瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(51)

 最近、八丈島で七人坊主に触れている刊行物がありました。高橋雅信「【定時制課程副校長あいさつ】ヒイミサマ」(「八丈高校定時制ニュース」第29号・平成25年12月13日・東京都立八丈高等学校)です。
 まず「新採1年目に大島支庁管内の学校に訪問研修」した際に「旧大島町立第二中学校に勤務して」いた「大学の同級生」から聞かされたという伊豆大島の伝説「日忌様」に触れ、同様の伝承は利島・新島・式根島神津島・三宅島・御蔵島にもあるが、八丈島には見当たらないとして、少し飛躍するようですが代わりに(?)七人坊主に触れます。

‥‥。八丈島では人の数に纏わる言伝えとして「7人の御坊さん」 があります。この話の概略は、上方から、7人の僧侶が八丈島に流れ着きました。彼らは飢えに苦しみ、三原山に住み着きましたが村人の施しがないまま7人のお坊さんは亡くなってしまいました。昭和27年11月30日付南海タイムスで「中之郷潮間林道大崩壊」という記事が掲載されています。この事故で作業員7名が亡くなったそうです。この事故が7人のお坊さんが亡くなられた場所に近いことから、お坊さんの祟りではないかと噂にのぼったそうです。 因みに、同新聞で「救援に学童、高校生も一役」という記事を見つけました。「潮間林道大惨事で中之郷村内はごった返しの大騒ぎとなり、働ける男子の殆どは救援に、女子は救援隊の炊き出しにと駆けつけたが、同村高校生は現場と役場間の情報連絡に活躍。」と記述されています。‥‥


 この記事は小池壮彦が紹介していました。2011年10月16日付(3)以来しばしば言及したように、『怪奇探偵の実録事件ファイル2』32頁に見出しを示し、33頁には右上に記事が掲載された「南海タイムス」1面を題字とともに図版で示し、本文に記事の概要を紹介していました。小池氏の示した図版のキャプションには「惨事を報じる『南海タイムス』(昭和27年11月23日/付)」とあって、高橋氏の示す日付と違っていますが、これは小池氏の示した図版に紙面上部「昭和廿七年十一月廿三日發行 (日曜日)」と日付がありますから、高橋氏の誤りです。高橋氏の引用する記事は6段めにあります。この縮刷版は私も見ようと思いつつそのままになっています。*1
 高橋氏は平成24年(2012)に八丈高等学校に赴任したとのことで、地元の人ではないので「潮間林道」の位置を把握していなかったのでしょう。参照した文献に「東山」とあったはずが「三原山」と書き換えてしまっています。潮間林道がある「東山」が「三原山」ではないことは、2011年11月26日付(23)までに縷々考証して置きました。別に正さなくとも良いようなことなのですが、やはり八丈島で「東山」と云えば「三原山」と思ってしまうでしょう。これからとて同じように判断してしまう人もいるでしょうから、詰まらぬことですが正しい場所を示して置く必要は、なきにしもあらず。

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 この記事は9月1日に書いたのですが、小池氏の本で「南海タイムス」を確認しようと思いつつ、気が付いたら2ヶ月が経っていました。漸く小池氏の本に関するところを加筆し得たので、他には若干の修訂を加えて、上げて置くこととします。

*1:この段落は、最初の一文と最後の一文を除いて10月31日加筆。但し当初からこのような内容で加筆するつもりだったが、小池氏の本を見に行く余裕がなくそのままになっていた。