瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

柳田國男『妖怪談義』(2)

 12年半前のメモに言い尽くしてあったのを見て、何だか拍子抜けしているのだが、あれはあくまでも未公開のメモなのだからと気を取り直して、言葉を補いながらなんのかのと突っ込みを入れて行きたい。

妖怪談義 (講談社学術文庫)

妖怪談義 (講談社学術文庫)

 修道社版から触れても良いのだが、まずは講談社学術文庫版(講談社学術文庫135・講談社226頁)から見て置こう。
 今、2冊借りてきている。
・第12刷(昭和52年4月10日第1刷発行・昭和61年12月15日第12刷発行・定価560円)
・第17刷(1977年4月10日第1刷発行・1991年5月15日第17刷発行・定価563円)
 今手許にないがかつて参照したのは第14刷だった。
・第14刷(昭和52年4月10日第1刷発行・昭和63年8月20日第14刷発行・定価560円)
 この間に、発行日が年号から西暦に変わっている。かつ、消費税による価格の変更がある。
 第14刷まで定価560円だった、というのは良いのだが、今手許にある第12刷を見るに、カバーは第17刷と全く同じである。すなわち、裏表紙の下部にISBNコードがあり、その上(右寄り)に「定価580円(本体563円)」とある。裏表紙の中央に縦書き8行、末尾に「……(自序より)」とある引用が載る。「自序」の最後の段落の一部「われわれの」から「他はない」までである。
 第12刷に消費税導入後のカバーがあって、第14刷に恐らくそうでないものがあった、というのはもちろん、第14刷を発行した後に、何らかの事情でどこぞかに残っていた在庫の第12刷のカバーを、付け替えたのだとしか思えない。この辺の事情はなんとなく見当が付くのだが、参考までにたまたま見付けたモーリ・タローのブログ「night and sundial」2006-08-24「本の価格は、なぜ「税抜き」表示なのか? というと再販制だから」を貼り付けて置く。
 このカバーには「定価580円(本体563円)」とある第12刷、カバーの付け替えだけでなく、奥付にもシールを貼ってもとの定価(増刷時点での定価)を隠している。すなわち、第12刷と第17刷の奥付は見たところ大体同じだが、先に指摘した年号から西暦への変更の他、郵便番号が3桁から5桁に、電話番号が(大代表)のみだったのが「編集部/販売部/製作部」と3行に増えていること、「装幀 蟹江征治」の下にあった「レイアウト 志賀紀子」が消えていること、製本が「株式会社大進堂」から「株式会社国宝社」に変わっていること、「落丁本・乱丁本は、……お取替えいたします。」の2行だけだったのがさらに「なお、この本についてのお問い合わせは学術文庫/編集部宛にお願いいたします。」の2行が増えていること、ISBNコードは同じだが、第12刷では同じ行の右に「 ()    (術E)」と続いていたのが、第17刷では右端に「(庫術)」とのみ入っているという違いがあるが、最大の違いは中央左、書名・著者名・発行日の左に四角の枠内に「講談社学術文庫」のトキのシンボルマークがあってその下(枠外)に「定価はカバーに表/示してあります。」と第17刷では刷ってあるところ、第12刷では同内容のカーキ色のシール(2.9×2.1cm)が貼付されている。
 日に透かしてみると、シールの下にも同じシンボルマークがあるのだが、「定価は……」の一文ではなく「定価560円」とあった。――消費税導入までは本体に定価を表示していたのが、これを機にカバーのみに表示する方針としたようである。(以下続稿)
【2012年4月7日追記】第3刷(昭和54年4月20日)を見た。カバー裏表紙、中央に「……(自序より)」の8行があるのは同じ、他に左下に「0139-581354-22530)」右下に「300円」とある。カバー表紙折返しは右下に縦で「カバーデザイン 平野甲賀」とあるのみ。カバー裏表紙折返しは右下にトキのマークと「●特製ブックカバー贈呈」と「●宛先」、左下に明朝体で縦組み3行(1行18字)「講談社学術文庫のシンボルマークは、古/代エジプトにおいて、知恵の神の象徴と/されていたトキをデザインしたものです。」とある。【2019年3月31日追記】第5刷(昭和56年8月20日)を見た。カバー裏表紙、中央に「……(自序より)」の8行があるのは同じ、他に左下に「0139-581355-22531)」右下に「定価380円」とある。カバー表紙折返しは上部に横組みで、丸ゴシック体と明朝体で「講談社学術文庫 既刊より柳 田 國 男 の 本」とあてその下に縦組みで8点11冊、柳田氏の著書が6点8冊、橋川文三1冊、中村哲1点2冊。下部に横組みで「カバーデザイン 平野甲賀」とある。カバー裏表紙折返しは上部に「●読者の皆様へ」、右下にトキのマークと「●特製ブックカバー贈呈」と「●宛先」、左下に明朝体で縦組み3行(1行18字)「講談社学術文庫のシンボルマークは、古/代エジプトにおいて、知恵の神の象徴と/されていたトキをデザインしたものです。」とある。