瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『明暗』の文庫本(8)

新潮文庫99(4)
 ①と②の注の比較の続き。
 ①602頁、「三十一」節・83頁「(八六)ビー珠*1 ガラス玉。「ビー」は「ビードロ」の略。」との注があるが、②の「三十一」節・91頁には注はなく既に657頁「二十三」節に「六九 *ビー玉」として同じ説明をして済ませている。①も「二十三」節・63頁に注を附すべきであったが、ワープロ以前はこのような見落としがありがちだった訳である。
 同様な例は①612頁「(二六一)一般であった 同じこと。」として「百三十七」節・414頁に附しているが、②659頁「三十七」節・「一一三」頁に同じ注を附している。
 ①603頁「(一〇三)誰何/(一〇四)鐉」の順が②659頁では「一一五 *鐉/一一六 *誰何」と逆になっている*2。これは「三十八」節だが、最初に出て来た①105頁「鐉」を見落として①106頁に注(一〇四)を附したのを、②では2つめの116頁ではなく115頁の方に「*」を打っている。
 ①604頁「(一一一)浣腸 「灌腸」と同じ。大便の排出を……」*3との注があるが②にはない。今は「浣腸」が一般的で「灌腸」と言い換えるのは意味がないし、説明も不要だと思ったのであろう。
 ①617頁「(三五六)当体/(三五七) 銀杏返し/(三五八) 髣髴」*4の順だったのが②677頁「六二二 *髣髴/六二五 *当体/*銀杏返し*5となっている。「髣髴」は①では「百八十三」節・577頁に注が附されていたのだが、②では「百八十三」節・629頁ではなく「百八十一」節・622頁に附して、625頁「百八十二」節の2語(①は573・574頁)よりも前に来ているのである。(以下続稿)

*1:ルビ「だま」

*2:ともにルビ「すいか」「かきがね」がある。

*3:ルビ「かんちょう・かんちょう」

*4:ルビ「いちようがえ・ほうふつ」。

*5:ルビ「ほうふつ・とうたい・いちようがえ」。