瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山本禾太郎「第四の椅子」(4)

讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(4)
 昨日の続きで、締切の後に出た記事を眺めて置きましょう。
 昭和三年七月四日(水曜日)付「讀賣新聞」第一万八千四百四十二號(市内版)*1の(七)面*2、12段組で記事は10段めまで、11〜12段めは「油醤タゲヒ」の広告です。
 4〜6段めの左に3段抜き、全て明朝体で見出しは、

應募二千百五十篇
  懸賞文藝の締切り
  編輯机上に山なす原稿に對して
    今日から豫選開始

とあります。次いで以下のような本文があります。太字にしたところは一回り大きく、[ ]は左右も繋がっていて間の文字を囲っているのですがそのまま再現出来ないので仮にこのように示しました。この囲われた文字と篇数は仮に太字にしましたが、これが見出しの3行めと同じ大きさ*3で、最後の2項の下には2行あります。本文中、太字にした箇所はこれより一回り小さく、振仮名のある文字よりは一回り大きいものです*4

本社はその創立五十五周年を有意義に記念するため、八千圓の賞を懸けて長篇小説、大衆/文藝、科學論文の募集を企圖したのであつたが、遠隔地よりする應募原稿の到着を待ち、長篇小説及/び大衆文藝の兩者に限り、愈々昨日正午着社の分をもつて募集締切りとした。而/して*5
[應募總數]………………………二千百五十二篇
[長篇小説]………………………千二百五十篇
[大衆文藝]………………………九百二篇
爲に編輯机上は原稿の山をもつて飾られた。特に應募原稿中ハルピン、滿蒙、朝鮮、樺/太、北海道等のものが多數あること*6この反響が如何に大なりしかを證するに足らう。*7
[社内豫選] 社内文藝部の豫選は本日より向ふ二ケ月、即ち七八の兩月をもつてこれに當*8
        て、長篇小説及び大衆文藝とも前記應募總數中より
各十篇づつを嚴選して豫選合格となし、兩者共に九月上旬をもつて
發表すべく決定した。*9
[選者の選] 而して右各豫選パツス者は九、十の兩月間に 爾餘の凡そ百回乃至*10
        百卅回を全部完成して再出せらるべく、その上で本社はこれを*11
本社の依頼した選者の下に送つて 最後の決定を觀る順序となるわけであるが、先づ*12
その初頭に於て何人が豫選の十人に選出せらるる榮冠を得るか、期待は初秋の紙*13
上に!*14


 最後の2項は改行位置を「/」で示して詰めずに、そのままの字配りにしてみました。(以下続稿)

*1:上欄外に右からの横組みですがそのまま再現しませんでした。

*2:全10頁。

*3:見出しの4行めも平仮名のみ同じ大きさ。

*4:振仮名は私の手許にある複写では読みづらいので追ってマイクロフィルムで確認の上補うこととします。

*5:12月13日追記】ルビ「ほんしや・さうりつ・しう・いういぎ・きねん・ちやうへんせうせつ・しう/ぶんげい・くわがくろんぶん・ぼしふ・きと・ゑんかくち・おうぼげんかう・たうちやく・ま・ちやうへんせうせつおよ/しうぶんげい・りやうしや・かぎ・いよ/\・しか/」。

*6:この「こと」は合字。

*7:12月13日追記】ルビ「ため・へんしうきじやう・とく・おうぼげんかうちう・まんもう・てうせん/ほくかいだうとう・たすう・しよう・た」。

*8:12月13日追記】ルビ「しやないぶんげいぶ・よせん・ほん・むか・すなは・りやう」。

*9:12月13日追記】ルビ「けつてい」。

*10:12月13日追記】ルビ「しか・みぎかくよせん・しや・りやう・かん」。

*11:12月13日追記】ルビ「うへ・ほんしや」。

*12:12月13日追記】ルビ「ほんしや・いらい・み・じゆんじよ・ま」。

*13:12月13日追記】ルビ「しよとう・おい・なんひと・きたい・しよしう・し」。

*14:12月13日追記】ルビ「じやう」。