瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤堀又次郎伝記考証(27)

 昨日の続き。
石井敦 編著『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)1995年3月30日 初版発行・非売品・石井敦(横須賀)・150頁・新書判並製本
 石井敦(1925.9.20~2009.5)は「近代日本図書館史研究の先駆者」なのだそうだが、ネットで検索すると書籍通販サイトが石井氏の著書に別の、現存する石井敦の略歴を挙げているのがヒットする。こんな混同が生じていて一向に訂正される様子もないところから察して、一般には殆ど知られていないようだ。私も公立図書館利用歴42年くらいになるけれども縁なき衆生でその業績に接したことがなかった。

 しかし著書は少なくなく、本書刊行と同年に石井敦先生古稀記念論集『転換期における図書館の課題と歴史』(1995年9月・石井敦先生古稀記念論集刊行会)が刊行されているし、歿後には日本図書館文化史研究会編『石井敦先生を偲ぶ会の記録』(2010年・非売品・日本図書館文化史研究会・72頁)まで出ている。
 但し本書は大学図書館にも殆ど所蔵されていない。それは非売品であることと関係しているようで、前回引いた佐藤哲彦「赤堀又次郎について」に言及されていた、HN「書物蔵」のブログ「書物蔵 古本オモシロガリズム」の2006-07-16「なくなってた図書館本みーっけ」に拠れば「これ編者の記念論文集を予約した人だけが入手できた私家版。/それから10年間,古書市場で一度も見かけず」とのことで、石井敦先生古稀記念論集刊行会に記念論集を予約した人に石井氏から配ったものらしい。なお「書物蔵 古本オモシロガリズム」には以後しばしば(繰り返しが多いが)石井氏に言及した記事が投稿されている。HN「神保町のオタ」のブログ「神保町系オタオタ日記」では「石井敦」よりも『簡約日本図書館先賢事典』での言及が多い。私も2011-08-01「小野忠重と本所図書館主任山田正佐」に藤牧義夫関連で逢着したことがあって、詰まらぬ突っ込みを6年前に入れていたことを思い出した。だからその頃に書名だけは目にしていた訳である。しかしわざわざ探して見ようと思わなかった。公立図書館になくて出身大学の図書館(近々卒業生の利用が再開されるらしい)にも所蔵されていないとなると、どうしてもそのままになってしまう。
 そして、何故か真っ先にヒットしないのだが「はてなブログタグ」――昔の「はてなキーワード」の「#石井敦」に略歴と著書等がコンパクトに纏められていることに今更ながらに気が付いた。
 しかし丁寧なのか謙退なのか『簡約日本図書館先賢事典(未定稿)』と、「簡約」と断った上にわざわざ「未定稿」と添える標題が気になっていたのだが、それは3~7頁「ま え が き」と147~150頁「あ と が き」を見ることで一応は理解出来た。(以下続稿)