瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

『白川喜代次遺作集』(2)

 目次には「白川喜代次遺作集目次」とあって、以下、I 戯曲・II 小説・III 詩・IIII 隨筆と整理されています(原本ではローマ数字はそれぞれ1文字)。以下、順に、巻末の「白川喜代次略歴」(以下「略歴」)を参照しつつ見ていきましょう。

I 戯曲
 挿 話…………………………………(  二)
 客………………………………………( 一八)
 ユートピア袋小路……………………( 六六)
 特賣塲はこちらで御座います………(一二二)
 名 月 の 夜……………………………(一四七)


 本文1頁(頁付なし)は中扉で「  戯  曲」とあります。頁付は本文下中央に(2)のように入っています。
 その2頁が「挿話」で本文では「エピソード」とルビがあります。一幕物。「略歴昭和13年(1938)1月条に「「新神話」六號ニ(遺稿)脚本「挿話」ヲ發表。」とあります。
 次に18頁の「客」は、「略歴昭和12年(1937)11月条に「戯曲「客」ヲ書ク。」と見えます。これも一幕物。
 次、66頁の本文での題は「ユートピア ↔ 袋小路」となっています。この戯曲には最初に「時   現代」「人物」そして舞台装置の設定が68頁まであって、68頁「第1景」、87頁「第2景」102頁「第3景」114頁「第4景」との構成になっています。「略歴昭和12年(1937)11月条に「「新神話」第四號ニ戯曲「ユートピア袋小路」ヲ發表。」とあります。
「特賣塲はこちらで御座います。」は目次と違って123頁から始まっています。初めに「時」「處」「人」そして「三、四階にある特賣場」の設定が125頁の途中まであって、まず「(序景)」、128頁「第一景」146頁「★停  電!」そして末尾(147頁)に「――静かに幕―― 一九三七、一、十九」とあります。「略歴昭和12年(1937)2月条に「「新神話」第二號ニ、戯曲「特賣場はこちらで御座います」ヲ發表。」とあります。
 最後の「名月の夜」も目次とはずれて148頁から始まっています。まず「時―現代」「人物」の設定、第一幕。166頁から「第二幕」で170頁まで。この脚本についての記述は「略歴」にはありません。
 内容については、それこそ紹介の任に堪えませんので触れません。いずれも現代劇です。いずれ、然るべき人物による分析を待ちたいと思います。


「II 小説」は、「暗  轉…………………(一七二)/或る兄妹…………………(一九五)」の2作で、本文171頁(頁付なし)は中扉「 小 説」、前者は「略歴昭和10年(1935)6月条に「同人雜誌「阿房」ニ小説「暗轉」ヲ發表。」、後者は末尾(214頁)に「一〇、六、四」とあり「略歴」同年7月条に「文藝部雜誌「早高文學」夏季號ニ小説「或る兄妹」ヲ發表。」とあります。


「III 詩」は目次には「旅…………………(二一六)/  その他六篇」とあり本文215頁(頁付なし)は中扉で「 詩」、216〜217頁は「旅」の自筆影印で、218頁に枠内に2段組で翻字されています。ただ218頁には自筆の末尾(217頁)にある「1938.1.10」の日付(縦書き)は省略されています。
 219頁「“きよじ戯集”より」として、次のような詩が載っています。

くだらぬことを書いてみる
あてもなく歩いても見る
唄つて 泣いて 笑つてみる
 諸君はこんなおぼえはないか
あるだろう……一人よがりの深刻な
たわごとゝ思つちやいけない
皆なさうなんだから


 これは「きよじ戯集」の序詩に当たるらしく、続いて220〜221頁「死」222〜223頁「たより」224〜227頁「丘」その末尾(227頁)に「(以上きよじ戯集より)」とあります。
 228〜229頁「血の流れ」、末尾に「――第二之書より――」とあり漢字のルビに「エピニユールゾン」。以上3篇は「略歴昭和13年(1938)1月条に「「おとづれ」四號ニ詩「旅」及ビ「きよじ戯集」「血の流れ」ヲ發表。」とあります。
 230頁「日記斷片」は230〜231頁「影を踏み行く」と232〜233頁「私は恐しい」とから成り、「略歴昭和10年(1935)10月条に「「おとづれ」ニ詩「日記斷片」ヲ發表。」とあります。
 234〜235頁「北風の坂」「略歴昭和9年(1934)4月条に「……。六月クラスの文學志望ノモノト謄寫刷ノ雜誌「雲」ノ同人トナリ詩「北風ノ坂」ヲ發表。」
 236頁「外苑點景」「略歴昭和12年(1937)5月条に「「おとづれ」三號ニ詩「外苑風景」ヲ發表。」とあるのがそれでしょう。
 237頁「夏來る」「略歴昭和9年(1934)5月条に「中學校同窓會雜誌「おとづれ」ニ詩「夏來る」ヲ書ク。」
 238頁は白紙です。(以下続稿)