2011年6月16日執筆。もう少し、続きが書ける程度に準備してから上げようと思っていたら、続きは一向に書けないまま、今になってしまった。2012年12月12日付に「鴎外」誌を取り上げたのは、下に書いたような事情で、「鴎外」を所蔵している図書館に立ち寄った折毎に(余裕があれば)チェックしていたからである。
林氏の連載はもう終わってしまった。今野氏と六草氏の本もこの頃に読み終えたのだが、もう細かいところは忘れている。俄に整理出来ないようなメモを取って、今、どこかに埋もれている。で、これはこれで形になっているので、続きがいつ書けるか分からないが、下書き記事の堆積の中から掘り出したの潮に、少し註を附してそのまま上げて置く。「一昨年」や「先月」は、2011年6月が基準である。
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「鴎外」という雑誌がある。森鴎外記念会というところから出ていて、年2回刊である。図書館にもあって、バックナンバーは借りられるので、先日まとめて借りてきた。
鴎外の恋人=ドイツ人女性来日事件については、次の本の推測が、蓋然性が高いんだろうと思っている。
- 作者: 林尚孝
- 出版社/メーカー: 同時代社
- 発売日: 2005/05/01
- メディア: 単行本
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3月6日付「森鴎外『舞姫』の文庫本(1)」で、「モデル問題がずっとやかましかったが、最近解明したとする本が出版された。」として、今野勉『鴎外の恋人 百二十年後の真実』を貼り付け、次のようなコメントを付けて置いた。
個人的には、あまり興味はない。一昨年だかにこの問題を扱った本を読んだことがあって、諸説あることを知り、なんだかどうでも良くなってしまったのである。性格的に、踏み込んだりしたら大変だ、という恐れもある。
当時は、この本を*1読んでいなかった。図書館ではよく見かけたのでぱらぱらめくったことはあったが、どうかと思われる説で押していることが分かったので、読むまでもないと思った。この問題は確証が出せない以上、色々な説が出てくるのを防ぎようがない。もとより私にそのような調査をする能力も準備も余裕もない。それで、まぁ林(小平)説がそれらしい、程度にして、深入りしないで置こう、と思ったのである。諸説比較したところで、妄想に付き合わされるだけな訳で、余程『舞姫』が好きだとか、我こそはモデル候補を見付けたり、とかいうような材料があって、研究史に名を残そうとかの期するところでもない限り、草臥れるだけである。
ところが、その直後に新聞各紙に記事が出て、六草いちか『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』が刊行された。「真実」を謳う本が出た直後にまた「真実」と題する本が出た訳で、3月10日付「森鴎外『舞姫』の文庫本(3)」に、こんなことを書いて置いた。
……。これでモデル問題が収束して、これまでに多々提出されてきた妄説の数々について、どこでそんな勘違いが発生したのか、批判的な整理・検証が行われることになれば、と思うのだが、……異説を1つ積み重ねるだけになるのは、もういい加減にしてもらいたい。
先月、立ち寄った図書館の「日本文学 作家」の棚にこの六草氏の本があったので、借りて来た。同時に、近所の図書館にある(殆ど借りられていないらしい)今野氏の本も借りて来た。で、両者平行して読んで見た。それで、以前見ていた今野氏の番組への批判が載っている「鴎外」*2を借り、「鴎外」誌に連載されている林氏の続稿も、読んでみようと思ったのである*3。