瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

草輕電氣鐵道(1)

 2014年10月31日付「岸田衿子・岸田今日子『ふたりの山小屋だより』(4)」に取り上げて以来、気に掛かっているのだが、廃止直前のニュース映画(中日映画社制作)がDVDに収録されていることに気付いたので、紹介して置きたい。
・昭和の缶詰 ニュース映画でたどる世相・風俗

・Vol.1 昭和29年〜34年
昭和の缶詰 [昭和29~34年] [DVD]

昭和の缶詰 [昭和29~34年] [DVD]

 38:54〜52:35「昭和34年」のうち、45:41〜48:24「中日ニュース/[カメラ・スケッチ]/ローカル線/―東京・群馬・岩手・宮城・千葉―」は、ナレーションの最後(48:17〜48:22)が「10月14日、鉄道記念日に送る、ローカル線の話題でした」となっているから、その頃の取材・上映ということになる。
 公開日などのデータは示されていないので、もう少し情報が欲しいと思って検索して見るに、中日映画社のHPにこの「ローカル線」のデータが出ており、Youtube(限定公開)でも視聴出来る。尤も「本映像はサンプルのためフィルター処理を行っております」とのことで、全体にぼんやりしていて文字は殆ど判読不能、但しナレーションとBGMはノーカットなので、音と雰囲気は、十分味わえる。
 5都県が挙がっているがこの順に収録されてはおらず、まず草軽電気鉄道(45:45〜46:14)が紹介される。「群馬」とあるが冒頭のナレーション(45:47〜45:57)が「信州浅間の高原を走る草軽電鉄は、人呼んでお猿電車、愛らしいニックネームをほしいままに、永年ハイカーたちに親しまれて来ました。」であり、冒頭部の映像、走行中の電車の背景に映る浅間山も、剣が峰の位置からして上州(群馬県)側ではなく信州(長野県)側、続いて電車が入るところが映る「つるだまり」駅(45:50〜45:55)もやはり長野県北佐久郡軽井沢町だから「長野」とすべきであったろう。但し次に映るハイカーが群れを成す駅(45:55〜46:00)は、群馬県吾妻郡長野原町の北軽井沢駅らしい(確証はない)。
 なお、ネットで検索したところ、内田康夫の『死線上のアリア』という文庫本がヒットしたのだが「鶴溜」の振仮名は「つるだめ」である。この本については(あまり興味はないのに)長くなるので次回*1に回す。
 後半のナレーション(46:01〜46:12)は「イギリスに生まれ、電気機関車の草分けとして、日本に嫁いできたのが大正13年。今は、バス路線の攻勢の前に、この秋、姿を消すことになりました。」であるが、実際にこの辺りの区間が廃止されたのは昭和35年(1960)4月25日であった。
 他に収録されている路線も、参考までに略述して置こう。
 次に岩手県の花巻電鉄(46:14〜46:43)の軌道線で花巻駅等が映る。昭和44年(1969)9月1日廃止。
 その次が千葉県の九十九里鉄道(46:43〜47:03)で上総片貝駅と途中の無人駅等が映る。昭和36年(1961)2月28日廃止。
 そして宮城県の仙台鉄道の加美中新田*2駅(47:03〜47:50)では「一人五役」の駅長に密着。昭和35年(1960)5月1日廃止。
 最後が宮城県の仙北鉄道(47:51〜48:24)で瀬峰駅から築館駅行の新型バスが発車するところと、葉ノ木山隧道から出て来るところ等が撮される。この築館線は既に昭和25年(1950)3月1日に鉄道は廃止されてバス転換されている。そして道路網の発達によりバスが線路の跡を走ることもなくなった現在、葉ノ木山隧道は半ば土砂に埋もれている。
 ――そうすると「東京」はどこにもない。「東京」も取材したけれども編集過程で収録を取りやめたのだろうか。(以下続稿)

*1:2017年9月7日追記2016年5月3日付(2)

*2:読みは「かみなかにいだ」。