない!」樋口(113~115頁)
  →〈28〉112~114頁
  *女性作家の北原恭子・北軽井沢の友人のロッジ
《31》「自転車の間をよぎるもの」加藤(116~118頁)
  *公務員の桜木さんの高校時代の話
《32》「本物」加藤(119~121頁)
  →〈29〉115~117頁
  *大学入試を控えた枝原くんと竹沢くん・元旦
   ・東京湾の臨海部に位置する有名アミューズメント・テーマ・パーク
《33》「なすりつけ」加藤(122~125頁)
  →〈30〉118~121頁
  *枝原くんと竹沢くん・元旦のアミューズメント・テーマ・パーク
《34》「出られない」加藤(126~130頁)
  ※131頁挿絵(墓地の中を歩く番傘を差す着物の女性の後ろ姿)
  →〈31〉122~126頁
  *江戸っ子の各務くん・三年ほど前・谷中霊園
《35》「瞬間移動」加藤(132~134頁)
  →〈32〉127~130頁
  *江山くんの高校の修学旅行の話・旅館
第四章 物にまつわる奇談
《36》送られてきた巻き物」安藤(136~137頁)
  →〈33〉132~134頁
  *杉並のOL神谷さんの学生時代の話
  →クロス【33】169~171頁
《37》「マリア様のミイラ」安藤(138~142頁)
  →〈34〉135~139頁
  *前出の「黒い人、白い人」の話の主、池山さんの子供の頃
   ・小学生だった池山さん
  《37附》〔三人で写真に写る〕141頁2行め~〈34付〉138頁8行め~
  *高校生のときの、学園祭での出来事
  →クロス【4】22~26頁
《38》「お札の霊験」蜂巣(143~144頁)
  ※145頁挿絵(障子の間から入って来る小さな坊さん9人)
  →〈35〉140~142頁
  *今年三十歳になる編集者の田端さん
  →クロス【27】145~147頁
《39》「指輪を捨てて……」安藤(146~150頁)
  →〈36〉143~148頁
  *専門学校生の神野くん
  →クロス【17】78~83頁
《40》「ティッシュ・ペーパー」加藤(151~154頁)
  →〈37〉149~152頁
  *長電話魔の永岡くん
《41》「時計」加藤(155~160頁)
  →〈38〉153~159頁
  *十数年以上前、北海道札幌市にある大学の学生だった東沢氏の恋人
   ・三重県にある実家・就職のため移った神奈川県横浜市のアパートの自室
《42》「減らない修正液」加藤(161~162頁)
  →〈39〉160~162頁
  *文筆を生業にしている東沢氏・七年近く前
第五章 得体の知れぬ不可解な話
《43》「這いずるもの」加藤(164~166頁)
  →〈40〉164~166頁
  *西川くんの中学時代の話
《44》「悪寒」加藤(167~170頁)
  *枝原君の場合/飯嶋くんの場合/竹沢くんの場合/三人
《45》「宝船」加藤(171~173頁)
  →〈41〉167~169頁
  *江山くんの中学の修学旅行の話
《46》「ろくろ首」樋口(174~175頁)
  →〈42〉170~171頁
  *作家志望の肥田の祖母・幼い頃・大阪の西成の一郭
《47》「漁り火」樋口(176~178頁)
  ※179頁挿絵(夜の島影に光)
  →〈43〉172~174頁
  *私が中学生の頃・山口県にある上関町
  →エンドレス【1】12~14頁
《48》「猫に関する話」樋口(180~182頁)
  →〈44〉175~177頁
  *わが家
  →ゼロ【3】18~20頁
《49》霊と格闘した話(183~184頁)
  →〈45〉178~180頁
  *都内・飯田橋にある出版社に勤務する栗山氏・自室
  →ゼロ【6】25~27頁
《50》「金縛り人生」安藤(185~188頁)
  →〈46〉181~184頁
  *ファミコン・ソフトのシナリオを担当していた頃
  《50附》〔血まみれの女の人の夢、など〕~186頁2行め〈46附〉~182頁4行め
  →クロス【25】136~140頁
《51》「頭の中でチューニング」安藤(189~191頁)
  →〈47〉185~188頁
  *大阪・文具メーカーに勤めるOLの葉山さん
  →クロス【26】141~144頁
《52》「人はひとりじゃない……」安藤(192~193頁)
  →〈48〉189~190頁
  *生命保険会社に勤めている篠原氏の子供の頃の話
  →クロス【10】54~55頁
《53》「カラスを呼ぶ少年」安藤(194~197頁)
  →〈49〉191~195頁
  *前出の広告会社の営業マン川辺氏(「開かずの離れの人形奇談」に登場)・大学時代
  →クロス【9】49~53頁
《54》「行かなくっちゃ、行かなくっちゃ」安藤(198~199頁)
  →〈50〉196~198頁
  *文具メーカーに勤めるOL葉山さんのお兄さん・子供の頃
  →クロス【28】148~150頁
《55》「不思議な子供」安藤(200頁)
  ※201頁挿絵(蒲団から上体を起こした女性の向うで笑顔で走る男児)
  →〈51〉199~200頁
  *出版社に勤める川村さんがまだ赤ん坊だった頃
  →クロス【8】47~48頁
《56》「書いてはいけない話」加藤(202~205頁)
  →〈52〉201~205頁
  *加藤・小金井のとある喫茶店・東沢氏の体験談の取材
あとがきにかえて/門の中の聖地」206~217頁
  ※215頁挿絵(線路の下にくり抜かれたトンネル)
  →207~218
  *パソコン通信で知り合った好事家の集団と加藤が体験した話
   ・東京都東村山市の狭山公園、西武多摩湖線の線路の下にくり抜かれたトンネル
   ・十二人の物好き(案内人の小宮沢さん、各務くん、枝原くん、加藤、
    木島氏、新田くん)
 ケイブンシャブックス版は56話だが勁文社文庫21版は52話で、「「超」怖い話公式ホームページ」の「「超」怖い話 資料集」に拠ると「※文庫化の際に、「よっこらしょ」「爆発」「自転車の間をよぎるもの」「悪寒」の4エピソードがページ数の都合上、外されている。」とあって、いづれも加藤氏執筆の《17》《18》《31》《44》の4話が再録されていない。
 安藤氏・蜂巣氏執筆分は全て竹書房文庫版に再録されているが、樋口氏執筆分は幾つか落とされている。執筆者や体験者、話の内容などについては機会を改めて述べることとしたい*2。尤も、上記一覧のメモの取り方*3から察してもらえると思うけれども、真剣に怪異現象について検討するようなことはありません。
 レイアウト等についても余裕がなくなったので他の巻を取り上げてから(出来れば年内に)述べることにしたい。(以下続稿)

*1:2行めの「の末」の間に太い横線が挟まっている。

*2:その機会に、校正が不十分なこの一覧の点検を果たすつもりである。

*3:私は怪異現象自体には然して興味がないので、何となく分かる程度にしかメモしていない。