瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

角川文庫の『竹取物語』(03)

・角川文庫6817(2)
 カバー表紙折返しにはまずゴシック体で標題を示し、17行もの紹介文がある。1段落め(11行)は『竹取物語』は「世界で最も古い「SF」ではないかといわれている」として「アポロ宇宙船」が「ついこの前のこと」なのに「1000年以上も前の日本」にこのような「発想」があったことに「あらためて驚かされる」と、次の2段落め(6行)に繋いでいる。

 SF界の第一人者が、わかり易い/文章で、忠実に「古典」の現代語訳に/いどんだ名訳  章の終わりごとに/書き加えられた訳者の"ちょっと、ひ/と息"が、この物語の味わいを、いっ/そう引きたてている。


 いよいよSF風の映画に合わせて「SF界の第一人者」に現代語訳を依頼したのではないか(もちろん星氏も面白いと思って引き受けた)、と思えてくる。
 「あとがき」には、次のような段落(132頁10行め〜133頁1行め)もある。

 ラストの光景は、映画「未知との遭遇」を思わせる。UFOに関して、私は昔から関/心を持っているが、その実体について、まだ判定は下せない。しかし、目撃談のなかに/は、光に包まれ、戸がしぜんに開くような例が、いくつもある。なにか関連があるのか/もしれない。


 私は宇宙への興味に乏しい人間で、宇宙開発に何のロマンも感じない、宇宙旅行なんてこの電力不足の御時世に燃料の浪費だとしか思えないような人間で、星氏のショートショートは父の書棚に新潮文庫が並んでいたので、さらに自分でも買い足して、あらかた読んだが、お話として面白いから読んだので、それで別の作家のSF小説を読もうとはまるで考えなかった。

 たぶん見ないと思うので貼って置く。いろいろなエディションがあって、あまりにたくさんあってどれを貼るべきか分からぬので貼ること自体止めにしようと思ったのだが、しかし映画「竹取物語」の箱と、この「未知との遭遇」の箱が似ているので、1つだけ貼ってみた。ネット上にも2つの映画の関連を指摘している人がいるが、星氏も映画以前に類似を指摘していた訳である。
 さて、私が普段覗いて見ない世界の人気の高さを思い知らされたが、どうも私は現実的でないことには興味を覚えない性質で、沢口靖子ファンの同級生のことが、どうもよく分からなかった。芸能人に夢中になったところで、別にどうもしないのに、なんで喜んでいるのか、よく分からなかったのである。じゃあ知っている範囲で十分な満足が得られたのかという(今でいうリア充)と、別にそんなことはなかったのだが、だからと言って現実離れしたところに向かおうとは思えなかった。……じゃあ幽霊はどうなんだ、と言われそうだが、幽霊など別に信じていないし見たこともないが、そういう話が身近にたくさんあることと、「いる」とか「出る」とかいう前提で話されていることが面白いと思えたのだ。他方、アイドルに入れ上げたり全く架空の世界に入り込んだりするのが、どうも苦手で、……歌が上手いから歌を聞くとか、そういうのは、まぁ分かるけれども、そういうこともしなかった。ラジカセも高校受験のときに単身赴任していた父が入っていた社員寮で、部屋にテレビもなかったので父が寝る前に聞いていたらしいイージーリスニングやその類のクラシックのカセットテープ(CDラジカセではないのです)を繰り返し聞いたのが初めてだった。高校に入って後は件のラジカセを借りて専ら、歌詞のない曲を聴いていた。誰でないといけないとか、そういうことも、別になかった。ただ、今でも短くて疲れない曲ばかり聴いている。(以下続稿)

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 4月1日なので「書籍版『瑣事加減』予約受付開始」とかいう嘘記事でも書こうかと思ったのだが空しくなったので止めた。