瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

吉田秋生『櫻の園』(5)

 単行本(第17刷)と文庫版と完全版(第1刷)を比較して見る*1。書影は8月9日付(1)に示した。単行本と完全版の青にあまり違いがないように見えるが、私の手許にある単行本は群青色、完全版は青紫色ではっきり違っている。
 桜の花は単行本と文庫版で白と桃色が入れ替わっている。完全版は1つだけ桃色である。線は単行本はくすんだ金色、文庫版は黄土色、完全版は茶色である。
 題字は墨書で「櫻の」は一致しているように見えるが「園」は単行本・文庫版は一致するが完全版は囗(くにがまえ)は一致するが内部が書き直されているようである。完全版の題字は文庫版よりも小さい。位置はそれぞれ異なっている。
 散っている花弁は同じような位置にあるが、消されていたりズレていたりして一致しない。一例を挙げると題字の「園」の左下に単行本では白い花弁があって、これのみ裏側を少し見せているが、文庫版では消されている。完全版では下に移動している。単行本・文庫版の花弁は白だが完全版の花弁は桃色で、この花弁が僅かに見せている裏のみ白い。
 枝葉は単行本では桃色の花の花萼・花柄のみ緑色であったが、文庫版はそこを白くして、他をくすんだ緑と濃い緑にしている。完全版は1つだけ桃色にした花の下にある1葉のみ、表が緑で裏が深緑になっており、他は全て白い。
 題字の下に縦組みで作者名等がある。単行本は明朝体斜体で「作・吉田秋生 」とあり、文庫版は明朝体太字で「吉田秋生」その下に横組みで「Akimi YOSHIDA 」とある。完全版は明朝体太字で「【完全版】 吉田秋生」とある。
 下部中央に横組みで、単行本「JETS COMICS 」完全版「HC SPECIAL」とあるが文庫版は右下に縦組みで小さく「白泉社文庫」とある。
 絵の収載範囲は、文庫版は上が狭いが下は単行本に同じ、左は完全版とも同じである。完全版は上下が広い。右は単行本・完全版は背表紙を経て裏表紙、さらに折返しまで続いているが、文庫版カバーの背表紙・裏表紙・折返しは白泉社文庫共通の仕様である。よって文庫版カバーの他の部分については別に記述する。
 カバー背表紙、単行本は上半分に縮小された題字、1字分空けて「作・吉田秋生 」とあってこれは長さ3.0cmで表紙と同じ寸法。但し題字も作者名も黒だけではなくくすんだ金色でも刷られている。金はやや左上にずらして刷られており、題字は黒の上に金が乗っているので特に「櫻」の字は立体的に見える。作者名は黒が金に隠されていないので、右下の黒の方が手前にあるように見える。下部には白抜きの行書体縦組みで「白泉社」とあるらしいが、私の見た本では分類票に隠れて「白」の上部が僅かに見えるのみである*2。完全版も上半分に縮小された題字、すぐ下にやや縮小された明朝体太字「【完全版】 吉田秋生」がある。下部には明朝体太字縦組みで「白泉社」ととあるらしいが、私の見た本では分類票に隠れて「社」の下半分が見えるのみである。
 カバー裏表紙、表紙と同じ配置で単行本・完全版とも表紙と同じ花弁が散っている。単行本は中央に黒で、半袖で胸元にリボン、ベストにスカート、ルーズソックスに革靴の女子生徒7人がかごめかごめをしているカットがある。のっぺらぼうで右端は倉田さんのように見えるが他の6人は登場人物に似ているように見えない。最下部左端に縦の白線(0.8×0.1cm)があって、その右に白抜きで横組み2行「ISBN4-592-13096-0 C0079 P700E/雑誌44313―05  白泉社 定価700円(本体680円)」2行めの雑誌コードはゴシック体、版元名以下は行書体である。
 完全版にはかごめかごめのカットはない。他の部分にも収録されていないようだ。上部左寄りを4.4×9.2cm白く抜いて、左側にバーコード2つ「9784592197485/1929979005528」、右側、1つめのバーコードの右に「ISBN978-4-592-19748-5/C9979 \552E」2つめのバーコードの右にゴシック体で「定価[本体552円]/雑誌43796―16」とある。
 文庫版は裏表紙のカットとして就職して灰色で背景を桃色の下が濃いグラデーションにして使用している。
 カバー折返しは単行本・完全版とも花弁を散らさずグラデーションのみ。単行本は表紙折返しの最下部右に横組みで小さく、斜体と行書体の白抜きで「Design; 三枝泰之」、完全版は裏表紙折返しの最下部左寄せで片仮名と漢字はゴシック体白抜きで「デザイン:三枝泰之+Drawing Sense“LUNACY”」とある。(以下続稿)

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 10月6日から8日に掛けて用意したが「山本禾太郎「東太郎の日記」」の連載(?)に掛かっていたためそのままになっていた。明日明後日、投稿の余裕がない訳ではないが、計りがたいので前もって投稿して置く(12月28日)。

*1:2017年9月18日追記】単行本の第23刷も、ここにメモした範囲では第17刷に同じ。

*2:2017年9月18日追記】第23刷の最下部には「白泉社」の下、1字分空けて白抜き横並びでごく小さく、白線の枠に囲まれて「[96 ]」とある。