瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤堀又次郎伝記考証(26)

 3月28日付(07)に触れた、書誌書目シリーズ(97)『書物通の書物随筆』全8巻*1のうち、赤堀氏の著作2点を借りて来た。
・宮里立士/佐藤哲彦[編集・解題] 書誌書目シリーズ(97)『書物通の書物随筆』ゆまに書房・A5判上製本
・第一巻『赤堀又次郎『読史随筆』』二〇一一年八月 十五日 印刷・二〇一一年八月二十五日 刊行・定価17,000円・凡例+目次+復刻+解題ⅵ頁
・第二巻『赤堀又次郎紙魚の跡』』二〇一一年八月 十五日 印刷・二〇一一年八月二十五日 刊行・定価11,000円・凡例+目次+復刻+解題ⅱ頁
 この2冊はともに佐藤哲彦の「解題」である。「解題」の頁数の違いは第二巻は「赤堀又次郎著『紙魚の跡』民友社刊(昭和五年)」のみ(ⅰ頁3行め~ⅱ頁16行め)だが、第一巻にはⅳ頁5行め~ⅵ頁5行め「赤堀又次郎著『読史随筆』中西書房刊(昭和三年)」の前に、ⅰ頁3行め~ⅳ頁4行め「赤堀又次郎について」と云う赤堀氏についての総論があるからである。
 書物の内容にも注意したいところであるが、現在、国立国会図書館デジタルコレクションにて、前者は「ログインなしで閲覧可能」、後者は「送信サービスで閲覧可能(国立国会図書館内/図書館・個人送信限定)」でカラー画像で閲覧出来る。よって内容についての佐藤氏のコメントは、返却期限もあることだし国立国会図書館デジタルコレクションと対照させつつ追って点検することとして、差当り「赤堀又次郎について」について見て置くこととしよう。
 これは3月28日付(07)に引いた、村嶋英治「最初のタイ留学日本人織田得能(生田得能)と近代化途上のタイ仏教」が指摘するように、これまで活字になっているうちでは「最も詳しい」赤堀氏の伝記的な文章である。
 佐藤氏は、まづ冒頭、ⅰ頁4~5行め、

 赤堀又次郎は、国文、国史に渉る広範な知識をその著述に残している。彼について、石井敦編著『簡約日本図書館/先賢事典 未定稿』(私家版)によれば、‥‥

と、その「赤堀又次郎」項を文章化して引き末尾(8行め)に「‥‥/る(一四頁)。」と添える。
 なお、この『簡約日本図書館先賢事典 未定稿』の「赤堀又次郎」項は、ネット上でも佐藤氏とほぼ同時期に取り上げられていた。――「赤堀又次郎について」の最後の段落(ⅳ頁1~4行め)に、

 赤堀の著述は、国語学のみならず歴史に関するものも多彩で、ひろく人文学全般に渉っている。やや雑多な印象も/受けるが、その博識は否めない。赤堀は現在も一部の古書マニアから関心をもたれている(インターネット上のブログ「神保町系オタオタ日記」、「書物蔵 古本オモシロガリズム」等で紹介されている)が、その魅力は、学者とも作家とも分類し/えない、謎めいた独特の存在感にあるといえるだろう。

と挙げてある2つのブログのうちHN「神保町のオタ」のブログ「神保町系オタオタ日記」の2011-07-03「赤堀又次郎と田中稲城」がそれである。
 そこで私も『簡約日本図書館先賢事典 未定稿』に当たって見ることにした。都下の公立図書館には2館だけ所蔵があって都立多摩図書館本は協力貸出不可、残る(?)1冊の調布市立中央図書館本を取り寄せて、今手許に置いて眺めている。(以下続稿)

*1:「(97)」は黒丸に白抜き。