瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(68)

常光徹 監修/京極夏彦 序文『みたい しりたい しらべたい 日本の妖怪 すがた図鑑
①女のすがたをした妖怪

②男のすがたをした妖怪
③動物のすがたをした妖怪
 3冊ともに2012年3月20日初版第1刷発行・定価2,800円・ミネルヴァ書房・32頁・AB判上製本
 絵は中田由見子(1955生)。頁付は2頁から31頁まで、1頁(頁付なし)は扉、32頁(頁付なし)は奥付。2〜6頁は京極氏の序文で①「妖怪のなりたち」②「妖怪という言葉」③「妖怪を作ってきた人びと」。
 ①と②の24〜27頁「現代の妖怪」には、①は「テケテケ/ムラサキババア/よじばば/100キロババア/ジャンピングババア/100メートルババア/ケータイババア」、②は「ちいさいおじさん/あかマント/さとるくん/3センチおばけ/マラソンおじさん」が挙がっております。
 私はたぶん、個人の想像に任せらるべきものを「斯くや」と示されるのが嫌いなので、それでどうも水木しげるも苦手らしいのです。ですから、こうやって示されるのは、何というか、余計なお世話というか、そんなことはしなくても良いのに、と思ってしまう訳です。それはともかく、②25頁「あかマント[赤マント]」項には「(出没地)東京都など、全国/(別 名)なし/(危険度)人をころす」と基本データまとめられています。私としては「別名」として「赤いマント」を入れて置いてもらいたいところです。
 イラストは学校の便所の扉の上から赤マントの後ろ姿が中の男児を襲うところで、殆どマントに隠れていますが、頭部と右手だけが露出しています。すなわち黒のクレヨンで描いた頭部には薄く赤を被せていて、横顔のようにも見えますがはっきりとは分からないように描かれています。甲に毛の生えた右手に刃渡り20cmくらいのナイフを持っています。襲われている男児は水色の半袖Tシャツに青の半ズボンを下ろしていて、局部は赤マントの出現に驚いて仰け反る拍子に上がった右膝で隠されています。すなわちドアの方向を向いた、洋式便座に座っていることが分かります。私などのイメージではやはり扉に背を向けて、俯き加減に気張っている場面を思い浮かべたいところですが、和式便器では用を足せない子供もいるという現状ではこう描くしかないのですかね。けれどもこの絵では当然のことながら男児の背後に貯水タンクがあって、後ろから襲われるのでないのは、どうも違うように、思ってしまいます。急に立ち上がれない体勢で、後ろから声を掛けられて、振り向くことも出来ないまま、恐怖の時間を味わうことになるべきではないんでしょうか。そうするともう便所、いえトイレに妖怪なんか出ないことになりそうですが。説明は以下の通り。

学校のトイレにはいってきた人に「赤マ/ントはいらんかね?」ときいてきま/す。ほしいというと、血の雨がふって/きて服がまっかにそまり、赤いマント/を着たようなすがたになってしまうそ/うです。*1


 この説明文は「人をころす」という危険度と、イラストと、ズレているように思います。(以下続稿)

*1:ルビ「ち・き」