瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小林信彦『回想の江戸川乱歩』(1)

 探偵小説は殆ど読まないのだが、昨年、偶々山本禾太郎(1889.2.28〜1951.3.16)に興味を持って、いろいろ周辺も調べ――と云うほどではないが、何冊か参考になりそうな本を読み(それはまた別に記事にする)久々に長編小説にも手を伸ばして――蒼井雄「船富家の惨劇」を読み始めて、面白く読んでいたのだが途中のどんでん返しで集中力が続かなくなってしまった。

日本探偵小説全集〈12〉名作集2 (創元推理文庫)

日本探偵小説全集〈12〉名作集2 (創元推理文庫)

 どんでん返し前の内容で十分2時間ドラマになりそうだと思った。いや、したら良いと思う。蒼井優をヒロインにして。それはともかく、山本氏については調査を続行するつもりでいて、国会図書館国立劇場で閲覧すべき資料をピックアップしてあるのだが、なかなか落ち着いてそんなことをしている暇もなく、気に懸かりながらそのままになっているのである。
 それで、江戸川乱歩(1894.10.21〜1965.7.28)についても、2013年11月24日付「赤いマント(34)」及び2015年8月3日付「丸尾末広『パノラマ島綺譚』(2)」に触れたように天知茂明智小五郎を見ていたくらいだったのだが、『探偵小説四十年』を拾い読みしたりしてみた。
江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上) (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上) (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第29巻 探偵小説四十年(下) (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第29巻 探偵小説四十年(下) (光文社文庫)

 しかし、如何せん探偵小説に関する知識に乏しいので、まぁ読んだ内に入らないような読み方にしかならないのである。
・単行本(1994年10月30日第1刷・定価1553円・メタローグ・193頁)
 上製本(18.8×11.8cm)。メタローグ中央公論社を退社した安原顯(1939.4.29〜2003.1.20)が平成4年(1992)に設立した出版社だが、平成17年(2005)7月に倒産している。安原氏は平成6年(1994)暮れに退社している。
・文春文庫(1997年5月10日第1刷・定価400円・文藝春秋・190頁) 私はまづこの文春文庫版を図書館の棚に見掛けて手にしてみた。小林信彦(1932.12.12生)小林泰彦(1935.1.3生)兄弟の接した晩年の、殆ど小説を書いていない時期の江戸川氏についての回想で、代表作を読んでいない私でも取っつきが良かったのである。
光文社文庫(2004年8月20日初版1刷・定価514円・196頁)
回想の江戸川乱歩 (光文社文庫)

回想の江戸川乱歩 (光文社文庫)

 読んでみると注目すべき記述が幾つか目に付いたので、単行本と光文社文庫も借りて来て、3種並べて見たのである。(以下続稿)